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なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「ザナドゥ」 Xanadu (1980)

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監督:ロバート・グリーンウォルド
製作:ローレンス・ゴードン
共同製作:ジョエル・シルヴァー
脚本:リチャード・クリスチャン・ダヌス
   マーク・リード・ルベル
撮影:ヴィクター・J・ケンパー
美術:ジョン・W・コーソ
音楽:ジェフ・リン
   ジョン・ファラー
   バリー・デヴォーゾン
出演:オリヴィア・ニュートン=ジョン
   ジーン・ケリー
   マイケル・ベック
   ジェームズ・スローヤン
   ディミトラ・アーリス
   シンシア・ローズ
   サンダール・バーグマン
   マリリン・トクダ
   マット・ラッタンジー
アメリカ映画/96分/カラー作品




<あらすじ>
ロサンゼルスのベニスビーチ。レコード店に展示されるアルバム・ジャケットを模した巨大イラスト看板を描く若者ソニー(マイケル・ベック)は、フリーランスの画家として生計を立てようとしていたが上手くいかず、描きかけの絵をビリビリに破って窓から投げ捨てる。すると、風に飛ばされたバラバラの絵が「オリンポスの9人のミューズ」を描いた壁画に降り注ぎ、9人のミューズたちが壁から飛び出す。その中の一人キーラ(オリヴィア・ニュートン=ジョン)は、ベニスビーチですれ違ったソニーにキス。それ以来、ソニーは彼女のことが忘れられなくなる。
レコード会社の職場に復帰したソニーは、新しく依頼されたアルバム・ジャケットのモデルがキーラであることに気付き、彼女の行方を捜そうと様々な関係者に当たるが誰も正体を知らない。ジャケットの撮影場所である公会堂の廃墟を訪れたソニーは、ようやくキーラと再会するものの、お互いに名前を教えあっただけで彼女は姿を消してしまう。翌日、キーラを探してベニスビーチを歩いていたソニーは、ダニー・マクガイア(ジーン・ケリー)という初老の紳士と知り合った。
かつてグレン・ミラー楽団のクラリネット奏者として活躍し、独立後は自分の楽団を率いてナイトクラブを経営していたというダニー。当時の写真を見せてもらったソニーは、そこにキーラと瓜二つの女性が映っていることに驚く。それはダニーの楽団に所属していた歌手だったが、ある時忽然と姿を消してしまったという。
ダニーは昔のようなナイトクラブをもう一度開きたいと願っていたが、お眼鏡にかなう物件が見つからないままだった。その話をソニーから聞いたキーラは、廃墟になった公会堂を修繕してナイトクラブにしてはどうかと提案する。その名も「ザナドゥ」。ナイトクラブをダニーと共同経営することになったソニーは会社を辞め、「ザナドゥ」のオープンへ向けて情熱を注ぐ。
すっかり御たがい愛し合うようになったソニーとキーラ。しかし、それはキーラにとって想定外のことだった。自分がオリンポスのミューズであることをソニーに告げた彼女は、これ以上人間界にいることは出来ないと言い残して去ってしまう。キーラを失った今、もはや「ザナドゥ」のことなどどうでもよくなったソニー。そんな彼にダニーは、人生を後悔しないためにも愛するキーラを探し出すよう助言する。神の世界へ足を踏み入れたソニーは、キーラを人間界へ連れ戻そうとするのだったが…。

音楽界のスーパースター、オリヴィア・ニュートン=ジョンの主演!しかも伝説的ミュージカル俳優ジーン・ケリーが14年ぶりにミュージカル映画へ本格復帰!という話題性も手伝って、当時鳴り物入りで劇場公開されたものの、まさかまさかの大惨敗を喫してしまったミュージカル映画である。

第1回ラジー賞では6部門にノミネートされ、ロバート・グリーンウォルド監督がワースト監督賞を受賞。そもそも、ラジー賞が創設された理由の半分は本作にあった。発起人であるジョン・J・B・ウィルソンが、ほぼ同時期に公開されたミュージカル映画『ミュージック・ミュージック』('80)と『ザナドゥ』の2本立てを見に行き、そのあまりの酷さに呆れたことからラジー賞のアイディアが生まれたらしい。

で、栄えある第1回ワースト作品賞は『ミュージック・ミュージック』が受賞。とはいえ、トータルのノミネート数は『ザナドゥ』も負けておらず、その年のラジー賞を二分するワースト映画であったことは間違いない。しかし、その後『ミュージック・ミュージック』がほぼ忘れ去られてしまったのに対し、『ザナドゥ』は時代を追うごとに熱心なファンを増やし、今ではカルト映画として根強い人気を誇るまでになった。

その理由は恐らく、全編を彩る音楽とダンスの魅力にあるだろう。映画自体は大コケしてしまった本作だが、その一方でサントラ盤は全米アルバムチャートで4位のミリオンセラーを記録。シングルも5曲のトップ20ヒットが生まれ、中でもオリヴィアが歌う挿入歌「マジック」は全米ナンバーワン、オリヴィアとELOが組んだ主題歌「ザナドゥ」は全米8位をマークした。楽曲全体の半分をオリヴィアの育ての親ジョン・ファラーが、残りの半分をELOのジェフ・リンが作曲・プロデュースを担当。そのどれもがエバーグリーンな輝きを放つ名曲ばかりだ。ディスコとAORとプログレが絶妙にブレンドされた煌びやかなサウンドは、まさに'80年という時代のトレンドを鮮やかに切り取っており、何度聞いても鳥肌が立つほど素晴らしい。

