人気ブログランキング |

なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

「女性上位時代」 La matriarca (1968)

f0367483_12061116.jpg
監督:パスクァーレ・フェスタ・カンパニーレ
製作:シルヴィオ・クレメンテッリ
原案:ニコロ・フェラーリ
脚本:オッタヴィオ・ジェンマ
   ニコロ・フェラーリ
撮影:アルフィオ・コンティーニ
美術:フラヴィオ・モヘリーニ
衣装:ガイア・ロセッティ・ロマニーニ
音楽:アルマンド・トロヴァヨーリ
出演:カトリーヌ・スパーク
   ジャン=ルイ・トラティニャン
   パオロ・ストッパ
   フランク・ウォルフ
   ルイジ・プロイエッティ
   ルイジ・ピスティッリ
   レンツォ・モンタナーニ
   ファビエンヌ・ダリ
   ノラ・リッチ
   エッダ・フェロナオ
   ヴィットリオ・カプリオーリ
   ガブリエル・ティンティ
   ヴァネンティノ・ヴェナンティーニ
特別出演:フィリップ・ルロワ
イタリア映画/95分/カラー作品




<あらすじ>
夫フランコと死別した若き未亡人ミミ(カトリーヌ・スパーク)。葬儀を終えて一息ついた彼女は、遺産の整理をしていた弁護士サンドロ(ルイジ・プロイエッティ)から、夫が秘密の家を所有していたと知らされる。教えられた住所へ行ってみると、そこは夫が浮気用に使っていたプレイルームだった。
残された8ミリフィルムには、夫が女性たちと変態的なセックスを楽しんでいる様子が記録されている。その中にはミミの親友クラウディア(ファビエンヌ・ダリ)の姿もあった。すでに夫への愛情は冷めていた彼女だが、それでも少なからずショックを受ける。なぜ自分だけ愉しんで、私にはこういうプレイをしなかったのか?と。
そこで、ミミは決意する。私も自分の好奇心や欲求を試してみる。そうすれば、夫のことも理解できるはずだと。手始めに夫の親友でもあったサンドロと寝たミミは、本を読んで変態性欲心理を勉強しつつ、テニスのコーチ(フィリップ・ルロワ)や車でナンパした男(ガブリエル・ティンティ)、かかりつけの歯医者(フランク・ウォルフ)など、手当たり次第に男たちとのセックスを愉しんでいく。
パーティで知り合ったX氏(ルイジ・ピスティッリ)はサディスト、クラウディアの夫ファブリツィオ(レンツォ・モンタナーニ)はマゾヒスト。彼らとの変態的なセックスは刺激的ではあるものの、正直なところ不愉快だったりバカバカしかったりもする。ミミはいまひとつ満たされぬままだった。
そんなこととは思いもよらない母親(ノラ・リッチ)は、すっかりライフスタイルの変わってしまったミミを病気ではないかと心配し、友人トニ(パオロ・ストッパ)が院長を務める病院で検査を受けるよう勧める。渋々ながら病院へ行ったミミは、そこでレントゲン医師カルロ(ジャン=ルイ・トラティニャン)と知り合う。自分の裸を見ても顔色一つ変えない生真面目なカルロに興味を持った彼女は、彼が受け持つ大学の講義に学生のふりをして忍び込み、なんとか誘惑しようと試みるのだったが…?

日本では渋谷系おしゃれ映画の一つとして、'00年にリバイバル公開されて話題になった作品だ。'90年代半ばから盛り上がった渋谷系カルチャーは、その一環として時の流れに埋もれていた'60年代ヨーロッパのヒップでグルーヴィーなポピュラー音楽が再評価される動きを作ったわけだが、中でも特にその恩恵を受けたのはチプリアーニやウミリアーニなどのイタリア映画音楽だったと言えよう。

そこから、さらに流れは映画本編へと波及。アルマンド・トロヴァヨーリのサントラ盤から人気に火がついた『黄金の七人』('65)シリーズがリバイバル上映されてヒットを飛ばし、その後を追うようにして'60年代イタリアのロリータ系アイドル、カトリーヌ・スパーク(本人はフランス人だけど)の主演作も相次いで発掘された。この『女性上位時代』も、その中の一本だったというわけだ。

基本的には、いかにも'60年代末のヨーロッパ映画らしい自由奔放なセックス・コメディ。性に未熟な若い女性が未知なるセックスの世界へと足を踏み入れ、多種多様な性の形を体験することで女性としての自我を確立し、やがて理解のある理想的な男性と巡り合うことになる。さながらフリーセックス×ウーマンリブ。劇中に出てくる変態性癖も今となっては微笑ましいものばかりだが、それも含めたうえで時代を映し出す鏡として十分に楽しめる作品だ。

ヒロインはカトリーヌ・スパーク演じる若くて美しい未亡人ミミ。亡くなった裕福な夫フランコの遺産を整理していた彼女は、夫が秘密の隠れ家で数々の女性たちと様々な変態セックスプレイを楽しんでいたことを知る。私にはそんなことしてくれなかったのに!妻には貞淑を求めるくせに、男だけは外で女遊びだなんてズルい!というわけで、夫以外に男性経験のない彼女はその場で一念発起。己の好奇心と欲望の赴くがまま、様々な男性と多種多様な性の快楽を経験し、セックスの奥義を極めようと決意する。

