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なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「墓場にて/魔界への招待・そこは地獄の始発駅」 Vault of Horror (1973)

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監督:ロイ・ウォード・ベイカー
製作:マックス・J・ローゼンバーグ
   ミルトン・サボツキー
製作総指揮:チャールズ・フライズ
原案:アル・フェルドスタイン
   ビル・ゲインズ
脚本:ミルトン・サボツキー
撮影:デニス・クープ
音楽:ダグラス・ギャムレイ
出演:ドーン・アダムス
   トム・ベイカー
   マイケル・クレイグ
   デンホルム・エリオット
   グリニス・ジョンス
   エドワード・ジャッド
   クルト・ユルゲンス
   アンナ・マッセイ
   ダニエル・マッセイ
   テリー=トーマス
イギリス映画/87分/カラー作品




<あらすじ>
プロローグ……ロンドンのとある高層ビル。エレベーターに次々と乗り込んだ5人の男性は、なぜかボタンを押していない地下階へとたどり着く。そこはまるで紳士クラブのような内装で、テーブルにはブランデーやコニャックが用意されていた。せっかくだからくつろいでいこうと考えた5人は、酒を飲みながら近頃よく見る悪夢について語り始める。

第1話「Midnight Mess」……父親の遺産を相続した妹ドナ(アンナ・マッセイ)の行方を捜して、とある奇妙な町へとやってきたハロルド(ダニエル・マッセイ)。そこは、なぜか日没前に住民たちが家の中へ籠ってしまう。遺産を横取りするため妹を殺害したハロルドは、夜が更けても唯一開店している地元レストランで食事をしようとするのだが…。

第2話「The Neat Job」……長いこと独身を貫いてきた金持ちの中年男アーサー(テリー=トーマス)がついに結婚する。新妻エレノア(グリニス・ジョンス)は同居を始めてすぐに、彼がなぜ今まで結婚しなかったのか気付く。異常なまでに潔癖症なのだ。掃除や整理整頓が完璧でないと癇癪を起すアーサーに困惑するエレノア。なんとか頑張ってはみるものの、大雑把な性格の彼女にはハードルが高く、やがて精神的に追い詰められていく…。

第3話「The Trick'll Kill You」……有名なマジシャン夫婦セバスチャン(クルト・ユルゲンス)とイネス(ドーン・アダムス)は、新しいマジックのネタを探してインドを旅していたが、どれもこれも古いトリックばかりでパッとしない。そんなある日、セバスチャンはフルートの音色で太い縄を自在に操る若い女性と出くわし、彼女からそのトリックを高値で買おうとするものの断られてしまう。そこで夫婦は共謀して女性を殺害し、魔法のフルートと縄を手に入れるのだが…。

第4話「Bargain in Death」……メイトランド(マイケル・クレイグ)は親友アレックス(エドワード・ジャッド)と結託して保険金詐欺を計画する。仮死状態になる薬を使ってメイトランドが心臓発作で死んだように見せかけ、保険金を受け取ったアレックスが24時間後に墓で息を吹き返したメイトランドを掘り起こすのだ。ところが、アレックスは最初から金を持ち逃げするつもりだった。何も知らず地中で目覚めるメイトランド。そこへやってきた死体泥棒の若者コンビが、メイトランドの墓を掘り起こすのだが…。

第5話「Drawn and Quartered」……カリブ海のハイチで暮らす貧しいイギリス人画家ムーア(トム・ベイカー)は、たまたま再会した友人から自分の絵が高値で売買されていることを知る。画商ティッタント(デンホルム・エリオット)らにずっと騙されてきたと気付いたムーアは、ヴードゥーの呪術師に復讐を依頼。すると、彼は自分の描いた絵の被写体に危害を加えることができる不思議な力を授かる。早速ロンドンへ戻った彼は、憎き関係者たちの肖像画を描いて復讐を始めるのだが…。

エピローグ……一通り話が終わった時点で、エレベーターの扉が開く。これで帰れると思った5人が乗り込もうとすると…?

※下記レビューは一部ネタバレを含みます。

前作『魔界からの招待状』に続いて、イギリスのアミカス・プロがアメコミ出版社ECコミックスと組んだオムニバス・ホラー映画である。今度は同社のホラー雑誌「Vault of Horror」シリーズが原作とされているのだが、実は同誌に掲載された短編コミックの映像化は1つも含まれていない。第2話は「Shock SuspenStory」が元ネタ、それ以外は「Tales from the Crypt」が元ネタといった具合に、全てその他のECコミックス誌からセレクトされているのだ。

