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なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「日本の首領(ドン) 完結編」 Japanese Godfather: Resolution (1978)

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監督:中島貞夫
企画:俊藤浩滋
   日下部五朗
   松平乗道
   田岡満
原作:飯干晃一
脚本:高田宏冶
撮影:増田敏雄
音楽:黛敏郎
出演:三船敏郎
   佐分利信
   菅原文太
   大谷直子
   高橋悦史
   片岡千恵蔵(特別出演)
   西村晃
   佐藤慶
   金子信雄
   二宮さよ子
   山本由香利
   織田あきら
   寺田農
   渡辺文雄
   小池朝雄
   遠藤太津朗
   東恵美子
   田口久美
   京唄子
   桜町弘子
   仲谷昇
   鈴木瑞穂
   稲葉義男
   安部徹
   待田京介
   志賀勝
   岩尾正隆
   小林稔侍
   片桐竜次
日本映画/131分/カラー作品




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<あらすじ>
日本政財界の黒幕・大山喜久夫(片岡千恵蔵)が癌で病床に臥した。大山は関東同盟理事長・大石剛介(三船敏郎)と関西中島組組長・佐倉一誠(佐分利信)を呼び、東西のヤクザをたばねた右翼結社・大日本同志会の結成を進言するも、お互いに日本制覇を目論む両者は返事を濁す。その後、大山は佐倉の娘婿である外科医・一宮恭夫(高橋悦史)の手術で一命を取りとめた。
サイパンのリゾート開発計画の利権を狙って、大石は保守与党の伊庭官房長官(仲谷昇)に接近する。手術の件で佐倉に借りが出来た大山は、開発事業を中島組との共同で進めるよう提案するが、大石はにべもなくそれを断った。大石を後押しするのは現総理大臣。次期総裁の座を狙う平山幹事長(金子信雄)から、サイパンの計画を聞いた佐倉は内心焦る。また、大石が権力を持ち過ぎることを危惧した大山も、佐倉に一計を案ずるよう提言する。ただ、大石も佐倉も目下のところ資金調達が最大の難関だった。
その頃、大企業・松原産業が経営難に陥り、同社が所有する広大な土地や資産を狙って関東同盟が暗躍する。それを知った佐倉の右腕・川西(菅原文太)は舎弟・宮原(寺田農)を使って関東同盟による買収計画を妨害。さらに、与党の有力議員・刈田(西村晃)を味方に引き入れ、倒産した建設会社社長の娘・由紀子(大谷直子)を愛人として与えて手懐ける。一方、大石も自分の娘・郁子(山本由香利)と刈田議員の婚外子・春男(織田あきら)を婚約させ、刈田議員と姻戚関係を結んで味方に引き入れようとしていた。
大石はその刈田議員を使って、サイパンでアメリカ側の政治家に4億円の賄賂を贈ることになる。ところが、その現場に強盗が乱入して大騒動となり、日米の政治家間で黒い取引のあることが浮上してしまう。東京地検に睨まれた刈田議員は病気を装って入院。ここは大山が理事長を務め、一宮が外科医を務めているものの、外科部長が大石に買収されているため安心だったのだ。大石は春男の目撃証言から強盗事件に中島組が絡んでいることを察するが、しかしヤクザが事件の背後にいることを公にはしたくない。そのため、事故に見せかけて春男を殺し、入院している刈田議員も始末する。
パトロンを失って金が必要になった由紀子は、刈田議員から預かっていたものを、一宮を通して大山に売り渡した。それは、贈賄事件について関東同盟の関与を裏付ける領収書だった。これで大石は窮地に立たされる。大山が次に狙うのは自分だと読んだ佐倉は、主治医である一宮に大山の毒殺を命じるのだったが…。
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中島貞夫監督と佐分利信のコンビによる日本版『ゴッドファーザー』シリーズの最終章である。ただし、今回は体調不良で出番の減ってしまった佐分利信が二番手へ回り、そのライバルを演じる三船敏郎が主演としてクレジットされることに。さらに、三船・佐分利に引けを取らぬビッグネームが必要だということで、日本映画史に燦然と輝く伝説の時代劇スター、片岡千恵蔵が特別ゲストとして加わった。いやあ、この3人の顔ぶれだけでも実に壮観!有無を言わさぬ重量感と威圧感に、ただただ平伏すしかない。
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前作では東南アジア某国の石油利権を巡って争った、佐倉(佐分利信)率いる中島組と大石(三船敏郎)率いる関東同盟だが、今回はサイパンのリゾート開発計画という国家プロジェクトの利権を巡って激しく対立する。そこへ、両者を手玉に取って漁夫の利を得ようとする日本政財界の黒幕・大山(片岡千恵蔵)が大きく絡むことで、日米の政界を巻き込む三つ巴の権力抗争が展開していくこととなるってなわけだ。シリーズ完結編に相応しく、ストーリーも設定もスケールが大きく、堂々たる大作感を前面に押し出している。
