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なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「Fieras sin jaula」 aka Two Males for Alexa (1971)

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監督:フアン・ロガール
脚本:フアン・ロペス・ガルシア(フアン・ロガール)
   フランチェスコ・カンピテッリ
撮影:イギノ・フロレンティーニ
衣装:ジョルジョ・マルゼッリ
音楽:ピエロ・ピッチョーニ
出演:クルト・ユルゲンス
   ロサルバ・ネリ
   フアン・ルイス・ガリアルド
   エマ・コーエン
   マノロ・オテロ
   エドゥアルド・カルヴォ
スペイン・イタリア合作/85分/カラー作品




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<あらすじ>
パリに住む美しく野心的な女性アレクサ(ロサルバ・ネリ)は、同じ大学に通う学生フィリップ(マノロ・オテロ)と付き合っていたが、大富豪の令嬢である親友カトリーヌ(エマ・コーエン)の父親ローランド(クルト・ユルゲンス)に見初められ、莫大な財産を目当てに彼と結婚するのだった。
しかし、親子ほど年の離れたローランドとの結婚生活は退屈で、アレクサはたまたまナンパしてきた若い男ピエトロ(フアン・ルイス・ガリアルド)と浮気するようになる。夫が留守がちなのをいいことに逢瀬を重ねるアレクサとピエトロ。しかし、やがて2人の関係はローランドの知るところとなる。
若い妻を自分が満足させられないのだから仕方がない。そう割り切ったつもりのローランドだったが、募る嫉妬心から次第にストーカーと化していく。一方のアレクサも夫を愛してはいないものの情はあったし、やはり大富豪夫人の座を手放すのは惜しい。それに、いまや夫からお墨付きを得たも同然。そう考えた彼女は人目もはばからずピエトロとの逢引きを楽しむ。
そんなある晩、いつものようにノルマンディの別荘でアレクサとピエトロが情事に溺れていると、国外へ出張しているはずのローランドが寝室に現れ、妻とその愛人の前でピストル自殺を遂げる。ショックで呆然とする2人。すると、部屋のドアと窓が鉄板で閉め切られ外へ出れなくなってしまう。
テープレコーダーから流れるローランドの肉声。「もう私から逃れることはできない。2人とも私と一緒にこの部屋で朽ち果てていくのだ」と。これはローランドが以前から準備していた復讐計画だった。なぜこんなことになってしまったのか。これまでの出来事を振り返り、やがてお互いに責任をなすりつけて罵り合うアレクサとピエトロ。外部への連絡手段はおろか水も食料もなく、2人は後悔と憎しみの中で徐々に衰弱していく。その頃、父親と連絡がつかないことを心配したカトリーヌが弁護士に相談するのだが…。
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しばしばスペイン産ジャッロとして紹介される映画だが、まあ、「ジャッロ=スリラー」という広義の解釈においてはそうなのかもしれないけれど、どちらかといえばエロティック・サスペンスに近い作品と言えるだろう。親子ほど年齢の離れた若い妻の浮気を知った大富豪の中年男が、綿密に練った復讐計画を実行に移す。それは、妻とその愛人の目の前で拳銃自殺を遂げ、自分の遺体と一緒に2人を狭い部屋に閉じ込めること。果たして、罪深き男女は生きてここから出られるのか…?ってわけだ。
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ストーリー自体はわいないものの、その語り口はちょっと凝っている。まずは豪華な別荘の寝室で情事にふける妻アレクサと愛人ピエトロの前に夫ローランド(imdbのデータではロナルドとされているが本編ではローランド)が現れ、こめかみにあてたピストルをぶっ放して自殺。突然の出来事に2人が呆然としていると、部屋のドアや窓に仕掛けられた鉄板シャッターがバタバタと閉まり、外へ出れなくなってしまう。
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なぜこんなことになってしまったのだろうかと、これまでの経緯を振り返るアレクサとピエトロ。ここからはモノローグとフラッシュバックを交えつつ、ここへ至るまでの出来事が語られていく。誠実な若者フィリップという恋人がありながら、金に目がくらんで親友カトリーヌの裕福な父親ローランドと結婚したアレクサ。プレイボーイの売れない画家で、過去に何人もの恋人がいたものの、危険な魅力を持つアレクサに夢中となったピエトロ。ローランドの金を食い物にして贅沢三昧を楽しんだ2人は、その火遊びのツケを支払わねばならなくなる。
