人気ブログランキング |

なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

「魔界からの招待状」 Tales from the Crypt (1972)

f0367483_16145276.jpg
監督:フレディ・フランシス
製作:マックス・J・ローゼンバーグ
   ミルトン・サボツキー
製作総指揮:チャールズ・フライズ
脚本:ミルトン・サボツキー
撮影:ノーマン・ワーウィック
美術:トニー・カーティス
音楽:ダグラス・ギャムレイ
出演:ジョーン・コリンズ
   ピーター・カッシング
   ロイ・ドトリス
   リチャード・グリーン
   イアン・ヘドリー
   パトリック・マギー
   バーバラ・マレー
   ナイジェル・パトリック
   ロビン・フィリップス
   ラルフ・リチャードソン
イギリス映画/92分/カラー作品




<あらすじ>
プロローグ……とある修道院の地下墓地。観光客グループから5人の男女がはぐれてしまい、地下通路の先にある広間へと迷い込む。そこには1人の墓守(ラルフ・リチャードソン)が彼らを待ち受けていた。椅子に座るよう男女に促した墓守は、1人づつ悪夢のようなビジョンを見せていく。

第1話「And All Through The House」……クリスマス・イブの夜。主婦ジョアン・クレイトン(ジョーン・コリンズ)は、保険金目的で夫を殺害する。すると、ラジオから緊急ニュースが流れてきた。近くの精神病院からサンタクロースの格好をした殺人鬼が脱走したという。ふと玄関から外を見ると、サンタクロース姿の怪しげな男の姿が!夫の死体を片付けて警察へ通報しようとするジョアンだったが、幼い娘がサンタクロースを本物だと思って家の中へ招き入れてしまう…。

第2話「Reflection of Death」……カール・メイトランド(イアン・ヘドリー)は、妻子を捨てて愛人スーザン(アンジェラ・ブレイク)と駆け落ちをしようとしていた。しかし、その途中で交通事故に遭ってしまう。命からがら車の外へ逃げ出したカール。スーザンの姿は見当たらない。我が家を目指して歩き始めるが、なぜか途中で助けを求めた人々は、彼の顔を見たとたんに悲鳴をあげて逃げ出す。ようやく家へとたどり着いたカールだったが…。

第3話「Poetic Justice」……高級住宅街に住む裕福な青年ジェームズ(ロビン・フィリップス)とその父親エリオット氏は、ガラクタを集めて玩具を作っては近所の子供たちに配っている隣人グリムスダイク氏(ピーター・カッシング)を忌み嫌っていた。彼のような貧しい老人がいては住宅街の評判に関わる、このままだと地価が下がってしまうと考えたエリオット親子は、グリムスダイク氏を追い出そうと嫌がらせを始める。ところが、孤独な彼は事態を重く受け止めて自殺してしまう…。

第4話「Wish You Were Here」……裏商売で儲けてきた悪徳ビジネスマン、ラルフ・ジェイソン(リチャード・グリーン)が破産の危機に直面する。妻イニッド(バーバラ・マレー)は、藁にもすがる思いで香港で買った骨董品の仏像に願をかけたところ、弁護士(ロイ・ドトリス)から財政難が解決するかもしれないとの連絡が入る。願いが叶ったのだ。しかし、弁護士のもとへ向かったラルフは交通事故で死亡。おかげで多額の保険金が入ることを知ったイニッドは、自分が「たくさんお金が欲しい」と欲をかいたせいで夫が死んだと気付く。仏像が叶えてくれる願いはあと2つだけ。夫を生き返らせて欲しいと願をかけるイニッドだったが…?

