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なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「巨大ねずみパニック」 Deadly Eyes (1982)

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監督:ロバート・クローズ
製作:ジェフリー・シェクトマン
   ポール・カーナート
原作:ジェームズ・ハーバート
脚色:ロンドン・スミス
脚本:チャールズ・H・イグリー
撮影:ルネ・ヴェルジエル
音楽:アンソニー・ゲフェン
出演:サム・グルーム
   サラ・ボッツフォード
   スキャットマン・クロザース(特別出演)
   セス・リンダー
   リサ・ラングロワ
   レスリー・ドナルドソン
   ジェームズ・B・ダグラス
   ジョセフ・ケリー
カナダ・香港合作/87分/カラー作品




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<あらすじ>
港に貯蔵されていたステロイドを含有する穀物が大量に発見され、衛生局担当者ケリー(サラ・ボッツフォード)の指示で焼却処分される。現場の状況が余りにも不衛生だったことから、彼女はさらなる立ち入り検査の必要性を上司に訴えるが、市の予算削減を理由に却下されてしまう。そればかりか、今回の大規模な摘発が地元の産業に悪影響を及ぼすとして、市長からクレームが入ったと逆に叱責されるのだった。
その頃、市内では不可解な失踪事件が相次いでいた。実は、港の倉庫でステロイド入りの穀物を食べたネズミが巨大化し、群れとなって人間を襲い始めていたのだ。高校でもバスケ部の部員が巨大ネズミに噛まれ、コーチのポール(サム・グルーム)によって病院へ担ぎ込まれた。幸い怪我は大したことなかったものの、騒動を知ったケリーが生徒の病室を訪ねて事情を聞く。巨大なネズミとはにわかに信じ難かったが、ひとまず彼女は衛生局スタッフのジョージ(スキャットマン・クロザース)に下水道の調査を命じる。
公園で子供と遊ぶポールに再会したケリー。ポールは離婚したばかりで、子供好きの彼女と惹かれあうものを感じる。その晩、デートに出かけた2人はそのままケリーの部屋で結ばれた。翌朝、ケリーのもとへ警察から連絡が入る。下水道からジョージの死体が発見されたのだ。複数の小型犬サイズの動物に食い殺されたらしい。そんな巨大なネズミが存在するのだろうか?ケリーはポールの紹介で動物学者スペンサー教授(セス・リンダー)のもとを訪ねる。
教授によると、ステロイドの影響によってネズミが巨大化し、攻撃的になることは十分あり得るという。すぐさまケリーは、市内全域の下水道を燻蒸処理する。だが、巨大ネズミの死骸は出て来なかった。それどころか、彼らは逆に行動を活発化させていく。
その晩、ケリーは電車好きなポールの息子ティムを連れて、市長も出席する地下鉄の新路線開通式に参加する。一方、凶暴化したネズミの大群が一斉に市民を襲い始め、市内各地でパニックが起きる。独自に調査をしていたスペンサー教授も犠牲となり、異変に気付いたポールはケリーとティムを救うため、地下鉄線路内へと飛び込んでいくのだったが…。
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邦題が全てを物語る作品である(笑)。カナダのとある大都会(ロケ地はトロント)を舞台に、ステロイド入りの穀物を食べたせいで巨大化したドブネズミが、群れになって人間を襲うという動物パニック・ホラー。それ以上でもそれ以下でもなし。潔いくらいに単純明快だ。しかも、監督は『燃えよドラゴン』('73)や『ブルース・リー/死亡遊戯』('78)のロバート・クローズ!実はこれ、香港のゴールデン・ハーヴェストがカナダの制作会社と合作した映画なのだ。
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脚本を手掛けたのは、その後『こちらブルムーン探偵社』や『NYPDブルー』、『ザ・シールド~ルール無用の警察バッジ~』、『デクスター~警察官は殺人鬼』、『ウォーキング・デッド』などなど、数々の傑作テレビシリーズの製作・脚本で名を成したチャールズ・H・イグリー。一応、原作はイギリスの有名なホラー作家ジェームズ・ハーバートのベストセラー小説『鼠』であり、小説版の基本プロットもそれなりに尊重されてはいるものの、より分かりやすくシンプルに換骨奪胎しましたという印象だ。
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巨大ネズミの存在にいち早く気付いた衛生局の女性担当官(原作だと男性)が警告を発するも、地元経済の保護と活性化を優先する市長やその腰巾着の上司から圧力をかけられ、その結果大惨事が引き起こされ大勢が食い殺されてしまう。これぞまさしく、『ジョーズ』('75)に始まる動物パニック映画の王道!といった感じのストーリーだが、実は脚本家イグリーのデビュー作はH・A・ミルトンの偽名を使用した『ジョーズ』のパクり映画『殺人魚フライングキラー』('81)。本作の脚本は、基本的にその焼き直しだという。
