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なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「誰が私を殺したか?」 Dead Ringer (1964)

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監督:ポール・ヘンリード
製作:ウィリアム・H・ライト
原案:ライアン・ジェームズ
脚本:アルバート・ビーチ
   オスカー・ミラード
撮影:アーネスト・ホーラー
衣装:ドン・フィールド
音楽:アンドレ・プレヴィン
出演:ベティ・デイヴィス
   カール・マルデン
   ピーター・ローフォード
   フィリップ・ケアリー
   ジーン・ヘイゲン
   ジョージ・マクレディ
   エステル・ウィンウッド
   ジョージ・チャンドラー
   バート・レムゼン
アメリカ映画/116分/モノクロ作品




<あらすじ>
ロサンゼルスの片隅で小さなカクテル・バーを営む中年女性イーディス(ベティ・デイヴィス)には、一卵性双生児の姉妹マーガレット(ベティ・デイヴィス)がいる。かつて大富豪フランク・デロルカと深く愛し合ったイーディスだが、彼の財産を狙うマーガレットに横取りされてしまい、それ以来18年間姉妹は音信不通だった。しかし、そのフランクが亡くなり、葬儀に参列したイーディスは久しぶりにマーガレットと再会する。
イーディスを大豪邸へと招き、贅沢三昧の暮らしぶりを自慢するマーガレット。不愉快になったイーディスは屋敷を出ていくが、その際に使用人から衝撃的な事実を知らされる。実は18年前、マーガレットはフランクの子供を身ごもり、その責任を取るためにフランクは彼女と結婚したのだが、それが真っ赤な嘘だったのだ。
自宅へ戻っても気持ちが晴れないイーディス。実はバーの経営が火の車で、彼女は多額の借金を抱えていた。なぜ計算高いマーガレットばかりがいい思いをして、真面目にコツコツと働いてきた自分が苦労するのか。恋人のホブソン刑事(カール・マルデン)に誕生日プレゼントを貰ったイーディスだが、とてもお祝い気分にはなれなかった。
その晩、イーディスはマーガレットを自宅へ呼び出して怒りをぶつける。金で解決しようとするマーガレットにキレた彼女は、自殺に見せかけて彼女を殺害してしまう。そして、着衣と髪型を入れ替え、マーガレットに成り代わって屋敷へ”戻る”。これでもう貧乏や借金とはおさらばだ。なぜなら、死んだのはイーディスなのだから。
実際に世間も警察も、イーディスが借金を苦に自殺したと思い込んだ。かくして、デロルカ家の莫大な財産と豪邸を手に入れたイーディス。しかし、マーガレットに成りすます生活は決して楽ではない。なにしろ、彼女の普段の習慣や交友関係などはほとんど知らないし、広い豪邸のどこに何があるのかもちゃんと把握していない。金庫の暗証番号も分からないし、書類作成に必要なサインの筆跡も違う。ちょっとした気のゆるみで、召使いたちに偽者だとバレかねない。
しかも、屋敷にはデロルカ家の親戚たちも暮らしている。時には、マーガレットの親友で詮索好きな有閑マダム、ディーディー(ジーン・ヘイゲン)も押しかけてくる。彼らと話を合わせるだけでも一苦労だった。しかし、最大の問題はマーガレットのヤクザな愛人トニー(ピーター・ローフォード)の存在だ。腹黒くて抜け目のないトニーは、イーディスの正体にいち早く気付き始める…。

※下記のレビューには一部ネタバレが含まれます。

ハリウッド史上屈指の大女優ベティ・デイヴィスが、あの衝撃作『何がジェーンに起ったか?』('62)に続いて主演を務めた犯罪ミステリーである。今回もまた、お互いに犬猿の仲である姉妹のドロドロとした確執が物語のカギ。ただし、本作の主人公イーディスとマーガレットは見た目がソックリな一卵性双生児だ。しかも、その2役をベティが巧みに演じ分けており、積年の恨みを持つ双子の姉妹を殺して成りすます女性の、哀しい運命と皮肉な末路がサスペンスフルに描かれる。

