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なかざわひでゆき の毎日が映画三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画評論日記
by なかざわひでゆき
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「ビッグ・バイオレンス」 Il grande racket (1976)

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監督:エンツォ・G・カステラーリ
製作:ガリアーノ・フソ
原案:アルドュイノ・マイウーリ
   マッシモ・デ・リータ
脚本:アルドゥイノ・マイウーリ
   マッシモ・デ・リータ
   エンツォ・G・カステラーリ
撮影:マルチェロ・マスチオッキ
音楽:グイド&マウリツィオ・デ・アンジェリス
出演:ファビオ・テスティ
   ヴィンセント・ガーディニア
   レンツォ・パルメル
   オルソ・マリア・ゲリーニ
   グラウコ・オノラート
   マルチェラ・ミケランジェリ
   ロマーノ・プッポ
   アントニオ・マルシーナ
   サルヴァトーレ・ボルゲーゼ
   ジャンルイジ・ロッフレード(ジョシュア・シンクレア)
   ダニエル・ダブリーノ
イタリア映画/106分/カラー作品




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<あらすじ>
イタリアのとある町。チンピラの若者グループが地元の商店やレストランに高額な見ケ〆料を要求し、拒否したり払えなかった場合は破壊行為に及ぶという事件が多発していた。警察のパルミエリ警部(ファビオ・テスティ)と相棒のヴェラスキ刑事(サルヴァトーレ・ボルゲーゼ)は、チンピラたちを検挙すべく被害者たちの協力を仰ぐが、しかし誰もが報復を恐れて証言しようとはしなかった。そればかりか、たとえ現行犯で捕まえたとしても、そのたびに顧問弁護士(アントニオ・マルシーナ)が現れ、チンピラたちは罪に問われることもないまま釈放されてしまう。
そんなある日、レストラン店主ジュッティ(レンツォ・パルメル)が意を決して警察に協力を申し出るも、それを知ったチンピラたちによって娘ステファニア(ステファニア・ジロラーミ)がレイプされてしまう。しかも、そのショックでステファニアは自殺を遂げ、復讐心に駆られたジュッティは店に来たチンピラを銃殺して刑務所送りとなった。チンピラたちに暴行を受けて半殺しの目に遭ったディスコ経営者マッザレッリ(グラウコ・オノラート)は、彼らを裏で操る黒幕の正体を知っていたが、しかしやはり報復を恐れて口を割ろうとはしない。さらに、チンピラたちとの銃撃戦で警察に加勢したオリンピック射撃選手ロセッティ(オルソ・マリア・ゲリーニ)は、最愛の妻を目の前で凌辱された上に生きたまま焼き殺されてしまう。
法律に則った正しい捜査ではまるで埒が開かない。そう考えたパルミエリ警部は、古い友人であるベテランのスリ、ペペ(ヴィンセント・ガーディニア)に協力してもらい、黒幕の正体を突き止めようとするものの、何者かのタレコミによってペペが逮捕されてしまう。パルミエリ警部は警察上層部の汚職を確信するが、しかし肝心の証拠はない。そればかりか、違法捜査が問題視されて警察を解雇されてしまった。もはや実力行使で敵を一網打尽にするしかない。チンピラたちを操っているのはイギリス人の実業家ロディ(ジョシュア・シンクレア)と判明した。そこでパルミエリ警部は、敵に恨みを持つペペやマッザレッリ、ロセッティらを集め、さらに旧知の殺し屋ドリンゴ(ロマーノ・プッポ)を雇い、決死の覚悟で総攻撃を仕掛けることにする…。
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タランティーノも敬愛するイタリアン・バイオレンスの巨匠エンツォ・G・カステラーリ監督が手掛けたポリス・アクション映画である。'70年代といえばイタリア産B級アクションの全盛期。特にカステラーリ監督は、この時期に『ケオマ・ザ・リベンジャー』('76)や『ローマ麻薬ルート大追跡』('77)、『地獄のバスターズ』('77)といった代表作を立て続けに放っている。これは、そんな最も脂の乗った頃のカステラーリ監督の勢いを如実に感じさせる、ハードでバイオレントで超パワフルな作品と言えよう。
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ストーリーの基本はリベンジ物。イタリアのとある町で、チンピラの若者グループが商店やレストランから法外な見ケ〆料を要求し、応じなければ店舗を破壊して暴力を振るうという事件が多発。警察は取り締まりに躍起となるが、しかし被害者たちは報復を恐れて捜査に協力せず、たとえ現行犯で逮捕してもすぐに顧問弁護士が現れて釈放せざるを得ない。どう考えても、政治的かつ経済的な力を持つ黒幕が裏で彼らを操っているはずだ。捜査を担当するパルミエリ警部(ファビオ・テスティ)は、身の危険を冒して敵のしっぽを掴もうとするが、勇気を出して警察に協力を申し出た人々は次々と報復によって愛する家族を殺され、パルミエリ警部自身も大切な相棒を失ってしまう。
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どうやら、相手は警察上層部まで賄賂で抱き込んでいるようだ。このまま法律に則ったクリーンな捜査を続けていても、あえて法の目をかいくぐる巨悪が相手ではまるで歯が立たない。一線を越えた違法捜査を咎められて警察を追われたパルミエリ警部は、敵に家族を殺されるなどして恨みを持つ男たちを集めて自警団を結成。機関銃やライフル、ダイナマイトなどの武器を手に、最後は敵の本拠地へ総攻撃を仕掛けることになる。