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最大の見せ場は、恐らく中盤のサイパン島を舞台にした現金強奪シーンであろう。カーチェイスやヘリ爆破などのアクションも盛り込まれている。だたし、大物俳優3人のギャラが多額で海外ロケは十分な予算が取れなかったらしく、一部の風景映像を除いてあとはスクリーンプロセスで処理。現地人役も東映の大部屋俳優たちが片言の英語で演じている。いやいや、どこからどう見たって顔にドーラン塗った日本人やん!と突っ込みたくなるところだが、特濃ソース顔の片桐竜次だけは意外と現地人っぽく見えるのが御愛嬌だ。いずれにせよ、誰がどう見ても日本で撮っているのは一目瞭然なため、大風呂敷を広げた割に安っぽい印象を受けることは否めないだろう。
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また、本シリーズはヤクザファミリーの内情を描いた家族ドラマの側面を持つわけだが、今回は佐分利信の出番が少なくなったこともあり、過去2作で大きな役割を占めた佐倉の妻や娘もわずかしか出て来ない。その代わりに大きくクロースアップされるのは、高橋悦史演じる娘婿・一宮である。医師としての出世を取るのか、それとも義父に対する忠誠を取るのかで揺れ動く彼の姿を通して、裏社会の弱肉強食な非情のルールが浮き彫りにされる。苦々しいクライマックスも高橋悦史の独壇場。たとえ表舞台に出てきたとしてもヤクザは所詮ヤクザ、反社会的で有害な組織であることに変わりはないと強く印象付ける。
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そういう意味では、大谷直子の演じるヒロイン・由紀子の存在も重要だ。ヤクザの思惑で中小企業の社長だった父親を自殺に追い込まれ、自らも借金のかたとして性奴隷のように売り飛ばされ、政治家の愛人から高級クラブのママへと成り上がっていくその姿に、裏社会の食い物にされる一般人の怒りや哀しみが投影される。まあ、キャラ造形的にもプロット的にもかなりベタではあるのだけれどね。それに、これが当時の梶芽衣子とか松尾嘉代、池波志乃あたりだったら凄みも出たのだろうが、いかんせん大谷直子ではちょっと線が細すぎる。
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さらに、前作までは佐倉の次女・真樹子(折原真紀)がヤクザの父親に反発するトラブルメーカーとして登場し、華麗なる一族の複雑な愛憎ドラマを浮き彫りにしたわけだが、本作では大石の一人娘・郁子(山本由香利)がその役割を担う。ただ、このサブプロット自体が1作目の焼き直しで、既視感がある上に掘り下げも足りないため、十分に機能しているとは言い難いだろう。そのほか、混血の人気歌手ジゼル役に『東京エマニエル夫人』こと田口久美、代議士・刈田の妾に京唄子を配するも、どうも今回は女優陣を上手く使いこなせていないように思える。
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ちなみに、一応内容としては過去作のストーリーや設定を引き継いでいる本作。政財界の黒幕・大山は前作までの内田朝雄から片岡千恵蔵へバトンタッチされたが、与党幹事長・平山役の金子信雄、大物実業家・横川役の阿部徹、大石の右腕・関野役の佐藤慶などが、前作から引き続き同じキャラで登場する。その一方で、西村晃や渡辺文雄、小池朝雄に志賀勝など、全く違う役柄を演じているシリーズ・レギュラー陣も少なくない。そうした中で興味深いのは、菅原文太が演じる佐倉の腹心・川西明だ。過去に大石を銃撃して返り討ちに遭い、そのせいで車椅子生活を余儀なくされているという設定は、明らかに前作で菅原文太が演じた天坊信助そのものなのだが、ならばなぜキャラクター名を変える必要があったのか?これはちょっとばかり腑に落ちない。
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ということで、シリーズ中では最も出来が弱いと言わざるを得ない完結編だが、三船・佐分利・片岡という日本映画黄金期を代表する重鎮3人の豪華共演という一点においてだけでも、十分に一見の価値がある作品であろう。
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評価(5点満点):★★★☆☆

参考DVD情報(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン(2.35:1)/音声:2.0ch Dolby Digital Mono/言語:日本語/字幕:なし/地域コード:ALL/時間:131分/発売元:東映ビデオ
特典:フォトギャラリー/劇場予告編



by nakachan1045 | 2019-01-21 20:39 | 映画 | Comments(0)

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