言ってみれば、女性としての性的なアイデンティティーを探るためのセックス・アドベンチャー。手当たり次第に男たちとやりまくるわけだが、それほど生々しくも厭らしくもならないのは、キュートで小悪魔的なカトリーヌ・スパークの個性ゆえだろう。「変態性欲心理」なる分厚い学術書をフムフムと読み耽り、そこに記された特殊な性癖の数々に驚いたり呆れたりしつつも、あれこれとエッチな妄想を膨らませていく様子もなんだか可愛らしい。

で、水を得た魚のように不特定多数の相手とセックスを愉しみ、性の固定概念から解き放たれていくミミなのだが、なかなか「これ!」という相手や性癖とは巡り合わない。どれもこれも刺激的なのはいいんだけど、いまひとつ満足しきれないのよねえ…って感じなのだ。そんな彼女が「ビビッ」と来たのが、いかにも生真面目そうな青年医師カルロ。ほかの男と違って色目も使わなければ言い寄っても来ない。身体検査でミミの裸を見ても平気のへっちゃら。今までにないタイプの男だからこそ、逆に興味をそそられるわけだ。

しかし、本当の決め手となったのは…なんと「肩車」(!)。病院で足をくじいてしまったミミは、カルロに肩車をしてもらったのだが、これが思いもよらないくらいの快感だった。要するに、彼女の性癖は「男の上に乗る」ことだったのである(笑)。なるほど、『女性上位時代』ってそういうことだったのねー。というわけで、ようやく己の正体を見極めたミミが、カルロという良き理解者を得ることで「ありのままの私でオッケー。無理して貞淑な妻を演じる必要なし!」という自己肯定へ至る。バカバカしくも微笑ましいラストにはニヤリ。まあ、いろいろと出来すぎだろ!と突っ込みたくもなるけどね。

監督は『花ひらく貞操帯』('67)や『SEX発電』('75)などのセックス・コメディで知られるパスクァーレ・フェスタ・カンパニーレ。下半身にまつわる世相や風俗を、ピリッとスパイスの効いた大らかな笑いへと昇華する艶笑譚は、彼が最も得意とするジャンルと言えるだろう。キッチュでキャンプでナンセンス、それでいて所々に鋭い風刺が込められているところも同監督らしい。まあ、さすがに『SEX発電』はぶっ飛び過ぎじゃね?と思うものの、そういう意味で本作はバカバカしさのさじ加減がちょうどいい。

もちろん、『黄金の眼』('68)や『サテリコン』('69)のフラヴィオ・モヘリーニによるウルトラ・ポップな美術デザインはイカしてるし、当時のイタリア産スパイ映画に欠かせないガイア・ロセッティ・ロマニーニのデザインしたカトリーヌ・スパークのスウィンギン60'sなファッションも最高にグルーヴィ。スウィート&メロウなアルマンド・トロヴァヨーリの音楽スコアにもウットリさせられる。いやー、'60年代ユーロサブカルチャーのファンにはマジたまりません。

たまらないと言えば、カトリーヌ・スパークのお相手を務める男優たちも、イタリア産娯楽映画の黄金時代を彩った名優たちがゾロゾロ。しかも、フランク・ウォルフとかヴィットリオ・カプリオーリ、フィリップ・ルロワなんてワンシーンだけの登場だからね。なんたる贅沢!クールなポーカーフェイスのジャン=ルイ・トラティニャンもカッコいいが、ちょっとばかり情けない二枚目男のルイジ・プロイエッティもなかなかいい味を出している。プロイエッティはアルトマン監督やルメット監督のハリウッド映画にも出てましたな。

そういえば、パオロ・ストッパにノラ・リッチという、巨匠ヴィスコンティ映画の常連組が顔を揃えているのも興味深いところ。『ベニスに死す』('71)や『ルートウィヒ』('73)で厳めしい貴婦人を演じていたリッチが、真っ黒な日焼け肌に厚塗りメイクのガングロギャルみたいな成金マダムとして登場するのにはたまげました。しかも、これが意外と違和感なし。マカロニ西部劇の悪役スター、ルイジ・ピスティッリがドS男ってのもハマりすぎです(笑)。

評価(5点満点):★★★★☆

参考ブルーレイ情報(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/1080p/音声:2.0ch リニアPCM/言語:イタリア語/字幕:日本語/地域コード:ALL/時間:95分/発売元:合同会社是空/ハピネット
特典:削除シーン(6種)/英語版劇場予告編



by nakachan1045 | 2019-03-09 03:02 | 映画 | Comments(0)

カテゴリ

全体
映画
音楽
未分類

お気に入りブログ

なにさま映画評

最新のコメント

字が小さすぎて読めない
by ぷー at 16:21
「ディメンシャ13」は廉..
by cary1959 at 04:30
中沢様はベテランのブロッ..
by Y. Kubota at 03:05
すいません!その通りです..
by nakachan1045 at 13:12
直人の子分に曽根晴美とあ..
by Django at 02:25
いまみると、北斗の拳のバ..
by ドゴラ at 14:14
昔、NHKで見たので記憶..
by さすらい日乗 at 12:59
> さすらい日乗さん ..
by nakachan1045 at 10:21
これは、公開時に今はない..
by さすらい日乗 at 07:33

メモ帳

最新のトラックバック

venussome.co..
from venussome.com/..
venuspoor.co..
from venuspoor.com/..
venuspoor.com
from venuspoor.com
http://while..
from http://whileli..
http://while..
from http://whileli..
http://www.v..
from http://www.val..
オペラ・ブッファの傑作で..
from dezire_photo &..

ライフログ

検索

ブログパーツ

外部リンク

ファン

ブログジャンル

映画
ライター