なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「ナポリ湾」 It Started in Naples (1960)

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監督:メルヴィル・シェイヴルソン
製作:ジャック・ローズ
原案:マイケル・パートウィー
   ジャック・デイヴィス
脚本:メルヴィル・シェイヴルソン
   ジャック・ローズ
   スーソ・チェッキ・ダミーコ
撮影:ロバート・L・サーティース
音楽:アレッサンドロ・チコニーニ
出演:クラーク・ゲイブル
   ソフィア・ローレン
   ヴィットリオ・デ・シーカ
   マリエット(カルロ・アンジェレッティ)
   パオロ・カルリーニ
   クラウディオ・エルメッリ
   ジョヴァンニ・フィリドーロ
   ボブ・カニンガム
   カルロ・リッツォ
   イヴォンヌ・モンロー
アメリカ映画/100分/カラー作品




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<あらすじ>
数日後に結婚を控えたフィラデルフィア出身の弁護士マイケル・ハミルトン(クラーク・ゲイブル)は、自由奔放だった兄の遺品を整理するため、アメリカからイタリアのナポリへと到着する。地元の管財人弁護士ヴィターレ(ヴィットリオ・デ・シーカ)によると、内縁の妻と一緒に事故死した兄にはナンド(マリエット)という幼い息子がおり、両親亡き後は叔母ルチア(ソフィア・ローレン)が育てているという。
アメリカへ発つ前に甥っ子と会うため、ルチアとナンドが暮らすカプリ島へと向かったマイケル。ルチアは彼がナンドを奪うつもりではないかと警戒するが、マイケルは2人が貧しいながらも幸せに暮らしていることを確認して立ち去る。ところが、ナポリ行きの定期船に乗り遅れたマイケルは、カプリ島のホテルで泊まることに。夜遅くまで街中が騒がしいため、気晴らしにカフェへとかけた彼は、深夜1時を過ぎているのにナイトクラブのビラ配りをしているナンドを見つけて驚く。しかも、子供なのにコーヒーを飲んでタバコまで吸っている。聞けば学校にもろくに通っていないようだ。
昼間はのメイドとして働いているルチアだったが、夜はナイトクラブでいかがわしいショーに出ていた。思わず眉をひそめるマイケル。こんな環境で甥っ子を育てるわけにはいかない、このままではナンドが怠け者のイタリア人になってしまう。そう考えたマイケルは、ナンドを引き取ってローマのアメリカン・スクールに通わせようとする。これに黙っていないのがルチアだ。大切な甥っ子を手放しはしない、法律上の親権は自分にあると強く反発する。
裁判も辞さない構えのマイケルとルチア。そこで弁護士ヴィターレは、いっそのこと2人をくっつけてしまおうと一計を案ずる。やがて、お互いに惹かれあっていくマイケルとルチアだったが…。
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ボブ・ホープ主演の『エディ・フォイ物語』('55)やダニー・ケイ主演の『5つの銅貨』('59)といった、心温まるヒューマン・ドラマで知られるメルヴィル・シェイヴルソン監督と脚本家兼製作者ジャック・ローズの名コンビが、『月夜の出来事』('59)に続いてソフィア・ローレンと組んだ小粋なロマンティック・コメディ。イタリアはナポリ湾に浮かぶ風光明媚な観光地カプリ島を舞台に、幼い少年の親権を巡って反目しあう男女の思いがけないロマンスが、大らかなユーモアを交えながら描かれていく。
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主人公は亡くなった兄の遺産を整理するため、イタリアへやって来たアメリカ人の弁護士マイケル。生真面目で神経質で堅物、しかも潔癖症でせっかちな彼は、何事にもルーズで気ままで自由奔放なイタリア人を小バカにしており、雑多で不潔でやかましい時代遅れなイタリアの風土にも嫌悪感を隠さない。まあ、要するにアメリカ至上主義の鼻持ちならないエリートだ。
