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なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「バイオ・スキャナーズ」 Body Melt (1994)

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監督:フィリップ・ブロフィ
製作:ロッド・ビショップ
   フィリップ・ブロフィ
脚本:フィリップ・ブロフィ
   ロッド・ビショップ
撮影:レイ・アーゴール
特殊メイク:ボブ・マッカロン
音楽:フィリップ・ブロフィ
出演:ジェラルド・ケネディ
   アンドリュー・ダド
   イアン・スミス
   レジーナ・ガイガラス
   ヴィンス・ギル
   ウィリアム・マッキニス
   ロバート・シンパー
オーストラリア映画/82分/カラー作品




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<あらすじ>
健康ビジネスを展開するオーストラリアの製薬会社ヴィミュヴィルでは、新たなビタミン剤の研究開発を進めており、その無料サンプルをメルボルン郊外の新興住宅地ペブルス・コートの住民たちに送り付ける。いわゆる人体実験だ。だが、そのビタミン剤には副作用のある危険な新薬が含まれていた。
良心の呵責を感じた研究員ライアン(ロバート・シンパー)は、住民に警告するべくペブルス・コートへと向かうものの、彼の行動をいち早く察知していた所長シャーン(レジーナ・ガイガラス)はライアンに大量の新薬を投与。途中で副作用の症状が出始めたライアンは運転を誤り、住宅地のど真ん中で事故を起こして死んでしまう。
通報を受けて駆け付けたベテラン刑事フィリップス(ジェラルド・ケネディ)と若い相棒ジョンノ(アンドリュー・ダド)は、肉体が変形した上に溶解したライアンの死体を見て面食らう。検視結果によると未知の薬物が大量に検出された。現場に残された薬品カプセルがヴィミュヴィルのものだったことから、フィリップスとジョンノは同社のスパや研究所を調べ始めるが、これといった手掛かりが掴めない。
その頃、ポストに投函されたビタミン剤の無料サンプルを疑うことなく服用したペブルス・コートの住民たちに変化が起きる。ビジネスマンのマシューズ(ウィリアム・マッキニス)は奇妙な幻覚を見るようになり、若い妊婦シェリル(リサ・マッキューン)は胎盤に異常を感じるようになる。実は、彼らの主治医であるカレーラ医師(イアン・スミス)こそ、危険な新薬を開発した張本人だった。
さらに、両親が健康オタクのノーブル一家は、ヴィミュヴィルが経営するスパで週末を過ごすために家族揃って出かける。また、ビタミン剤サンプルに口をつけなかったイタリア系兄弟は、スパへ行く途中で道に迷ってしまい、とある自動車修理工場へたどり着くものの、そこは頭のおかしい狂人一家の巣窟だった。しかも、一家の主人パド(ヴィンス・ギル)はカレーラ医師の元同僚で、新薬に関する重大な秘密を握っていた…。
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いわゆるオズプロイテーション(オーストラリア産エクスプロイテーション)映画の隠れた怪作である。映画史の最初期において世界最大規模の映画産業を誇ったオーストラリアだが、第一次世界大戦後急速に衰退の一途をたどり、あっという間に映画市場の90%以上をハリウッド映画に独占されてしまう。政府のバックアップによって国産映画を増やそうという動きが出始めたのが'70年代。そこからピーター・ウィアーやブルース・ベレスフォード、ジョージ・ミラーなどの才能が生まれ、'80年代にかけてオーストラリアン・ニューウェーヴと呼ばれる黄金期が築かれたわけだが、その同時期に花開いたのがホラーやアクションなどのB級ジャンル映画群、通称オズプロイテーションである。
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『パトリック』('78)や『吸血の館』('79)、『レイザーバック』('84)、『カサンドラ』('87)などなど、欧米のホラー映画とは明らかに違う奇妙なテイストの怪作が多いオーストラリア産ホラー。なんか分からないけど、見ていてどうも居心地が悪かったり、神経を逆撫でさせられたりするんだよね。それは国内マーケットが小規模であるがゆえの極端な低予算のせいもあるだろうし、砂漠の多い広大な乾いた大地と独特の植民地文化が醸し出す雰囲気も影響しているかもしれない。いずれにせよ、そうしたオーストラリア産ホラー映画ならではの「バッドテイスト」は、本作『バイオ・スキャナーズ』でも確実に息づいている。