第5話「Blind Alleys」……元軍人のロジャース少佐(ナイジェル・パトリック)は、視覚障害者向け老人ホームの院長となる。経営改革と称して食費や冷暖房費を削る一方、自分と愛犬は贅沢をするロジャース少佐に怒りを募らせる入居者たち。ある冬の晩、寒さと栄養失調で仲間が亡くなったことから、カーター(パトリック・マギー)をリーダーとする入居者たちは、ある恐ろしい復讐計画を実行に移す…。

エピローグ……生々しいビジョンに唖然とする5人の男女。そんな彼らに墓守が言う。これは、これから君たちの身に起きることではない、すでに君たちの身に起きたことなのだと…。

※下記レビューには一部ネタバレが含まれます。

ブリティッシュ・ホラーの殿堂ハマー・フィルムの最大のライバルとして、'60年代半ばから'70年代にかけて人気を誇った英国の映画会社アミカス・プロダクション。これはそのアミカスが、アメリカの老舗コミック出版社ECコミックスと提携を結んで発表したオムニバス・ホラー映画である。

ホラー映画ファンならばご存知の通り、アミカスといえばオムニバス。ドラキュラやフランケンシュタインの怪物などの古典的モンスター映画で一時代を築いたハマー・フィルムに対し、後発組のアミカスは複数の短編恐怖譚を集めたオムニバス・ホラー映画を中心にヒットを飛ばしたのである。もちろん、普通のホラー映画も撮っているし、SFやミステリー(そもそも『ドクター・フー』劇場版シリーズを作ったのはアミカス)などホラー以外のジャンル作品も少なくないが、それでもなお、やはりアミカスの名を高めたのは『テラー博士の恐怖』('64)を筆頭とするオムニバス・ホラー映画群だと言えよう。

その内容構成はだいたい似通っている。最も多いのは、列車の車両や地下室など特定の場所に集まった人々が、謎めいた人物によって各人の恐ろしい運命(未来の場合もあれば過去の場合もある)を聞かされ、全てのエピソードが終わると彼らがそこへ集った本当の理由が明かされる…というパターン。『怪奇!血のしたたる家』('70)は呪われた屋敷の歴史を不動産業者が語る、『アサイラム/狂人病棟』('72)では精神科医が患者たちの話を聞くといった具合に多少のバリエーションはあるものの、いずれにせよ各エピソードは共通する特定のシチュエーションのもとで描かれていく。本作の場合だと地下墓地だ。

とある古い修道院の地下墓地。観光客グループからはぐれてしまった5人の男女は、気付くと薄暗い広間へとたどり着いている。そこにはフードを被った墓守の老人が待ち受けており、あなたたちはなぜここに来たのか?と問いかけるのだが、そこで彼らはなぜ自分がこの地下墓地へやって来たのか、ハッキリとした理由を思い出せないことに気付く。すると、おもむろに墓守が各人の恐ろしくも悲惨な運命を順番にビジョンで見せていき、ラストに彼ら全員がすでに死んでいることを明かすのだ。

保険金目当てに夫を殺した人妻、妻子を捨てて愛人と駆け落ちした男、気に食わない隣人を自殺に追い込んだ若者などなど、いずれのエピソードも業の深さゆえに罪を犯した人間が手痛いしっぺ返しを食らう。まあ、別に深い教訓が込められているというわけではないし、ちょっと強引じゃね?と思えるような突込みどころも少なくはないのだが、それでもなお、ひねりを利かせた皮肉なストーリー展開は面白い。あまり深いことを考えずに楽しむべきだろう。

中でも特に印象的なのは第4話。破産の危機に直面した悪徳ビジネスマンとその妻が、持ち主の願いを3つだけ叶えてくれるという仏像に願掛けをしたところ、欲をかいたせいで悲惨な目に遭ってしまう。有名な短編怪奇小説『猿の手』が元ネタであることは明白だが、この結末の辛辣さは全エピソード中でも群を抜いていると言えるだろう。よくよく考えると本編エンディングのオチと辻褄の合わない点はあるのだけど、ひとまず面白いからヨシとしておきましょう(笑)。

