なかざわひでゆき の毎日が映画&音楽三昧
「死神ジョーズ・戦慄の血しぶき」 Shark - Rosso nell'oceano (1984)

監督:ジョン・オールド・ジュニア(ランベルト・バーヴァ)
製作:ミーノ・ロイ
原案:ルイス・コーツ(ルイジ・コッツィ)
ディーン・ルイス(ルチアーノ・マルティーノ)
マーティン・ドールマン(セルジョ・マルティーノ)
脚本:ジャンフランコ・クレリチ
フランク・ウォーカー(ヴィンチェンツォ・マンニーノ)
ダルダノ・サケッティ
ヘルヴェ・ピッチーニ
撮影:ジョン・マクフェランド(ジャンカルロ・フェランド)
クリーチャー製作:オヴィディオ・タイト
音楽:アンソニー・バリモア(ファビオ・フリッツィ)
出演:マイケル・ソプキフ
ヴァレンタイン・モニエ
ジョン・ガルコ(ジャンニ・ガルコ)
ウィリアム・バーガー
ダグマー・ラッサンダー
イリス・ペイナード
ローレンス・モーガント
シンシア・スチュワート(シンツィア・デ・ポンティ)
ポール・ブランコ
ディノ・コンティ
ダーラ・N・ワーナー
イタリア・フランス合作/94分/カラー作品
<あらすじ>
フロリダ州の水族館でイルカの生態を研究している女性ステラ(ヴァレンタイン・モニエ)は、このところイルカたちの異常行動が気になっていた。その原因は近隣の海底から聞こえる奇妙な音波。同僚の海洋生物学者ボブ(ディノ・コンティ)が、調査船で沖を回遊中に気付いたものの、しかし音波を解析するだけの設備が手元にはない。そこで、ステラとボブは軟派な遊び人だが科学者としては優秀なピーター(マイケル・ソプキフ)に機材を提供してもらい、海洋学研究所のホーガン博士(ローレンス・モーガント)にも協力を依頼する。
ところが、その直後にホーガン博士の助手フロリンダ(シンツィア・デ・ポンティ)が暴漢によって殺害され、ピーターのラボも襲撃を受けて機材を破壊されてしまう。何者かが調査を妨害している様子だった。一方、沖ではボートに乗った釣り人が巨大な海洋生物に襲撃される事件が相次いでおり、ゴードン保安官(ジャンニ・ガルコ)は海洋生物学の権威ウェスト教授(ウィリアム・バーガー)に調査を依頼。また、巨大生物がサメではないと直感したピーターたちもウェスト教授に協力を要請し、さらにボブの友人である女性考古学者ジャネット(ダーラ・N・ワーナー)を呼び寄せる。すると、問題の巨大生物の正体が1600万年前に生息していたサメの祖先である古代魚ダンクルオステウスである可能性が浮上するのだった。
早速、海へ調査に向かうピーターとステラ、ボブ、ジャネットの4人。ところが、ピーターとステラが海中へ潜っている隙に調査船が巨大生物に襲撃され、ボブが犠牲となってしまう。それはダンクルオステウスとタコのハイブリッドである未知の生物だった。さらに、例の暴漢グループが調査船へ乗り込み、たまたま一人で留守番をしていたジャネットが殺されてしまう。
なんとか暴漢グループを倒して巨大生物の一部を研究所へ持ち帰ったピーターとステラ。もはや生け捕りにすることは不可能、爆弾で木っ端微塵に爆破するしかないと考えたゴードン保安官は、人員を集めて海に罠を仕掛けようとする。ところが、研究所でデータを調査していたウェスト教授は、巨大生物が切断されたパーツから再生できることを発見。つまり、バラバラにすればその分だけ怪物が増殖してしまうのだ。そのうえ、教授はこの生物の遺伝子が人為的に作られたものであることにも気付く。実は教授の野心的な妻ソーニャ(ダグマー・ラッサンダー)とその愛人であるホーガン博士が結託し、新種の海洋生物を研究開発していたのだ…。
<作品レビュー>
スティーブン・スピルバーグ監督『ジョーズ』('75)の大ヒットを受けて、'70年代後半~'80年代にかけて世界各国で作られた人食いサメ映画。意外にも、パクリ映画大国イタリアではそれほどのブームにはならなかったものの、それでもエンツォ・G・カステラーリ監督の『ジョーズ・リターンズ』('80)を皮切りに、'80年代を通して何本かの「なんちゃってジョーズ映画」が製作されている。その一つが、イタリアン・ホラーの父マリオ・バーヴァの息子、ランベルト・バーヴァが手掛けた『死神ジョーズ・鮮血の血しぶき』('84)である。
といってもこれ、厳密に言うと「人食いサメ映画」ではなく、どちらかというと『リバイアサン』('89)や『ザ・ディープ』('89)の系譜に属する海洋モンスター映画だ。舞台はメキシコ湾と大西洋に囲まれたアメリカ南部のフロリダ州。沖合で謎の巨大生物にボートが襲われる事件が相次ぎ、地元の海洋学者や保安官らが調査したところ、犯人はサメの先祖である幻の古代魚ダンクルオステウスとタコを掛け合わせた未知のモンスターだった!…というわけだ。しかもこのモンスター、実は人間が意図的に遺伝子を操作して生まれたミュータントで、黒幕一味は主人公たちの調査を妨害すべく、殺し屋を雇って関係者を次々と始末していく。果たして、裏で糸を操っている首謀者は誰なのか…?という謎も絡んでくるのだ。
