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なかざわひでゆき の毎日が映画&音楽三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画&音楽レビュー日記
by なかざわひでゆき
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「ザ・ファミリー」 The Don Is Dead (1973)

「ザ・ファミリー」 The Don Is Dead  (1973)_f0367483_02190099.jpg
監督:リチャード・フライシャー
製作:ハル・B・ウォリス
原作:マーヴィン・H・アルバート
脚色:クリストファー・トランボ
   マイケル・フィリップ・バトラー
脚本:マーヴィン・H・アルバート
撮影:リチャード・H・クライン
衣装:イーディス・ヘッド
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演:アンソニー・クイン
   フレデリック・フォレスト
   ロバート・フォースター
   アル・レッティエリ
   エンジェル・トンプキンス
   チャールズ・チオッフィ
   ジョー・アン・メレディス
   アイナ・バリン
   J・デューク・ルッソ
   ジョー・サントス
   ルイス・ゾーリック
   フランク・デコーヴァ
   アンソニー・チャーノタ
   エイブ・ヴィゴダ
   ヴィクター・アーゴ
   シド・ヘイグ
アメリカ映画/113分/カラー作品




「ザ・ファミリー」 The Don Is Dead  (1973)_f0367483_07223120.jpg
<あらすじ>
レガルブート・ファミリーの後継者フランク(ロバート・フォースター)は、幼馴染で親友のトニー(フレデリック・フォレスト)と、その兄ヴィンス(アル・レッティエリ)のファーゴ兄弟と組み、それまでファミリーが手を出してこなかった麻薬ビジネスで稼いでいた。ある晩、麻薬組織の売人アラブ(シド・ヘイグ)との取引現場に正体不明のギャングが乱入。トニーの機転で一味を皆殺しにしたが、ファミリーの中に情報を流した裏切り者がいるのは明白だった。
ファーゴ兄弟の経営する自動車修理工場へ戻ると、フランクは父親ドン・パオロが心臓発作で亡くなったとの報告を受ける。すぐにマフィア組織全体の会合が開かれ、ラスベガスを支配する3大ファミリーの顔役たちが集まった。フランクがレガルブート・ファミリーの次期ドンとして相応しいかどうかを話し合うためだ。
服役中であるベルナルド・ファミリーのドン、ジミーの代理として出席したオルランド(チャールズ・チオッフィ)は、若くて経験の浅いフランクはまだ時期尚早だと強く主張。そのため、レガルブート・ファミリーは解散することとなり、フランクはディモーラ・ファミリーのドン・アンジェロ(アンソニー・クイン)が与ることとなる。ドン・パオロと親友だったドン・アンジェロはフランクとも親しく、自分の後継者としてフランクを指名すると約束。ファーゴ兄弟はこれを機に独立することとなった。
だが、これはラスベガスの支配を狙うオルランドの策略のひとつだった。ベルナルド・ファミリーの留守を預かる彼は、ジミーの野心的な妻マリア(ジョー・アン・メレディス)と秘かに結託し、ジミーが出所するまでに3大ファミリーの縄張り全てを手中に収め、自分がドンに取って代わろうと考えていたのだ。まずは3大ファミリーの1つを消した。次はドン・アンジェロとフランクを反目させ、ディモーラ・ファミリーを自滅させればいい。そこでオルランドは、フランクの恋人ルビー(エンジェル・トンプキンス)に目を付ける。
売れない歌手であるルビーを、音楽業界に顔の利くドン・アンジェロに紹介するオルランド。ルビーはドン・アンジェロがフランクの父親代わりとは知らない。上昇志向の強い彼女はドン・アンジェロに自らを売り込み、やがて彼の愛人となる。ロサンゼルスで裏切り者を探し出して処刑したフランクは、ラスベガスの空港に着くと一通の封筒を受け取る。そこにはルビーがドン・アンジェロから与えられたアパートの鍵が入っていた。
最愛の女性が愛人生活をしていると知り、怒りに任せてルビーを半殺しにしてしまうフランク。病室で意識のもうろうとしたルビーを見てショックを受けたドン・アンジェロは、激昂してフランクの暗殺を部下に命じるものの、右腕ミッチ(ルイス・ゾーリック)に冷静になるよう諭されて撤回する。ところが、一足遅く殺し屋がフランクのもとへ向かってしまい、ドン・パオロの右腕だったヴィトが巻き添えを食らって殺される。