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金銭欲なんかに惑わされず、あのままフィリップと付き合って結婚していたら。女遊びなんかにうつつを抜かさず、真面目な普通の女性を伴侶に選んで仕事を頑張っていたら。自らの誤った選択を後悔する2人は、やがて空腹と絶望の中で相手に責任をなすりつけ、お互いを罵りながら憎悪をぶつけ合っていく。極限状態の中で露呈する人間の醜さと愚かさを描いたサイコロジカルなサスペンスドラマといったところだ。
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全体的には昭和の2時間サスペンスと似たような印象。『狂った蜜蜂』('68)や『殺意の海』('69)など、キャロル・ベイカー×ウンベルト・レンツィのコンビによる一連のジャッロを彷彿とさせる部分もなくはない。脚本の構成はそれなりに凝っているものの、演出自体はどこまでも平凡だ。見どころは当時のノスタルジックでお洒落なパリの風景、キャスト陣の着用する'70年代初頭のスウィンギンなファッション、イタリア映画音楽の巨匠ピエロ・ピッチョーニの手がけたムーディなラウンジ・ミュージック、そして彫刻のごとき肉体美を惜しげもなく披露するロサルバ・ネリの大胆なヌードといったところか。まあ、お世辞にも良くできた映画とは言い難いけれど、'70年代ユーロ・トラッシュ映画のファンなら十分に楽しめることだろう。
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一応、クレジット上の主演は『素直な悪女』('56)や『史上最大の作戦』('62)、『007/私を愛したスパイ』('77)などでお馴染みのドイツの大御所俳優クルト・ユルゲンスだが、実質的にはイタリア産B級映画の女王ロサルバ・ネリとスペインの2枚目スター、フアン・ルイス・ガリアルドが主演。ガリアルドは後にスペイン版オスカー、ゴヤ賞で主演男優賞に輝くほどの名優となった。また、カトリーヌ役のエマ・コーエンは本名をエマヌエラ・ベルトラン・ラオーラというスペイン人で、当時はイタリア映画やフランス映画でも引っ張りだこの売れっ子女優だった。フィリップ役のマノロ・オテロはスペインのポップス歌手としてとても有名だ。
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なお、日本では劇場未公開、テレビ放送もビデオ発売も確認できていない本作。今のところドイツでのみ、ブルーレイとDVDの2枚組セットがリリースされている。50年近く前のマイナー映画としては驚くほどの高画質。イタリア版とスペイン版(こちらは若干、画質・音質が劣る)を同時収録しているのだが、オープニングのクレジット映像および導入部分の編集が全く違う。また、ロサルバ・ネリのヌード・シーンも、スペイン版では着衣バージョンに差し替えられるかバッサリとカットされており、その代わりにドラマ部分が増やされている。当時のフランコ政権下におけるスペインでは性描写&残酷描写が御法度だったため、国内公開版と国外配給版で編集が異なるのは当たり前。そのため、セックス・シーンや残酷シーンも2パターン撮影して使い分けるのが通例だった。なので、当時のスペイン産B級娯楽映画は、だいたい国外向けハード版と国内向けソフト版の2バージョンが存在したのである。
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評価(5点満点):★★★☆☆

参考ブルーレイ&DVD情報(ドイツ盤)
ブルーレイ
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/1080p/音声:2.0ch DTS-HD Master Audio/言語:イタリア語・スペイン語・ドイツ語/字幕:英語・ドイツ語/時間:85分/地域コード:ALL
DVD
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/音声:2.0ch Dolby Digital/言語:イタリア語・スペイン語・ドイツ語/字幕:英語・ドイツ語/時間:85分/地域コード:ALL
発売元:X Rated/Rewind Films
特典:スペイン公開版(87分)/イタリア版オープニング・クレジット別バージョン(約3分)/イタリア版オープニング・ノークレジット・バージョン(約2分)/アウトテイク集(約6分)/サウンドトラック(約6分)



by nakachan1045 | 2019-02-15 06:33 | 映画 | Comments(0)

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