そんなわけで、さながらジャッロ風味に味付けされたイタリア産海洋モンスター映画といったところか。もともとはジャッロ映画や犯罪アクションで有名なセルジョ・マルティーノ監督の企画で、彼自身が兄ルチアーノおよび友人ルイジ・コッツィと共同で脚本を執筆し、ルチアーノがプロデュースを手掛ける予定だった。恐らく、大ヒットした兄弟コンビ作『ドクター・モリスの島/フィッシュマン』('78)の成功が念頭にあったのだろう。オリジナル脚本ではヴェネチアが舞台だったそうだ。しかし、マルティーノは別の企画に取り掛かっているうち、いつしか本作への興味を失ってしまったという。
その後、改めてコッツィがストーリーを練り直し、さらに『ビッグ・マグナム77』('75)などの名コンビ、ジャンフランコ・クレリチとヴィンチェンツォ・マンニーノが加筆し、ルチオ・フルチとのコラボレーションで有名なダルダノ・サケッティが最終的に脚本を仕上げた。ただ、やはりマルティーノ自身はタッチするつもりがなかったため、『食人帝国』('80)や『地獄の門』('81)の製作者ミーノ・ロイにプロデュースを任せ、ちょうどマルティーノ監督の『サイボーグ・ハンター/ニューヨーク2019』('83)でデビューしたアメリカ人俳優マイケル・ソプキフを主演に起用する。もともとファッション・モデルだったソプキフは、マルティーノ兄弟のプロダクションと4本の出演契約を結んでおり、これがその2本目となったのだ。
監督にランベルト・バーヴァを選んだのはミーノ・ロイだったとのこと。ただし、脚本を読んで気に入らなかったランベルトは、本名ではなくジョン・オールド・ジュニアの変名を使用することにした。かつて父マリオが使用した変名がジョン・オールド。その息子だからジョン・オールド・ジュニアというわけだ。実際、脚本の出来はお世辞にも良いとは言えず、イタリア産B級娯楽映画の全盛期を支えた監督・脚本家が何人も携わったとは思えないほど。むしろ、必要以上に大勢が関わったせいで無茶苦茶になってしまったのではないだろうか。ランベルトの演出もどこか、心ここにあらずといった印象。そのうえ、編集も全体的にダラダラとしてテンポが悪く、そのため話が一向に盛り上がらない。かつてレンタルビデオで見たときは、それなりに面白いと思ったのだけれど、どうやらとんでもない勘違いだったようだ(笑)。
ただ、ダンクルオステウスの頭部にタコの胴体をくっつけたようなモンスターのデザインは意外と悪くない。特に、海底から不気味に姿を現すシーンは印象的。惜しむらくは、ちょっとしか全体像を見せてくれないことか。デザインを手掛けたのは、本作の美術監督マッシモ・アントネッロ・ゲレングの弟子で、『地獄の門』でセット・デザインのアシスタントを担当したオヴィディオ・タイト。ロングショット用のミニチュア・モデルと、俳優と絡ませる実物大モデルの2種類を製作したのだそうだ。
女性海洋学者ステラを演じているヴァレンタイン・モニエは、『サイボーグ・ハンター/ニューヨーク2019』でもソプキフと共演していたフランス人女優。さらに、マカロニ西部劇のヒーロー、サルタナ役で有名なジャンニ・ガルコ、同じくマカロニ西部劇の悪役として知られるウィリアム・バーガー、ジャッロ映画のヒロインだったダグマー・ラッサンダーといったイタリア産ジャンル映画のベテラン・スターたちが脇を固める。ジェイク・ギレンホールにソックリな海洋学者ボブ役のディノ・コンティは、ジョー・ダマト監督の『核戦士シャノン』('83)で科学者役を演じていた俳優。なぜか裸にひん剥かれて殺されるヌード担当の美女シンツィア・デ・ポンティは、フルチの『ザ・リッパー』('82)や『マンハッタン・ベイビー』('83)に出ていた。また、モンスターに襲われたうえに暴漢に殺される女性学者ジャネット役のダーラ・N・ワーナーは、本作のようにアメリカで撮影されるイタリア映画(本作の場合はフロリダ州)のコーディネーターを務めたプロデューサー、ロバート・E・ワーナーの奥さんである。
なお、アメリカでは本編が90分に短縮され、「Devil Fish」という英語タイトルで公開された本作(インターナショナル完全版の英語タイトルは「Monster Shark」)。日本でビデオ発売されたバージョンは、どうやらそのアメリカ公開版だったらしい。現在、アメリカのCode Redレーベルから発売されているブルーレイは94分のインターナショナル完全版。イタリアで新たに制作されたHDマスターに米国内でカラコレ処理を施しており、30年以上前に作られたチープなイタリア産B級映画ということを考えると、十分過ぎるくらいの高画質だ。
評価(5点満点):★★☆☆☆
参考ブルーレイ情報(アメリカ盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/1080p/音声:2.0ch DTS-HD Master Audio/言語:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/時間:94分/発売元:Code Red
特典:俳優マイケル・ソプキフによるイントロダクション(約2分)/俳優マイケル・ソプキフの音声解説/オリジナル劇場予告編
by nakachan1045
| 2020-03-07 15:33
| 映画
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