ルビーの愛人がドン・アンジェロだったと知って驚くフランク。しかし、ヴィトが殺されたからには黙っていられない。かくして、火ぶたの切って落とされたドン・アンジェロとフランクの戦いは、やがて血で血を洗う抗争へと発展していく。マフィアから足を洗おうと考えていたトニーも、フランクとヴィンスの頼みで力を貸すことになる。その様子をほくそ笑んで眺めているオルランドだったが…。
「ザ・ファミリー」 The Don Is Dead  (1973)_f0367483_07223700.jpg
<作品レビュー>
これはリチャード・フライシャー版『ゴッドファーザー』である。本作の前年に公開され大ヒットを記録したフランシス・フォード・コッポラ監督の『ゴッドファーザー』('72)は、年間興行収入ランキングで1位を獲得しただけでなくアカデミー賞の作品賞にまで輝き、それまで主にB級ジャンルだったマフィア映画を一躍メインストリームへと押し上げた。ひとつ大当たりが出れば、すぐさま柳の下の泥鰌が続々と沸くのは映画ビジネスの常で、当時は第2第3の『ゴッドファーザー』を狙うマフィア映画が数多く作られた。本作もその中のひとつである。
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主人公はラスベガス一帯を牛耳る3大組織のひとつ、レガルブート・ファミリーのドンの息子フランク(ロバート・フォースター)とその親友トニー(フレデリック・フォレスト)。血気盛んで向こう見ずなヤンチャ坊主のフランクに対し、冷静で思慮深く頭の切れるトニーは、マフィアから足を洗って自分の可能性を試したいと考えている。そんな折、フランクの父親が心臓発作で死亡。ドンの座を継ぐにはまだ若過ぎると判断されたフランクは、仲間であるディモーラ・ファミリーの後継者候補として、ドン・アンジェロ(アンソニー・クイン)のもとで修業を積むことが決まり、かくしてラスベガスの勢力図は2大ファミリーで分割することとなる。
「ザ・ファミリー」 The Don Is Dead  (1973)_f0367483_07230255.jpg
しかし実はこれ、もうひとつの組織ベルナルド・ファミリーのドン代理、オルランド(チャールズ・チオッフィ)による策略だった。ドン・アジミオ(通称ジミー)が服役中なのをいいことに、ドンの野心的過ぎる妻マリアと秘かに結託したオルランドは、親分のいない間に全ての縄張りを自分が牛耳ろうと考えていたのだ。そうすれば、ジミーは出所した途端にお役御免。自分がラスベガス一帯を支配するドンになれる。そのための第一歩として、マフィア組織全体の役員会でレガルブート・ファミリーの解散を主張したのだ。あとはディモーラ・ファミリーを潰すだけである。
「ザ・ファミリー」 The Don Is Dead  (1973)_f0367483_07231288.jpg
そこでオルランドは、フランクの恋人ルビー(エンジェル・トンプキンス)をドン・アンジェロとくっつけるよう仕向ける。なにしろ、頭に血が上ったら前後見境なくなるフランクのこと、恋人を奪われたとなったら、たとえ親代わりのドン・アンジェロであろうと牙をむくに違いない。しかも、ドン・アンジェロもドン・アンジェロで、いったん怒りに火が付くと情け容赦のない人物だ。必要なのはきっかけを与えるだけ。あとは両者が勝手に戦争をおっ始めて、勝手に自滅してくれるに違いない。かくしてオルランドの目論見通り、美女ルビーを巡ってフランクとドン・アンジェロの仁義なき戦いが勃発。しかし、フランクの助っ人として嫌々ながら加わることになったトニーが、さすがは知恵者だけあって見事な戦略家ぶりを発揮し、やがてファミリーを率いるリーダーとしてメキメキと頭角を現していくことになる。
「ザ・ファミリー」 The Don Is Dead  (1973)_f0367483_07232319.jpg
なるほど、ドンの死によって後継者候補となった若輩者が主人公という点において、『ゴッドファーザー』と相通じるものがある『ザ・ファミリー』だが、しかし役割的に言うと御曹司フランクはマイケル・コルレオーネではなくソニー。むしろ、本作でマイケルに当たるのは親友のトニーだ。世間知らずなお坊ちゃんならではの短絡的思考が仇となり、女性を巡って恩人ドン・アンジェロと無益な殺し合いを繰り広げていくフランクが自ら墓穴を掘る一方、平凡な幸せと平和な暮らしを求める温厚なトニーがかえって、マフィア組織全体を束ねてパワーバランスを保つ役割を担っていくことになるのは、ある意味で当然の帰結と言えるだろう。
「ザ・ファミリー」 The Don Is Dead  (1973)_f0367483_07234101.jpg