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小説版にはない大人のラブロマンスだったり、高校生たちのたわいない青春ドラマだったりを盛り込んでいるのも、原作者ハーバートは気に食わなかったらしいが、この手のB級動物パニック映画を見慣れていれば気にもならないだろう。全くの無問題。むしろ、感情移入のしやすいキャラを散りばめることで、きちんとサスペンスを盛り上げることに貢献しているし、なによりも無駄に人間ドラマを引っ張らないさじ加減も絶妙である。
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最大の「売り」である巨大ネズミの造形には賛否両論あるだろう。確かに、クロースアップで使用されるパペットは笑ってしまうくらいにチープ。「マペットショー」かよ!といった感じだ(笑)。しかし、小型犬サイズのネズミが群れになってワサワサと動き回る様子はなかなか不気味。実はこれ、ダックスフンドにゴム製のネズミスーツを着せているのだが、ロングショットだとなるほど巨大ネズミ軍団にしか見えず、そうと知らなければ結構ショッキングだ。
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終盤の映画館や地下鉄でのパニック・シーンも、そこそこ手堅い仕上がりと言えるだろう。低予算映画としてはかなり健闘しているという印象。まあ、地下鉄ではもうちょっと派手に殺しまくって欲しかったという気もしないではないが、潤沢な予算を取れるハリウッド映画じゃないしね。映画館での上映作品が『ブルース・リー/死亡遊戯』だったりするのもご愛敬。いずれにせよ、B級映画ファンならば十分に楽しめる良作だと思う。
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主演は当時カナダのテレビで人気スターだったサム・グルームとサラ・ボッツフォード。サラはその後、ハリウッドのメジャー映画にも進出し、最近では『赤毛のアン』('15)シリーズのマリラ役ですっかり味わい深い名女優となった。むしろ、この種のホラー映画に出ていたことを意外に思う向きもあるだろう。しかも、ベッドシーンではヌードまで披露しているしね。まさしく人に歴史ありといったところですな。
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脇役には当時のカナダ映画で引っ張りだこだったリサ・ラングロワ、レスリー・ドナルドソン、ジョセフ・ケリーといった若手スターが登場。中でも、『誕生日はもう来ない』('81)や『処刑教室』('82)などのブロンド美女リサ・ラングロワは、ジャンル系映画ファンにはお馴染みであろう。もともとフランスの名匠クロード・シャブロルに発掘されて映画デビューした人だが、なぜかその後はホラーやSFなどのジャンルで重宝された女優だった。
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実は彼女、『ターミネーター』('85)のサラ・コナー役をリンダ・ハミルトンと最後まで競い、一旦は決まったリンダが撮影開始直後に怪我をして仕事が出来なくなった際は、もともと彼女推しだったゲイル・アン・ハードから代役をオファーされたらしい。しかし、当時既に彼女はニール・サイモン原作のハル・アシュビー監督作『スラッガーズ・ワイフ』('85)の撮影に入っており、両者を天秤にかけたエージェントの判断で『ターミネーター』を断ったという。なにしろ、当時ハル・アシュビーといえばハリウッドの巨匠で、かたやジェームズ・キャメロンはまだ無名に近いB級映画監督。しかも、『ターミネーター』が大ヒットするなんて誰も想像すらしなかった。なんとも皮肉な話だ。
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また、キューブリックの『シャイニング』('80)で知られる名優スキャットマン・クロザースが顔を出しているのも要注目。といっても、あっという間に巨大ネズミの餌食になってしまうのだけど(笑)。ちなみに、スペンサー教授を演じているセス・リンダーは、カナダでは知らぬ人のいない演劇界の重鎮。日本ではセク・リンダーと誤って表記されているが、これはセシルを略した名前なのでセスと発音するのが正しい。
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評価(5点満点):★★★☆☆

参考ブルーレイ&DVD情報(アメリカ版)
ブルーレイ
カラー/ワイドスクリーン(1.78:1)/1080p/音声:2.0ch DTS-HD Master Aduio/言語:英語/字幕:英語/地域コード:A/時間:87分
DVD
カラー/ワイドスクリーン(1.78:1)/音声:2.0ch Dolby Digital/言語:英語/字幕:英語/地域コード:1/時間:87分
発売元:Scream Factory
特典:メイキング・ドキュメンタリー「Deadly Eyes: Dogs in Rats Clothing」('14年制作・約24分)/女優リサ・ラングロワのインタビュー('14年制作・約19分)/女優レスリー・ドナルドソンのインタビュー('14年制作・約14分)/男優ジョセフ・ケリーのインタビュー('14年制作・約13分)/特殊効果担当アラン・アポーンのインタビュー('14年制作・約14分)/TVスポット



by nakachan1045 | 2019-02-04 04:31 | 映画 | Comments(0)

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