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なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「ベビー・ゾンビ/鮮血の産ぶ声」 I Don't Want To Be Born (1975)

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監督:ピーター・サスディ
製作総指揮:ナト・デ・アンジェレス
原案:ナト・デ・アンジェレス
脚本:スタンリー・プライス
撮影:ケネス・タルボット
音楽:ロイ・グレイナー
出演:ジョーン・コリンズ
   アイリーン・アトキンス
   ラルフ・ベイツ
   キャロライン・マンロー
   ヒラリー・メイソン
   ジョン・スタイナー
   ジョージ・クレイドン
特別出演:ドナルド・プレザンス
イギリス映画/94分/カラー作品




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<あらすじ>
ロンドンの病院で一人の女性が出産する。彼女の名前はルーシー(ジョーン・コリンズ)。裕福なイタリア系ビジネスマン、ジーノ(ラルフ・ベイツ)と結婚した彼女にとって待望の子供だったのだが、産婦人科の担当医師フィンチ(ドナルド・プレザンス)が「まるでこの子は生まれたくないようだ」と漏らすほどの難産だった。
生まれた長男にニコラスと名付けたルーシーとジーノ。しかし、すぐにルーシーは我が子を恐れるようになる。ただでさえ、新生児とは思えないほど体の大きなニコラスは、時として凶暴な一面を覗かせるのだ。フィンチ医師はただの産後鬱だと診断するが、しかし女中のハイド夫人(ヒラリー・メイソン)がニコラスに指を噛まれて怪我をしたり、誰もいないのにベビーベッドが破壊されるなどの不穏な出来事が相次ぐ。ノイローゼ気味のルーシーを、親友マンディ(キャロライン・マンロー)も心配するようになる。
そこで、夫ジーノは看護婦ジル(ジャネット・ケイ)をシッターとして雇う。これでようやくルーシーも赤ん坊の世話から解放され、変な妄想に悩まされることもなくなると思われた矢先、ニコラスを連れて公園を散歩中のジルが不可解な事故死を遂げる。イタリアからやって来たジーノの姉で尼僧のシスター・アルバーナ(アイリーン・アトキンス)は、赤ん坊の様子を見て嫌な胸騒ぎを覚えるのだった。
ますます、息子のことが怪物のように思えてくるルーシー。実は彼女には心当たりがあった。結婚前にナイトクラブの売れっ子ダンサーだったルーシーは、ある晩、小人の芸人ヘラクレス(ジョージ・クレイトン)に無理やり迫られて強く拒絶した。当時の彼女は、クラブのマネージャー、トミー(ジョン・スタイナー)と付き合っていたのだ。しかし、自分が醜いから拒否されたと恨みに思ったヘラクレスは、彼女に向って「お前の子供を俺のような怪物にしてやる!」と呪いをかけたのである。
ルーシーから事情を聞いたシスター・アルバーナは、赤ん坊に邪悪な何かが取り憑いているとの疑念を深める。だが、そうこうしているうちにジーノまでもが犠牲となり、ルーシーの身にも命の危険が迫るのだった…。
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一体全体なぜ『ベビー・ゾンビ』なんて邦題が付けられてしまったのか分からないが、これは『エクソシスト』('73)の大成功に便乗する形で作られたオカルト映画であり、なにひとつとしてゾンビの要素はないのでご注意を。'70年代は『エクソシスト』と『オーメン』('76)のメガヒットによって空前のオカルト映画ブームが巻き起こり、世界中で柳の下の泥鰌が大量生産されたわけだが、イギリス資本で作られた本作もその一つだったのである。
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主人公はロンドンに暮らす美しき人妻ルーシーとリッチな旦那様ジーノ。2人の間に待望の長男が生まれるのだが、この赤ちゃんが実は邪悪な存在に憑依されたモンスター・ベビーだった…というわけだ。で、その邪悪な存在というのが悪魔…ではなくて、なんとルーシーに横恋慕していた醜い小人の生霊(!)。振られた腹いせにルーシーへ呪いをかけた小人が、生まれた赤ちゃんに取り憑いて凶行を重ねていくのである。ん~、今となっちゃ倫理的にいろいろと問題ありな内容ですなあ(笑)。
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ということで、『エクソシスト』×『ローズマリーの赤ちゃん』×『悪魔の赤ちゃん』と、あれこれパクりまくるにもほどがある一本。母親の直感でいち早く我が子がおかしいと気付いたルーシーが、周囲に不安や危機感を訴えるものの、よくある出産後のノイローゼ(今で言う産後鬱)として見過ごされてしまい、その間に一人また一人と犠牲者が増えていく。そうしたヒロインのジレンマがサスペンスを生むわけだが、しかし全体的にストーリー展開がのんびりとしているため、残念ながらホラー映画としての恐怖感や緊張感には乏しい。やたらと登場人物がロンドンの街を彷徨うシーンが多いのも正直ダレる。'70年代当時のピカデリーやオックスフォード・ストリートなど、ロンドンの賑やかな街並みをたっぷりと楽しめるのはいいのだけど、結果的には単なる尺稼ぎでしかないのだよねえ。