それはドン・アンジェロも同様で、一時の感情にまかせて大人げない判断をしたせいで、最後はとんでもない目に遭ってしまう。たとえオルランドの姑息な罠がなくとも、いずれは2人の間に戦争が勃発していたかもしれない。大勢の命を預かるリーダーたるもの、安易に戦いを仕掛けてはいけないし、安易に売られた喧嘩を買ってもいけない。あくまでも暴力は最大限に避けねばならない最終手段。マフィア組織だろうと国家だろうと理屈は同じだ。
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『ゴッドファーザー』をマフィア版『風と共に去りぬ』のごとき堂々たるバイオレンス大作に仕上げたコッポラに対し、いい意味でプログラムピクチャー的なアクション映画に徹したフライシャー監督の演出も評価されるべきだろう。特に、中盤からの血で血を洗うような抗争劇の、まさに畳みかけるような暴力の応酬はなかなかの迫力。見せ場に次ぐ見せ場でテンポ良く話を進めつつ、しっかりと人間ドラマにも目が行き届いている辺りは、さすが作家性と職人技を兼ね備えた名匠だけのことはある。
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もちろん、これが映画デビュー作だったクリストファー・トランボ(ダルトン・トランボの息子)とマイケル・バトラー(本作ではマイケル・フィリップ・バトラーとクレジット)の2人による優れた脚色も特筆すべきだろう。トランボは本作に続いてジョン・ウェイン主演の刑事アクション『ブラニガン』('75)を手掛け、バトラーはデニス・シュリアックとのコンビで『ガントレット』('77)などのイーストウッド映画で名を上げることになる。そうそう、本作は『マルタの鷹』('41)や『カサブランカ』('42)などを世に送り出した、ハリウッド黄金期の伝説的なモーグルの一人、ハル・B・ウォリスの晩年のプロデュース作品でもあった。ハリウッド黄金期と言えば、あのイーディス・ヘッドが衣装デザインを手掛けていることも忘れてはならないだろう。
「ザ・ファミリー」 The Don Is Dead  (1973)_f0367483_07231880.jpg
ひとまず天下の大御所アンソニー・クインがトップ・ビリングでクレジットされているが、実質的な主演は当時まだ若手だったロバート・フォースターとフレデリック・フォレスト。『ゴッドファーザー』のアル・パチーノとジェームズ・カーンに比べると小粒感は否めないものの、やはりクセモノ俳優は若い頃からクセモノ。なおかつ、老成してからの芝居とは一味違った活きの良さで楽しませてくれる。『ゴッドファーザー』のアル・レッティエリとエイブ・ヴィゴダが出ているのもニンマリだし、『コーザ・ノストラ』('73)のチャールズ・チオッフィや『シェイマス』('73)のジョー・サントス、『ミーン・ストリート』('72)や『タクシー・ドライバー』('76)のヴィクター・アーゴなど、当時の犯罪映画やマフィア映画でお馴染みの顔が揃っているのも嬉しい。カルト俳優シド・ヘイグの出演も要注目だ。
「ザ・ファミリー」 The Don Is Dead  (1973)_f0367483_07233097.jpg
一方の女優陣では、やはり戦争の発端になる美女ルビー役のエンジェル・トンプキンスがダントツにいい。彼女は当時ユニバーサルの専属女優で、美貌・気品・演技力の三拍子揃った才能の持ち主。特に声の美しさと滑らかなセリフ回しは格別だ。そのうえ、脱ぎっぷりも良いという完璧ぶりだったのだが、なぜか作品に恵まれないまま、いつしかB級映画専門女優となってしまった。悪女マリア役のジョー・アン・メレディスは、他であまり見たことのない女優だが、絵に描いたようなビッチを嬉々として演じていて好印象。また、『孤独な関係』('60)や『若き医師たち』('61)で売り出した清純派女優アイナ・バリンが、トニーのしっかり者の兄嫁ネラ役を演じており、出番こそ少ないものの本作の良心として存在感を残している。
「ザ・ファミリー」 The Don Is Dead  (1973)_f0367483_07233439.jpg
評価(5点満点):★★★★☆

参考DVD情報(アメリカ盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/音声:2.0ch Dolby Digital/言語:英語/字幕:英語・フランス語・スペイン語/地域コード:1/時間:113分/発売元:Universal Studios
特典:オリジナル劇場予告編



by nakachan1045 | 2019-11-18 03:13 | 映画 | Comments(0)

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