今回の舞台は近代的な高層ビルの地下階。たまたまエレベーターに乗り合わせた5人の男性が、ボタンを押してもいない地下階へとたどり着く。そこはまるで紳士クラブのラウンジルーム。振り返るとエレベーターの扉は閉まり、開けるためのボタンも見当たらない。仕方がない、そのうち誰か気づいて助けてくれるだろう。そう考えた5人は、テーブルに並べられた高級酒を飲みかわしながら、近頃よく見る悪夢について順番に話始める…という筋書きだ。

各エピソードのストーリーは基本的にたわいないものだが、やはり前作『魔界からの招待状』同様、それぞれに皮肉の効いたブラックなオチが付いており、深いこと考えず気軽に楽しめるような内容になっている。個人的には、実は町の住民がヴァンパイアだった…という結末にニヤリとさせられる第1話が結構好き。実の兄妹であるダニエル・マッセイとアンナ・マッセイの共演というのも興味深い。

第2話は名喜劇俳優テリー=トーマスのパラノイア的な潔癖症ぶりと、大雑把な性格の妻を演じるグリニス・ジョンスの天然ボケぶりの好対照がなんとも絶妙だ。そりゃそうだよね、なんたって相手は『メリー・ポピンズ』('64)のバンクス夫人だもの、掃除も整理整頓も完璧なスーパー主婦を求める方が間違っているってもんですわ(笑)。第3話と第4話は欲深い人間に天罰が下るというお話。マジシャン夫婦を演じるドイツの名優クルト・ユルゲンスと、チャップリンの『ニューヨークの王様』('57)で有名なドーン・アダムスの顔合わせも見どころだ。

そして、全エピソード中で最も独創的なのは第5話。ハイチに住む貧しい画家(4代目ドクター・フーとして有名なトム・ベイカー!)が、自分を騙した画商や美術評論家に復讐すべく、ヴードゥーの呪術師に助けを求める。そこで彼が得た能力ってのが、描いた被写体に危害を与えることができるというもの。どういうことかというと、彼の描いた絵に何かしらの変更を加えると、現実の被写体もその通りになってしまうのだ。なので、肖像画の目を潰せばそのモデルも失明するし、肖像画の腕を引き裂けばそのモデルも腕を切断されてしまう。いやー、これ悪用されたらたまりませんな。

ただしこの画家、一つだけ弱点というか盲点があった。よりによって自分の肖像画を描いていたのである。まさに痛恨のミス!これが予想外に取り扱い要注意でしてね、安全な金庫の中に保管しようとしても、長い時間しまっておくと酸欠で息苦しくなってしまう。かといって、外に出しておくにも危険なのだけど…ということで、この厄介な自画像が思いがけない結末をもたらすことになるわけだ。

監督はハマー・フィルムで『火星人地球大襲撃』('67)や『バンパイア・ラヴァーズ』('71)、『ジキル博士とハイド嬢』('71)などの佳作を撮った名匠ロイ・ウォード・ベイカー。アミカスでは本作と『アサイラム/狂人病棟』('72)、『スクリーミング/夜歩く手首』('73)の3本を手掛けている。彼のフィルグラフィーの中では、必ずしもベストな部類に入る作品ではないものの、エピソードごとにコミカルからシリアスまで演出のタッチを器用にこなすさまは、さすが'40年代から活躍するベテラン職人監督といった感じだ。

ちなみに、本作はもともと4:3のスタンダードサイズで撮影されており、劇場公開の際に上下をマスキングした疑似ビスタサイズで上映されている。つまり、スタンダードサイズ版とビスタサイズ版が存在するのだ。また、アメリカではリバイバル公開に際して残酷シーンに修正を施したPGバージョンも作られた。現在アメリカで発売されているブルーレイには、3種類の全バージョンが収録されている。

画質が最も良いのは、やはりオリジナルのスタンダードサイズ版。ワイドスクリーンのビスタサイズ版はブローアップされているため、どうしても画像が粗めになってしまうのだよね。で、問題のPGバージョン(ビスタサイズ)なのだけれど、残酷シーンが静止画に差し替えられているのはまだいいとして、さらに黒く塗りつぶされた部分まであるのにはちょっと驚いた。いやはや、もしたまたま映画館に入って見たバージョンがこれだったら、俺ならむっちゃ腹立つだろうなあ(笑)。

評価(5点満点):★★★☆☆

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参考ブルーレイ情報(アメリカ盤)※『魔界からの招待状』とのカップリング
カラー/ワイドスクリーン(1.78:1)・スタンダードサイズ(1.33:1)/1080p/音声:2.0ch DTS-HD Master Audio/言語:英語/字幕:英語/地域コード:A/時間:87分・86分(PGバージョン)/発売元:Scream Factory
特典:オリジナル劇場予告編/タイトル・クレジット別バージョン




by nakachan1045 | 2019-02-18 07:08 | 映画 | Comments(0)

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