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さながら『狼よさらば』×マカロニ・ウエスタン。権力の腐敗やテロ犯罪の頻発によって社会的な不安が広がった、'70年代当時のイタリアの荒廃した世相が色濃く反映されてはいるものの、カルロ・リッツァーニやダミアノ・ダミアーニのようなメッセージ性の高い告発映画ではなく、徹底的にアクションとバイオレンスを追求した純然たる娯楽映画を志向しているところがカステラーリらしいと言えるだろう。
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チンピラたちが我が物顔で暴虐の限りを尽くし、それに対して警察は手も足も出ず、善意の人々が完膚なきまでに痛めつけられていく理不尽。思春期の可憐な少女(カステラーリ監督の愛娘ステファニア・ジロラーミ)が寄ってたかって輪姦され、人妻が凌辱された挙句に生きたまま焼き殺される。チンピラやその黒幕に対する観客の怒りや憎しみをこれでもかと煽りまくる、ウルトラハードなバイオレンス描写は今見てもかなりショッキングだ。
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悪い奴らが平然とのさばり、正直者ばかりがバカを見る社会。挙句の果てにはパルミエリ警部までもが警察をクビになる。いくらなんでももう許せない!ということで、終盤はチンピラたちに深い恨みを持つ男たちがパルミエリ警部のもとへ結集し、武器を手に敵のアジトへ総攻撃を仕掛け、盛大なバトルを繰り広げることになる。まさしくマカロニ・ウエスタンを彷彿とさせるようなカタルシスに、誰もが血沸き肉躍ること間違いなしだ。
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その一方で、苦々しさの残るクライマックスへ向けた悲壮感の漂う展開は、翌年の『地獄のバスターズ』を先駆けているとも言えよう。恋愛ロマンスやコメディリリーフなどの余計な要素を一切排除し、どこまでも骨太な男たちのドラマに仕上げている。これまたカステラーリ監督らしい。セルジオ・コルブッチの『ガンマン大連合』('70)やセルジョ・ソリーマの『非情の標的』('73)などの傑作バイオレンスを手掛けたマッシモ・デ・リータ、そのデ・リータとはカルロ・リッツァーニの『ミラノの銀行強盗』('68)や『アマゾネス』('73)などで組んだアルドゥイノ・マイウーリ(ディノ・マイウーリ名義の方が有名かも)と、イタリアン・アクションの名脚本家コンビが揃っているわけだが、彼らはどこまでも硬派なカステラーリ監督の持ち味を十二分に理解していたように思える。
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もちろん、カステラーリ監督お得意のアクションも大きな見どころだ。わりと大味なスタントの多かった当時のイタリア産B級アクション映画だが、その中にあってハリウッド映画も顔負けの本格的スタントにこだわったアスリート出身のカステラーリ監督。本作ではのっけから、車に乗ったまま崖の上から転落するパルミエリ警部の様子を、車内に装着したカメラでスローモーションを交えながら捉えるという荒業を披露してくれる。これ、今ではハリウッド映画でもお馴染みとなった撮影方法だが、'70年代当時は相当に画期的だったはずだ。また、格闘シーンで空手やカンフーの技を取り入れているのも、当時のイタリア映画としては非常に珍しい。そのほか、細部まで緻密に計算されたスタントシーンが目白押し。カステラーリ監督のスタイリッシュなアクション演出も冴える。
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パルミエル警部役として切れのあるアクションを見せてくれるのは、『ローマ麻薬ルート大追跡』でもカステラーリ監督と組んだファビオ・テスティ。巨匠ヴィットリオ・デ・シーカの『悲しみの青春』('70)で注目され、フランコ・ネロに続くイタリアン・アクションのスターとして高い人気を誇った俳優だ。そのパルミエル警部の捜査に力を貸す老練なスリ、ペペを演じているのが、『狼よさらば』の刑事役や『月の輝く夜に』('87)の父親役で有名なハリウッド俳優ヴィンセント・ガーディニア。愛娘が犠牲となって頭がおかしくなってしまうレストラン店主には、当時のイタリア産刑事アクションには欠かせなかった名脇役レンツォ・パルメルが扮している。
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そのほか、スタントマン出身のロマーノ・プッポやイタリア在住のアメリカ人俳優ジョシュア・シンクレア(本作ではジャンルイジ・ロッフレード名義を使用)など、カステラーリ作品の常連組もずらりと登場。また、チンピラ役にはマッシモ・ヴァンニやロベルト・デラクア、ジョヴァンニ・チャンフリリアなど、イタリア産娯楽映画全盛期を代表するスタントマンたちが顔を揃えている。本作が面白いのは、そのチンピラ・グループに女性が含まれていること。これが野郎ども顔負けの徹底した悪女で、格闘シーンでもほぼ対等に主人公たちとやり合う。もちろん、パルミエル警部も女だからって手加減せずに殴り飛ばすのだけれど(笑)。
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評価(5点満点):★★★★☆

参考DVD情報(アメリカ盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/音声:2.0ch Dolby Digital Mono/言語:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/時間:106分/発売元:Blue Underground
特典:エンツォ・G・カステラーリ監督による音声解説/オリジナル劇場予告編



by nakachan1045 | 2019-07-15 11:35 | 映画 | Comments(0)

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