なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「ダーティ・セブン」 Una ragione per vivere e una per morire (1972)

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監督:トニーノ・ヴァレリー
製作:マイケル・ビリングスレー
   トゥリオ・オデヴァイネ
   アルフォンソ・サンソーネ
   アーサー・ステロフ
原案:エルネスト・ガスタルディ
   トニーノ・ヴァレリー
脚本:エルネスト・ガスタルディ
   トニーノ・ヴァレリー
   ラファエル・アスコナ
撮影:アレハンドロ・ウロア
編集:フランコ・フラティチェッリ
音楽:リズ・オルトラーニ
出演:ジェームズ・コバーン
   バド・スペンサー
   テリー・サヴァラス
   ルネ・コルデホフ(ラインハルト・コルデホフ)
   ホセ・スアレス
   ウーゴ・パンガレッリ
   ギイ・メレッス
   ベニト・ステファネッリ
   アドルフォ・ラストレッティ
   カルラ・マンシーニ
特別出演:ジョルジュ・ジェレ
イタリア・フランス・西ドイツ・スペイン合作/113分/カラー作品




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<あらすじ>
南北戦争の嵐が吹き荒れる1862年。戒厳令の敷かれたニューメキシコの町で、腹を空かせてうろついていた流れ者イーライ(バド・スペンサー)は、もぬけの殻となった教会でペンブローク(ジェームズ・コバーン)という男から高価な十字架を盗もうとしたところ、通りがかった北軍兵士によって2人とも逮捕されてしまう。戒厳令のもとでの窃盗行為は死罪だった。
すると、ペンブロークの姿を見かけた司令官・バラード少佐(ホセ・スアレス)が、驚いて彼を自らの執務室へと呼ぶ。実はこのペンブローク、もともとは北軍の大佐だったのだ。しかし、司令官を務めていたホルマン砦を戦わずして南軍のワード少佐(テリー・サヴァラス)に明け渡してしまい、そのせいで北軍が戦況不利となってしまったことから、今や戦犯として追われる身となっていたのだ。
そのホルマン砦を自らの手で奪回したいと申し出るペンブローク大佐。これ以上、味方に犠牲を増やしたくないと渋るバラード少佐だったが、少数部隊でも十分に勝算がある、作戦成功の暁には手柄を全て譲って自分は消えるというペンブローク大佐の説得に折れる。ペンブロークが要求した私設部隊のメンバーは、ならず者ばかり揃った死刑囚たち。なにしろ、生きて帰れる保証は限りなく少ない。そこにはイーライも含まれていた。さらに、素行不良なバラード少佐の部下、ブレント軍曹(ラインハルト・コルデホフ)も監視役として同行することになる。
かくして、難攻不落のホルマン砦を奪還するという無謀な作戦に出たペンブローク大佐と死刑囚たち。しかし、メンバーは絞首刑を免れたいがために任務を引き受けたため、どいつもこいつも反抗的で全くまとまりがない。すると、ペンブロークは意外なことを打ち明ける。実は、作戦の本当の目的は、ホルマン砦に隠された50万ドル相当の金塊だというのだ。成功すればみんなで山分け。この話を聞いて、ならず者たちも俄然やる気を出す。
やがて南軍の領土へと足を踏み入れる一行。食料を求めて立ち寄った民家の農民家族は殺人・略奪の常習犯で、メンバーの一人を失ってしまうものの、代わりに南軍兵士のユニフォームを手に入れることが出来た。そこかしこに張り巡らされた南軍の監視網を潜り抜け、ようやくホルマン砦へと近づいたならず者部隊。スパイとして一足先に潜り込んだイーライは、そこでペンブロークが作戦に賭けた本当の目的を知る…。
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言うなれば、マカロニ版『特攻大作戦』('67)である。時は南北戦争の真っ只中。難攻不落の軍事要塞ホルマン砦を南軍の手から奪い返すため、片道切符はほぼ確実な決死の極秘任務に北軍指揮官が選んだのは、いくらでも使い捨てに出来る死刑囚たちだった…!というわけだ。そこへ、『七人の侍』('54)以来のアクション映画の定番設定である「7人もの」要素を加味。そもそも、『禿鷹のえさ』('65)といい、『荒野のお尋ね者』('66)といい、『七人の特命隊』('68)といい、マカロニウエスタンは結構「7人もの」設定がお好き。まあ、本作の場合は厳密にいうと指揮官ペンブローク大佐を含めて当初8人で、旅路の途中で1人殺されてようやく7人になるのだけど(笑)。
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ということで、ストーリー自体はわりと予定調和。ペンブローク大佐はなぜ戦わずしてホルマン砦を南軍に明け渡したのか?が全編を通しての大きな疑問で、それが奪還作戦に秘められた真の目的へと繋がるわけだが、まあ、蓋を開けてみれば「やっぱりそういうことだよね」という感じだ。原案・脚本に参加したエルネスト・ガスタルディは、主にジャッロ映画の脚本家としてつとに有名な人物だが、アクションのジャンルにおいてもかなりの多作で、『南から来た用心棒』('66)や『怒りの荒野』('67)などの優れた西部劇も残している。トニーノ・ヴァレリー監督とは『ミスター・ノーボディ』('74)でも組むことになるのだが、まあ、そこそこ手堅い職人的な仕事ぶりと言えるだろう。
