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なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「シティ・オン・ファイア」 City On Fire (1979)

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監督:アルヴィン・ラコフ
製作:クロード・エロー
製作総指揮:ハロルド・グリーンバーグ
      サンディ・ハワード
脚本:ジャック・ヒル
   デヴィッド・P・ルイス
   セリーヌ・ラ・フレニエール
撮影:ルネ・ヴェルジエール
音楽:ウィリアム・マッコーリー
   マシュー・マッコーリー
出演:バリー・ニューマン
   スーザン・クラーク
   ヘンリー・フォンダ
   エヴァ・ガードナー
   シェリー・ウィンタース
   レスリー・ニールセン
   ジェームズ・フランシスカス
   ジョナサン・ウェルシュ
カナダ映画/106分/カラー作品




<あらすじ>
アメリカ中西部の地方都市。汚職の噂が絶えないダドリー市長(レスリー・ニールセン)は、水辺から遠く離れた街の中心部に大規模な石油精製工場を建設するなど、強引なやり方で批判を受けている。しかも、市は杜撰な管理のせいで深刻な水不足にも悩まされていた。そんな市長の肝いりで、新たな大病院が新設されたばかりなのだが、これまた施設のあちこちが欠陥だらけ。看護婦長ハーパー(シェリー・ウィンターズ)は病院のいい加減な設備に不満タラタラ。病院長ホイットマン(バリー・ニューマン)も、式典に参列するため病院を訪れたダドリー市長や、出資者の一人である社交界の花形ダイアナ(スーザン・クラーク)への不信感を拭えないでいた。
その頃、石油精製工場では職員ストーヴァー(ジョナサン・ウェルシュ)がクビを言い渡されていた。昇進を期待していた彼は激しい怒りを覚え、その腹いせに石油貯蔵タンクのバルブを片っ端から開き、下水路を通じて大量の石油が街中に流れ出してしまう。しかも運の悪いことに、当時ちょうど下水工事の真っ最中で、火花が石油に引火してしまった。たちまち燃え広がっていく炎。石油精製工場の施設は次々と大爆発を起こし、やがて街全体が大火災に見舞われてしまう。
消防署長ライズリー(ヘンリー・フォンダ)は、職員と消防車を総動員して決死の消火活動に当たらせるものの、とてもじゃないが作業は追いつかない。一方、落ちぶれたアル中の女性キャスター、マギー・グレイソン(エヴァ・ガードナー)は、視聴率至上主義のニュース番組ディレクター、ジンボ(ジェームズ・フランシスカス)と組んで、この前代未聞の大火災を花形キャスターに返り咲くチャンスとして利用しようと考えていた。また、同じ高校の後輩であるダイアナに執着するストーヴァーが、病院内の混乱に乗じて彼女に接近しようとしていた。
人々の様々な思惑が渦巻く中、ますます勢いを増していく大火災。いよいよ病院も安全な場所ではなくなってしまい、ホイットマンやハーパー婦長らは患者を避難させるための策を練るのだが…。

『ポセイドン・アドベンチャー』('72)の爆発的なヒットを皮切りに、『タワーリング・インフェルノ』('74)や『大地震』('74)、『エアポート'75』('74)、『カサンドラ・クロス』('76)、『エアポート'77』('77)、『スウォーム』('78)などなど、'70年代のハリウッドを席捲したパニック映画の一大ブーム。アラフィフ以上の映画ファンであれば、その末期に登場したカナダ産のパニック映画『シティ・オン・ファイア』を記憶している人も少なくないだろう。

パニック映画と一口に言っても、自然災害から交通事故に飛行機事故、細菌テロに武装テロ、昆虫や野生動物の暴走などに至るまで、そのサブジャンルは実にさまざま。本作の場合は大火災である。アメリカ中西部の地方都市(ロケ地はカナダのモントリオール)で、大規模な石油精製工場の爆発事故が発生し、たちまち街全体が炎に包まれてしまう。さながら『タワーリング・インフェルノ』の拡大版。設定そのものはかなりスケールがデカい。