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一方の亡くなった兄ジョセフは根っからの自由人だったらしく、ちょいと一杯ひっかけてくると言い残して出かけたまま、イタリアへ渡って帰って来なかったとのこと。どうやらマイケルとは水と油の正反対な性格で、彼はそんな兄のことを自堕落な人間だと恥じていたようだ。で、その兄に内縁のイタリア人妻がいた、しかも8歳になる息子までいたと知ってビックリ仰天するマイケル。そんなバカな!本当に血が繋がっているのか?イタリア人のことだから信用ならん!ということで、実際に自分の目で確かめるため、甥っ子ナンドの住んでいるカプリ島へと上陸する。
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両親が事故死したことから、母方の叔母ルチアに引き取られていたナンド。幼いながらも自由気ままで図太くて女好きな性格はジョセフにそっくりだ。どうやらルチアは住み込みのメイドとして働いているらしく、2人の生活ぶりは決して楽とは言えないものの、それなりに楽しく暮らしている様子。ルチアはマイケルがナンドを引き取りに来たものと早合点して警戒するが、数日後に結婚式が控えているマイケルは子供のことなど眼中にない。ひとまず甥っ子が実在することを確認したマイケルは、そのままアメリカに戻ろうとするのだが、いい加減な時刻表のせいで帰りの定期船に乗り遅れてしまう。
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ブツブツ文句を言いながらもカプリ島のホテルで一晩明かすことにしたマイケル。しかし、夜遅くなっても街は賑やかで人通りが絶えず、とにかく騒音がうるさい。いったいイタリア人はいつ寝るんだ?どいつもこいつも夜遊びばかりでけしからん!ということで、眠れないので仕方なくカフェで暇をつぶすことにしたマイケル。すると、深夜の1時を回っているにもかかわらず、甥っ子ナンドがナイトクラブのチラシを配っている。子供がこんな時間になにをやってるんだ!朝早く起きなきゃ学校に行けないだろうに!と驚いて話を聞いたところ、どうやらナンドは小遣い稼ぎのため毎晩チラシ配りのアルバイトをしているらしく、学校へもろくに行っていないようだ。
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しかも、子供のくせにコーヒーを飲むわタバコを吸うわ。そのうえ、よくよくチラシの写真を見ると、あられもない恰好のショーガールはルチアではないか。まともに子供の監督が出来ていないばかりか、いかがわしい夜の商売にまで手を出すとは何たる不届き者!説教してやらねば!ということで、マイケルはルチアの働くナイトクラブへ足を運び、ウェイターにチップを渡してルチアをホテルへ呼び出す。
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で、ホテルへ戻ると一足先にルチアが。男の部屋にノコノコやって来るとは恥知らずな!どうせ体でも売っているんだろう!そんな不道徳極まりない女のもとに甥っ子を置いておくわけにはいかん!ちゃんとした教育を受けさせなければ、ほかのグウタラなイタリア人どもと同じダメ人間になってしまう!彼には優秀で勤勉なアメリカ人の血が半分混じっているんだ!と怒り心頭のマイケルは、ナンドをローマの知人に預けてアメリカン・スクールへ通わせようと決心する。
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これに黙っていないのが鉄火肌のルチアだ。なにを勝手に人を売春婦呼ばわりするのか!貧しいイタリア庶民の生活もよく知らないくせに、聖人気取りで偉そうに講釈をたれる権利なんてあんたにはないわよ!こちとらお金はないし生活も苦しいし、確かに立派な大人とは言えないかもしれないけど、そのかわり誰よりも子供に愛情を注いで育てているんだからね!あんたになんか絶対ナンドを渡さないから!ということで、猛反撃に出ることとなる。
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かくして、お互いに裁判も辞さない構えの親権争いが勃発。ルチアの隣人たちが、アメリカこそ野蛮な国だろう!本当は石油利権を狙っているくせして、もっともらしい理由を並べては戦争ばかりしやがるんだからな!そうだそうだ!アメリカ人は道徳云々うるさいこと言うくせに、実際は破廉恥なことばかりしているじゃないか!とマイケルを責め立てるシーンは、戦勝国として偉そうな顔をしてきたアメリカに対するイタリア人の根強い不信感が現れていて面白い。また、ルチアが劇中で歌い踊る名曲「アメリカかぶれ」の歌詞は、一見したところアメリカ文化を称賛しているように見えて、実は戦後のイタリアに広まったアメリカ文化にうつつを抜かす自国民を痛烈に皮肉っている。これまた、イタリア人のアメリカに対する愛憎入り混じった複雑な感情が垣間見えて興味深い。