さらにダンス・シークエンスでは、後にテレビ映画『ハイスクール・ミュージカル』('06)シリーズの監督を手掛ける振付師ケニー・オルテガが実力を遺憾なく発揮。もともとオリヴィアのステージやテレビ特番などの振付を担当し、マドンナやスティックスなどのプロモクリップの振付で名をあげ、マイケル・ジャクソンのステージ演出も長年に渡って務めたオルテガは、実はジーン・ケリーを崇拝する根っからのハリウッド・ミュージカル映画マニアだった。

当初、本作の出演オファーを受けるに際して「踊りはやらない」と宣言していたジーン・ケリーが、結果的にローラーディスコまで踊ることになったのは、初対面で意気投合したオルテガの才能を誰よりも認めたから。その期待に応え、彼は古典的ハリウッド・ミュージカルの王道路線を踏襲しつつ、振付パートナーのラッセル・クラークと組んで'80年代的ダンスを巧みに融合。それが最も理想的な形で結実したのが、40年代のジャズバンドと80年代のロックバンドがお互いにシンクロしていくミュージカル・シーンだ。もちろん、メロディもスタイルも全く異なる2つのジャンルの楽曲を、最終的に一つに合体させるという離れ業をやってのけた作曲家ジョン・ファラーの才能も一役買っている。いずれにせよ、映画『ザナドゥ』の魅力は卓越した音楽とダンスを抜きに語れない。

その一方で、ほとんど存在しないも同然なストーリーの稚拙さ、これが劇場用映画処女作だったロバート・グリーンウォルド監督の映像センスのなさは、さすがに如何ともしがたいものがある。才能を持て余した画家志望の若者の前に、美しき芸術の女神ミューズが舞い降りて恋に落ちる…という設定は悪くないのだが、しかしなぜその結果がナイトクラブ「ザナドゥ」で歌い踊ることになるのか?本来なら画家としての道を切り開いてやるのが筋ってもんじゃないか?と首をひねらずにはいられない。せっかくの大規模な群衆ダンスのダイナミズムとスケール感を、これっぽっちもカメラに捉えることの出来ていないミュージカル演出も残念でならない。

もともと本作は、当時ブームだったローラーディスコをテーマにした青春映画になるはずだった。ベニスビーチ在住だった無名の脚本家リチャード・クリスチャン・ダヌスは、タワーレコードのディスプレイ用LPジャケット看板を描いていた画家志望の友人と、人気ロックスターの恋人に横恋慕したツアーマネージャーの友人をヒントにして本作を執筆。当初の設定だと「ザナドゥ」はロックのライブハウスだったという。

完成した脚本を友人ブライアン・グレイザーのつてで、当時ローレンス・ゴードンの助手だったジョエル・シルヴァーのもとに持ち込んだダヌス。しかし、既にその時点で『ローラー・ブギ』('79)など似たような映画の企画がよそで進行していたため、強力なセールスポイントとしてオリヴィア・ニュートン=ジョンの起用が決定。さらにジャンルも低予算の青春ドラマから大掛かりなミュージカル大作へ、ストーリーもファンタジー要素を盛り込むため大幅に改変されることとなり、マーク・リード・ルベルが脚本のリライトを任される。

しかし、それだけの路線変更があったにも関わらず、諸事情から当初決まった映画の公開日程をずらすことが出来ず、脚本が完成しないまま撮影へ突入することに。そう、ストーリーがほぼないに等しい理由は、ちゃんとした脚本が存在しなかったからなのだ。時間的な余裕がないことから制作現場は相当なカオスだったらしく、撮影終了後にオリヴィアとジーン・ケリーの共演するミュージカル・シーンが存在ないことに気付き、大慌てでジーンを説得してデュエット・シーンを追加撮影するという始末。劇中で挿入されるアニメーションも、後から追加で楽曲をねじ込まねばならなくなったため、苦肉の策として生まれたアイディアだったそうだ。そう考えると、むしろよく一本の映画としてまとめたもんである。まあ、ラストの強引過ぎるハッピーエンドは決してまとまっていると言い難いけどね(笑)。

オリヴィアの相手役に起用されたのは、ローレンス・ゴードンがプロデュースした前作『ウォリアーズ』('79)で脚光を浴びたマイケル・ベック。ただし、オリヴィアとのデュエット・シーンの歌声はクリフ・リチャードだ。また、ミューズ役で登場する女性ダンサーの中には『コナン・ザ・グレート』('81)の女戦士ヴァレリア役で有名になるサンダール・バーグマンや、ジョン・ミリアス監督の戦争映画『戦場』('89)でボルネオ原住民の女性を演じた日系人女優マリリン・トクダの姿も。若き日のダニー役および群衆ダンサーとして、後にオリヴィアと結婚するマット・ラッタンジーも顔を出している。

ちなみに、芸術の女神ミューズが人間界へやって来て恋に落ちるという設定は『地上に降りた女神』('47)と似ており、なおかつジーン・ケリーが演じるダニー・マクガイアは『カバーガール』('44)でケリーが演じたキャラと同姓同名、クラブオーナーでジャズ・ミュージシャンという設定も同じ。どちらもリタ・ヘイワースの主演作だ。ダニーは'45年に店をたたんで音楽界から身を引いたと説明されているが、ということは『カバーガール』の後日談的なニュアンスも含まれているのだろうか。

評価(5点満点):★★★☆☆

参考ブルーレイ情報(アメリカ盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/1080p/音声:5.1ch DTS-HD Master Audio(英語)・2.0ch DTS Dolby Surround(フランス語・スペイン語)/言語:英語・フランス語・スペイン語/字幕:英語/地域コード:ALL/時間:96分/発売元:Universal Studios
特典:メイキング・ドキュメンタリー「Going Back to Xanadu」('08年制作・約27分)/オリジナル劇場予告編



by nakachan1045 | 2019-03-10 05:51 | 映画 | Comments(0)

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