しかし…である。結論から言うと、残念ながら出来栄えはあまり芳しくない。最大の問題は、まるでテレビの昼メロドラマみたいな、アルヴィン・ラコフ監督の大味で安っぽい演出だ。撮影監督ルネ・ヴェルジエールの荒っぽいカメラワークも極めて平凡。編集も所々ブツ切り状態で、お世辞にも上手いとは言えない。なんというか、全体的に手間暇をかける余裕もなく、大急ぎで作られたような印象だ。まあ、それも仕方なかろう。『タワーリング・インフェルノ』の1400万ドル、『大地震』の700万ドルに対して、本作の予算はたったの300万ドル。オールスターキャストのパニック映画としては、実はかなりの低予算だったのだ。

『残酷女刑務所』('71)や『コフィ―』('73)などで有名なグラインドハウス映画監督ジャック・ヒルの参加した脚本も、変に気をてらったストーリー展開のおかげでまるで説得力のないお話となっている。本編冒頭で「これからあなたが目撃するものは、世界中のどの都市でも起きうることです」というテロップが流れるのだが、いやいや、石油精製工場をクビになった職員が腹いせで街中の下水道に石油をばら撒くなんて超レアケースだし、そもそも大都市のど真ん中に石油精製工場を建てるなんて常識的にあり得ない話だし、そのうえ市全体が深刻な水不足に悩まされているという設定も都合が良すぎる。しかも、その犯人が病院に多額の寄付をしたセレブなマダムのストーカーと化すサブプロットも強引で不自然。全体的に知恵を絞り過ぎたせいで作為的になってしまったように思える。

とはいえ、最大の売りである大火災パニックの特殊効果とスタントはそれなりに見応えがある。石油精製工場の施設が次々と大爆発するシーンは迫力満点だし、街の中心部を丸ごと再現した巨大オープンセットをバンバン燃やしてしまう終盤もかなり大掛かり。お約束の火だるまスタントもリアルだ。特撮スタッフおよびスタントマンたちは、なかなかいい仕事をしている。それだけに、味も素っ気もないカメラワークの凡庸さが惜しまれる。

オールスターキャストの顔ぶれもいまひとつ。『テンタクルズ』('77)や『スウォーム』('78)のヘンリー・フォンダ、『大地震』や『カサンドラ・クロス』のエヴァ・ガードナー、『ポセイドン・アドベンチャー』のシェリー・ウィンタースにレスリー・ニールセンと、当時のパニック映画でもお馴染みのベテラン・スターたちが揃っているものの、それだけに出がらし感は否めないし、なによりも目玉となるビッグネームの人数が少ない。大物と呼べるのはフォンダ、ガードナー、ウィンタースの3人だけだしね。しかも、主演はバリー・ニューマンとスーザン・クラーク。さすがにちょっと地味すぎる。

そんなわけで、かつて高校時代に名画座で初めて見た時も、まあ、パニック映画としてはやけにB級っぽいなあとは思ったものの、改めて30年以上ぶりに再見したところ、うーん、やっぱこんなもんだったかーといった感じ(笑)。ある意味、パニック映画ブームの末期を飾った徒花といったところか。世代的に懐かしいとは思うものの、それ以上でもそれ以下でもないだろう。ちなみに、本作とほぼ同じ制作陣を揃えて翌年に作られたのが、ナチスの幽霊船が遭難者を次々と血祭りにあげるホラー『ゴースト/血のシャワー』('80)。そういえば、あれもなかなかなポンコツ映画でしたなあ…。

なお、日本でもアメリカでも'80年代にVHSで出たっきり、なかなか見る機会のない作品だったが、'18年に米Scorpion Releasing社よりまさかのブルーレイ発売。どうやら原盤フィルムは既に存在しないらしく、複数の上映用フィルムから保存状態の良い部分を寄せ集めてテレシネされている。なので、画面は全体的に粗くてフィルムグレインも濃厚。かなり大きな傷や汚れも目立つし、ロール切り替え用のパンチマークもばっちり残されている。ある意味、かつて名画座で見た時の状態そのまんま(笑)。これはこれで味がある…かもしれない。

評価(5点満点):★★☆☆☆

参考ブルーレイ情報(アメリカ盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.78:1)/1080p/音声:2.0ch DTS-HD Master Audio/言語:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/時間:106分/発売元:Scorpion Releasing/TVA Films
特典:オリジナルTVスポット



by nakachan1045 | 2019-06-19 14:58 | 映画 | Comments(0)

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