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そのトニーノ・ヴァレリー監督は、もともと巨匠セルジオ・レオーネの助監督出身。本作では師匠の名作『夕陽のギャングたち』('71)にも出たハリウッド俳優ジェームズ・コバーンを主演に迎え、『ウエスタン』('68)で使用されたマクベイン一家の農場セットを、主人公たちが旅の途中で立ち寄る略奪一家の農場として流用するなど、全体的にレオーネ作品を強く意識している様子が伺えるのだが、いかんせん演出の調子がいたく軽い。スーサイド・ミッションとしての悲壮感よりもコミカルなタッチが目立つのは、恐らく好き嫌いが分かれるポイントだろう。
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とはいえ、これは時代の要請でもあった。マカロニ・ブームが急速に衰退の道をたどった'70年代初頭、テレンス・ヒル&バド・スペンサー主演の『風来坊』('70)シリーズが予想外の大ヒットを記録すると、マカロニ西部劇のジャンルは一気にコメディ路線へと傾倒していく。そのバド・スペンサーを主人公の相方に起用した本作も、言うなれば「御多分に漏れず」であったわけだ。ヴァレリー監督の次回作『ミスター・ノーボディ』が、西部劇のパロディ的なコメディとなったのも必然だったと言えよう。
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その一方で、クライマックスの巨大要塞を舞台にした壮絶バトルはなかなかの迫力。『ワイルドバンチ』('69)ばりと言ったら少々大袈裟かもしれないが、サム・ペキンパー御大を彷彿とさせるダイナミックなバイオレンス描写で楽しませてくれる。マカロニ西部劇の定番、機関銃掃射もたっぷり。敵を一気にバタバタとなぎ倒していく様子は痛快だ。なお、このホルマン砦の屋外セットは、バート・ケネディ監督『デザーター/特攻騎兵隊』('70)からの流用らしい。
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ただ、せっかくペンブロークの宿敵ワード少佐役に名優テリー・サヴァラスをキャスティングしながら、十分に使いこなせていると言い難いのは惜しまれる。なにしろ出番が少なすぎ。卑怯者で狡賢い人物という設定なのだが、その悪人ぶりを存分に発揮する間もなく終わってしまう。似たようなことは、ならず者集団の描写にも言えるだろう。ハリウッド映画でも活躍したドイツの悪役俳優ラインハルト・コルデホフ、ダリオ・アルジェントの『わたしは目撃者』('71)にも出ていた馬面が印象的な喜劇俳優ウーゴ・パンガレッリ、マフィア映画の悪役としてお馴染みで当時アラン・ドロン主演作の常連でもあったアドルフォ・ラストレッティ、一連のセルジョ・レオーネ作品で悪党の子分役を演じ続けたベニト・ステファネッリなど、地味だがいい顔をしたバイプレイヤーが揃っているものの、キャラそれぞれの描き込みがとても浅いのだ。各人の死に様もあっさり。もうちょっと華を持たせてやっても良かったのではないだろうか。
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なお、冒頭に登場する北軍のバラード少佐を演じているのは、フランコ・ネロ主演『ガンマン無頼』('66)の悪役が印象的なスペインの俳優ホセ・スアレス。ワード少佐の部下であるスパイク軍曹役として特別出演し、ちょっとトボケたコミカルな味わいを見せているのは、ルイス・ブニュエル監督の名作『小間使いの日記』('64)の粗暴な下男ジョゼフ役で有名なジョルジュ・ジェレ。また、イタリア産B級映画の脇役として知る人ぞ知る女優カルラ・マンシーニ(当時は年間40~50本の映画に出ていた)が、略奪一家の娘役として顔を出している。
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ちなみに、本作はヨーロッパで公開された112分強のオリジナル劇場版と、92分に短縮されたアメリカ公開版の2種類が存在する。後者はアメリカで既にブルーレイとして発売済み。オリジナル劇場版はフィルムに損傷が目立つ。作品の印象としても、オリジナル劇場版は終盤までのテンポがわりと遅いので、コンパクトに編集したアメリカ公開版の方がおススメかもしれない。
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評価(5点満点):★★★☆☆

参考DVD情報(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン(2.35:1)/音声:2.0ch Dolby Digital Mono/言語:イタリア語/字幕:日本語/地域コード:2/時間:113分/発売元:エルディ/ファインディスクコーポレーション
特典:なし



by nakachan1045 | 2019-01-06 00:22 | 映画 | Comments(0)

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