主人公は場末のカクテル・バーを経営する中年女性イーディスと、その双子の姉妹で超リッチな大富豪の未亡人マーガレット。実は、マーガレットの亡き夫フランクはイーディスの元恋人だった。しかし、マーガレットは財産目当てでフランクを誘惑し、妊娠したことを理由に結婚を強要したのである。以来、マーガレットと連絡を絶ったイーディスは苦労の連続。今では借金も膨らみ、店の立ち退きを迫られている。なぜ自分ばかり貧乏くじを引かねばならないのか。過酷な現実を受け入れたつもりのイーディスだが、しかしやはり心の中では納得がいかない。

で、フランクの葬儀でイーディスとマーガレットは18年ぶりに再会。イーディスを大豪邸へ招いたマーガレットは、彼女のみすぼらしい身なりを同情するふりして小ばかにし、自分の贅沢な暮らしぶりをこれでもかとひけらかす。それだけならまだしも、イーディスが最も許せなかったのは、マーガレットがフランクのことをこれっぽっちも愛していなかったこと。そのうえ、18年前の妊娠騒動が実は彼女の狂言だったことを知り、ついに堪忍袋の緒がプッツリと切れてしまう。

夜中にマーガレットを自宅へ呼び出し、拳銃自殺に見せかけて殺害するイーディス。その場で髪型と服装を入れ替え、事前に用意した遺書を現場に残した彼女は、マーガレットに成り代わって大豪邸で暮らすようになる。これで貧乏とも借金ともさよなら。警察はイーディスが財政苦を理由に自殺したものと結論付ける。もちろん、死んだのはイーディスではなくマーガレットなのだが…。

かくして、本来なら自分と結ばれるはずだった最愛の男性、フランクの莫大な財産を手にしたイーディス。しかし、マーガレットに成りすましての生活は危険な落とし穴がいっぱいだ。なにしろ、彼女の日頃の生活習慣や生活リズムなどほとんど知らないし、そもそも広い大豪邸のどこに何があるのかもよく分からない。マーガレットらしくない言動が目立ってしまうと、たちまち召使いたちに怪しまれてしまうだろう。

しかも、屋敷にはフランクの親戚たちが同居しており、なおかつマーガレットの友達も遊びに来る。イーディスが付き合ったことのない上流階級の人々だ。もちろん、彼らとマーガレットのこれまでの関係や経緯も殆ど知らない。話を合わせるだけで一苦労だ。なるべく人と関わらないよう、理由をつけては部屋に閉じこもるイーディスだが、いつまでも避けているわけにはいかない。果たして、イーディスは最後まで本当の素性を隠し通すことが出来るのか、それとも…?という心理サスペンスが繰り広げられていくわけだ。

で、そんな彼女の前に2人の男が立ちはだかる。一人はマーガレットの愛人トニー(ピーター・ローフォード)。そう、実はマーガレットはフランクに隠れてずっと浮気していたのだ。このトニーというのが抜け目のないゴロツキで、マーガレットとの関係も所詮は金目当て。勘だけは人一倍鋭いので、目の前のマーガレットが別人であることにすぐ気づき、イーディスを強請って金品を巻き上げるようになる。

そして、もう一人がイーディスの恋人であるロサンゼルス市警のホブソン刑事(カール・マルデン)。安月給で風采の上がらない警察官だが、しかし堅実で心優しいイーディスのことを誰よりも深く愛していた。それだけに、突然の自殺はとてもじゃないが納得いかない。マーガレットとトニーに疑いの目を向けた彼は、2人の周辺をくまなく捜査しているうち、ある犯罪の可能性に気付き始める。マーガレットの夫フランクは毒殺されたのではないかと…。