原作はECコミックスの有名なホラー雑誌「Tales from the Crypt」。ただし、実際に同誌に掲載された短編コミックを原作とするエピソードは第2話と第5話だけで、あとはEC社の別の雑誌からセレクトされている。というのも、脚本を書いたミルトン・サボツキー(アミカス社長コンビの片割れ)は雑誌本体ではなくペーパーバック版の傑作選を参考にしたらしく、そのペーパーバック版には別の雑誌に掲載された短編も混在していたそうなのだ。

監督は2度のアカデミー賞に輝く大物撮影監督であり、その傍らで数多くのB級ホラー映画の演出を手掛けたフレディ・フランシス。『テラー博士の恐怖』以来、アミカス作品には欠かせない看板監督だったが、その一方でライバルのハマー・フィルムでも何本か撮っている。これはなにも彼だけの話じゃなく、ほかにもハマーとアミカスの両方で仕事をした監督やスタッフ、俳優は少なくない。まあ、別に専属契約を結んでいたわけじゃないから当たり前なのだけど、ちょっと興味深いなとは思う。

で、そのハマー・フィルムの看板スターである怪奇俳優ピーター・カッシングが第3話に登場。子供好きで心優しい変わり者の老人という、ほかではあまり見たことのない珍しい役柄を演じている。また、『落ちた偶像』('48)や『リチャード三世』('55)などで有名な英国演劇界の重鎮ラルフ・リチャードソンが、この手のB級ホラー映画に出演したことも珍しい。'50年代の英国映画を代表するトップスター、ナイジェル・パトリックも、これが唯一のホラー映画出演だった。当時落ち目だったジョーン・コリンズは、本作を機にアミカスやハマーのホラー作品に立て続けて出演し、その後『ザ・スタッド』('78)の大ヒットで華麗なる復活を遂げることになる。

なお、原作「Tales from the Crypt」は'89年にアメリカのケーブル局HBOにてテレビシリーズ化されて大ヒットし、日本では『ハリウッド・ナイトメア』や『フィアーナイト』など様々なタイトルでビデオソフト化されている。

評価(5点満点):★★★☆☆

f0367483_16145771.jpg
参考ブルーレイ情報(アメリカ盤2枚組)※『墓場にて/魔界への招待・そこは地獄の始発駅』とのカップリング
カラー/ワイドスクリーン(1.78:1)/1080p/音声:2.0ch DTS-HD Master Audio/言語:英語/字幕:英語/地域コード:A/時間:92分/発売元:Scream Factory
特典:なし



by nakachan1045 | 2019-02-17 13:24 | 映画 | Comments(0)

カテゴリ

全体
映画
音楽
未分類

お気に入りブログ

なにさま映画評

最新のコメント

「ディメンシャ13」は廉..
by cary1959 at 04:30
中沢様はベテランのブロッ..
by Y. Kubota at 03:05
すいません!その通りです..
by nakachan1045 at 13:12
直人の子分に曽根晴美とあ..
by Django at 02:25
いまみると、北斗の拳のバ..
by ドゴラ at 14:14
昔、NHKで見たので記憶..
by さすらい日乗 at 12:59
> さすらい日乗さん ..
by nakachan1045 at 10:21
これは、公開時に今はない..
by さすらい日乗 at 07:33

メモ帳

最新のトラックバック

venussome.co..
from venussome.com/..
venuspoor.co..
from venuspoor.com/..
venuspoor.com
from venuspoor.com
http://while..
from http://whileli..
http://while..
from http://whileli..
http://www.v..
from http://www.val..
オペラ・ブッファの傑作で..
from dezire_photo &..

ライフログ

検索

ブログパーツ

最新の記事

「華麗なる賭け」 The T..
at 2019-04-15 02:50
「スパイ戦線」 Carve ..
at 2019-04-14 02:03
「Snow White(白雪..
at 2019-04-12 20:53
「ディメンシャ13」 Dem..
at 2019-04-09 14:21
「ストリッパー殺人事件」 S..
at 2019-04-08 01:44

外部リンク

ファン

ブログジャンル

映画
ライター