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というか、全編これ悪趣味のオンパレードみたいな映画である。だいたい、突っ込みどころ満載のストーリーなんぞ、はなからそっちのけといった感じだ。とりあえず、メジャーな製薬会社が危険な新薬を使って健康食品のビタミン剤を開発し、一般人を使った人体実験を行うという設定は100歩譲って良しとするにしても、そんなヤバい商品をわざわざ会社のロゴが入った袋に入れて送るか?何か起きたらすぐ足がつくだろうに(笑)。
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送り先の人々に警告するため研究員が現地へ向かうというくだりも、よくよく考えりゃ電話帳を調べて連絡すれば済む話だし。そもそも、頼んでもいないのに送られてきた健康食品を、1ミリも疑うことなくホイホイと飲んじゃう犠牲者も犠牲者ですよ。そのうえ、やたらと登場人物ばかり多いこともあって、それぞれのエピソードがなかなか絡み合うことなく行ったり来たり。おかげで辻褄が合わない点も少なくない。
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ってな具合に、まるでまとまりのない脚本だが、それもこれも全ては悪趣味極まりないスプラッター・シーンのため。要するに、新薬の副作用によって肉体がグロテスクに変形し、やがてドロドログチョグチョに溶けていく様こそが本作のメインディッシュであって、ご都合主義満載の支離滅裂なストーリーは、それらを披露するためのお膳立てに過ぎないのだ。一応、当時の過剰な健康ブームに対する風刺が込められているとの解釈もあるようだが、ん~、そう言われればそうかもね、ってな程度だろう。
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そんなスプラッター・シーンの特殊メイクを担当したのが、ピーター・ジャクソン監督による世紀の怪作『ブレインデッド』('92)で知られるボブ・マッカロン。さすがにあそこまでハチャメチャなことはやっていないものの、それでもなお、なかなかの悪趣味っぷりを存分に発揮している。シニカルでナンセンスなユーモアを含め、『バッドテイスト』('87)や『ブレインデッド』などの初期ピーター・ジャクソン作品を意識していることは間違いないだろう。
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監督・脚本・音楽などを手掛けたフィリップ・ブロフィの本業はミュージシャン。アンディ・ウォーホルに感化された彼は、自らの実験音楽バンド「→↑→」(ツク・ツク・ツクと読むらしい)を基盤に、実験ビデオを撮影したり前衛演劇を演出したりしていたそうなのだが、まあ、分からなくもないかな。だって、ウォーホル一派の映画だって大半はろくなもんじゃないし(笑)。その点、本作は少なくとも荒唐無稽なバカ映画としては成立しているし、やりたい放題の特殊メイクだってキモいけど楽しい。『吐きだめの悪魔』('87)なんかが好きな人にもおススメだ。
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なお、日本ではなじみの薄い出演者たちだが、いずれも地元ではお馴染みのテレビ俳優ばかりで固められているらしい。中でも、オーストラリアの国民的ファミリー・ドラマ『Neighbours』の元レギュラーが多いのだとか。なので、同作と同じように郊外の閑静な住宅街を舞台にしているところが、設定上の大いなる皮肉となっているのだそうだ。日本で例えるならば、『渡る世間は鬼ばかり』の出演者たちを一堂に集めて、食堂の料理ないしお冷に混ぜられた毒を飲んだ客や従業員が次々とドロドロに溶けていくホラー映画を作っちゃいました、みたいなノリだろうか。
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ちなみに、途中で出てくる『悪魔のいけにえ』みたいな狂人一家の屋敷の中に、どういうわけかドラえもんのお面が置いてあるのには笑いました。ぃや、キッスとかジェイソンのお面があるのは納得できるけど、一体なぜドラえもんなんだ!?
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評価(5点満点):★★★☆☆

参考DVD情報(アメリカ盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.78:1)/音声:2.0ch Dolby Digital Mono/言語:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/時間:82分/発売元:Scorpion Releasing
特典:カトリーナ・リー・ウォーターズによる本編前後の解説/オリジナル劇場予告編



by nakachan1045 | 2018-08-22 23:29 | 映画 | Comments(0)

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