そう、実はマーガレットは愛人トニーと結託して、夫フランクに毒を盛って殺害していたのだ。憎き双子の姉妹マーガレットを殺したイーディスが、そのマーガレットの犯した罪を背負わねばならなくなる。たとえ、自分がイーディスであることを証明したとしても、その代わりに姉妹殺しの罪で裁かれることになるだけ。なんとも皮肉な展開だと言えよう。

大女優ドロレス・デル・リオが主演したメキシコ映画『La Otra』('46)のハリウッド・リメイクに当たる作品。だからなのか、全体的にはサスペンスやスリラーよりも、ソープオペラ的なメロドラマの傾向が強い。監督は『カサブランカ』('42)で有名なインテリ俳優ポール・ヘンリード。ベティとは名作『情熱の航路』('42)で共演したことがある。そこかしこでノワーリッシュな雰囲気を醸し出しつつも、ゴージャスでロマンティックなメロドラマの王道にまとめ上げているところは、良くも悪くもハリウッド黄金期のマンネリズムを引きずっているという印象だ。

なので、『何がジェーンに起ったか』の狂気と衝撃を期待すると、残念ながら肩透かしを食らうことになるだろう。その点は、やはり賛否の分かれ目になるだろうとは思う。とはいえ、一度は愛し合ったホッブス刑事が自分に対して抱き続ける淑女のイメージを壊すまいと、最後まで悪女マーガレットであることを貫こうとする複雑な女心はけっこう感動的だし、実は最初から全てを見抜いて黙っていた忠実な執事ヘンリー(シリル・デレヴァンティ)の存在も物語に奥行きを与えている。

脇役では、やはり人情味溢れる善良な刑事ホッブスを演じるカール・マルデンがいい。ベティ・デイヴィスの、ともすると過剰にドラマチックなオーバーアクトを、ニューヨーク派らしい抑えたリアルな芝居でしっかりと支えている。シナトラやケネディ家との深い繋がりで有名なピーター・ローフォードは、当時キャリアが下り坂だったせいもあって、『オーシャンと十一人の仲間』('60)の頃に比べると精彩に欠けるが、それがある意味でトニーというキャラの胡散臭さを醸し出しているとも言える。

ゴシップ好きなマーガレットの親友ディディには、『雨に唄えば』('52)のサイレント映画女優役で有名なジーン・ハーゲン。これが最後の映画出演となった。フランクの伯母ドナ・アンナ役には英国出身の舞台女優エステル・ウィンウッド。また、後にロバート・アルトマン作品の常連となる名脇役バート・レムゼンが、イーディスの経営するカクテル・バーのバーテン役で顔を出している。

なお、日本では今のところ未ソフト化の本作。ワーナーが出した北米盤ブルーレイは、どうも'04年にDVDでリリースされた古いHDマスターを使用しているらしく、画質的にパーフェクトとはちょっと言い難い。特に、オプチカル合成で同じ画面に2人のベティ・デイヴィスが映るシーンでは、まあ、物理的にそうなってしまうのは仕方ないとはいえ、かなり濃厚なフィルムグレインのせいでザラついた印象を受ける。一方の音声トラックはまずまずの仕上がり。とりあえず、DVDよりは幾分かマシな画質と考えておいた方がいい。

評価(5点満点):★★★☆☆



参考ブルーレイ情報(アメリカ盤)
モノクロ/ワイドスクリーン(1.85:1)/1080p/音声:1.0ch DTS-HD Master Audio/言語:英語/字幕:英語・フランス語・スペイン語/地域コード:ALL/時間:118分/発売元:Warner Home Video
特典:俳優チャールズ・ブッシュとべディ・デイヴィスの伝記本著者ボーズ・ハドレイによる音声解説/ボーズ・ハドレイのビデオ・インタビュー('04年制作・約13分)/メイキング・ドキュメンタリー「Behind the Scenes at the Doheney Mansion」('64年制作・約7分)/オリジナル劇場予告編





by nakachan1045 | 2019-06-10 11:02 | 映画 | Comments(0)

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