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そんなマイケルとルチアの間に立たされたのが地元弁護士のヴィターレ。ややこしいケンカに巻き込まれちゃったなー。おねえちゃんたちのケツを追っかけている方がよっぽど楽しいわー。そうだ!いいこと思いついた!マイケルは年食ってるけど男前だし金持ちだし、ルチアも貧乏だけど若くてとびっきりの美人だから、いっそのこと2人がくっついちゃえばいいんだ!それで万事解決じゃね!?と考えた彼は、巧妙な策を練って恋のキューピッドを演じることとなる。ああ、なんか発想がむちゃくちゃイタリア人らしい。勝手な想像だけど(笑)。
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ヴィターレの思惑通りに急接近していくマイケルとルチア。よくよく落ち着いて考えてみれば、イタリア人みたいに細かいこと気にせずのんびり人生を楽しむ生き方ってのありだよなあ…と思い始めるマイケル。一方のルチアも、ちゃんと学校へ行って優秀な大学を卒業し、立派な仕事に就く方がナンドにとっては幸せかもしれないと考えるようになる。でもね、一番大事なのは本人の希望なんじゃね?大人が勝手に決めるもんじゃないでしょ?というわけで、ラストは誰もが納得できるハッピーエンドで幕を閉じることになる。
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保守的で頭の固いアメリカ人が自由気ままな南欧で人間らしい生き方を学ぶ、という基本プロットは至極ありがちではあるものの、ユーモラスなキャラクター描写と風刺の効いたセリフ、そして軽妙洒脱な筋運びがストーリーを豊かなものにしている。脚本も演出もなかなか巧い。ナポリやカプリ島のロケーションも素晴らしく、観光映画としても存分に楽しめる。古き良き南イタリアの美しい風景や人々の素朴な暮らしがなんとも魅力的だ。
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しかし、最大の見どころはなんたって、ナンド役を演じているイタリア人の子役マリエットである。見るからにヤンチャで生意気で、でも純粋で愛くるしくて。こましゃくれた態度やセリフ回しの微笑ましいことといったら!いかにも訓練された子役らしいところが全くない、ちょと粗削りだけどナチュラルで活き活きとした芝居がとてもいい。主演の大スター、クラーク・ゲイブルとソフィア・ローレンを完全に食ってしまっている。
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で、撮影当時59歳のゲイブルと25歳のローレン。およそ34歳の年の差はちょっと離れすぎではあるものの、そこはローレンの堂々たる貫禄のおかげもあって、意外と不自然な印象は受けない。ただし、撮影の舞台裏では犬猿の仲だったらしいが。また、ローレンとは監督・女優のコンビで数々の名作を世に残したイタリアの巨匠ヴィットリオ・デ・シーカが、軟派でチャラい中年弁護士ヴィターレ役として登場。もともとプレイボーイの二枚目俳優として鳴らした人だけあって、この種の役柄はお手のものといった感じだ。さらに、ナイトクラブでゲイブルを逆ナンする水商売の女として、後にイギリスのハマー・ホラーなどで活躍するフランス女優イヴォンヌ・モンローが顔を出しているのも要注目だ。
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評価(5点満点):★★★★☆

参考DVD情報(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/音声:2.0ch Dolby Digital Mono/言語:英語/字幕:日本語・英語/地域コード:2/時間:100分/発売元:パラマウントジャパン
特典:なし



by nakachan1045 | 2018-10-17 16:34 | 映画 | Comments(0)

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