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ただし、あまりにもバカバカしくて逆に笑えるという、本来作り手が全く意図しなかった面白ポイントも少なくない。本作が一部でカルト的な人気を誇っている理由はそれだ。例えば赤ちゃん。基本的に見た目は普通の可愛い赤ん坊で、撮影でも実際に本当の幼児を使っているため、『悪魔の赤ちゃん』みたいに赤ん坊が人間を襲ったり殺したりする直接的な描写はほとんどない。一応、シャベルで首を切断するシーンもあるにはあるが、夜の暗闇に紛れる形で赤ん坊の姿は一切画面には映らない。公園でシッターを池に突き落とすシーンも、どう見たって赤ん坊じゃないゴツゴツした大人の手がシッターの背中を押すだけ。なんだかとてもインパクトに欠けるわけですよ。
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これでは呪われた赤ちゃんの恐ろしさがまるで伝わらないじゃん!というわけで、苦肉の策として母親ルーシーだけに赤ちゃんが邪悪な本性を見せる瞬間がショック・シーンとしてちょいちょいインサートされるのだけど、これがですね、赤ん坊の格好をした小人がベビーベッドに横たわってニターっと笑う…というだけの代物(笑)。それを見たルーシーは恐怖のあまり発狂せんばかりに大絶叫、しかし観客はあまりのアホらしさに腹を抱えて大爆笑。この手のチープで趣味の悪いギャグみたいな描写が、そこかしこに散りばめられている。
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中でも最大の見どころ(?)は、クライマックスに用意された映画史上恐らく最も緊張感のないユルユルな悪魔祓いシーン。床に寝そべった赤ん坊に十字架を押し当て、真剣な顔をして悪魔祓いの儀式を行うシスター・アルバーナの間抜けな姿ときたら…!演じるは『ドレッサー』('83)の舞台監督マッジ役や『ゴスフォード・パーク』('01)の料理長ミセス・クロフト役などで知られ、英国王室からデイムの称号まで賜っている舞台の大女優アイリーン・アトキンス。当時まだ映画界では無名だったとはいえ、なんとまあお気の毒に…と言わざるを得ない。
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ヒロインのルーシー役は、第二のエリザベス・テイラーとしてハリウッドでも活躍した妖艶な美人女優ジョーン・コリンズ。当時はキャリアのどん底だった時期で、ホラー映画やモンスター映画などのB級作品に片っ端から出まくっていた。この3年後に姉ジャッキーが原作を書いた『スタッド』('78)の大ヒットで返り咲き、'80年代にはテレビ『ダイナスティ』でテレビ界の女王へと上りつめることになる。
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その夫ジーノにはハマー・ホラーでお馴染みのラルフ・ベイツ。さらに、『ハロウィン』('78)シリーズのルーミス医師ことドナルド・プレザンス、B級映画の女王キャロライン・マンロー、『赤い影』('73)のヒラリー・メイソン、アルジェントの『シャドー」('82)をはじめイタリア映画で活躍したジョン・スタイナーなどなど、コアなジャンル系映画ファンには嬉しい豪華俳優が顔を揃えている。このキャスティングだけでも一見の価値はあるだろう。
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監督は『ドラキュラ血の味』('69)や『鮮血の処女狩り』('70)など、後期ハマー・ホラー作品を手掛けたピーター・サスディ。ハマーを離れてからはいまいちパッとしなかった人だが、本作も御多分に漏れずといった感じではある。とはいえ、さすがにこのトンチンカンな脚本では仕方ないよなあ…という気がしないでもない。そのおかげで、意図せずカルト映画化したのは不幸中の幸いとでも言うべきか。ちなみに、テレビ『プリズナーNo.6』('67)のテーマ曲で有名なロン・グレイナーによる、メロウ&ファンキーなジャズ・フュージョン風音楽スコアは悪くない。
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そんなわけで、「お粗末な出来であるがゆえに面白い」というエド・ウッドの『プラン9・フロム・アウタースペース』的な楽しみ方で臨むのが正解な作品。まあ、ジョーン・コリンズやアイリーン・アトキンスにとってはフィルモグラフィーから消し去りたい一本かもしれないけれどね…。なお、もともとのオリジナルタイトルは『I Don't Want To Be Born』だったが、アメリカ公開版では『The Devil Within Her』に改題されている。
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評価(5点満点):★★☆☆☆

参考DVD情報(アメリカ盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.78:1)/音声:2.0ch Dolby Digital mono/言語:英語/字幕:なし/地域コード:1/時間:94分/発売元:Scorpion Releasing/ITV Studios
特典:元WWEディーヴァ、カトリーナ・リー・ウォーターズによる解説ビデオ/俳優ジョン・スタイナーのインタビュー(約16分)/オリジナル劇場予告編



by nakachan1045 | 2019-03-08 11:49 | 映画 | Comments(0)

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