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なかざわひでゆき の毎日が映画&音楽三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画&音楽レビュー日記
by なかざわひでゆき
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「マックスの離婚」 Max Wants A Divorce (1917)

「マックスの離婚」 Max Wants A Divorce  (1917)_f0367483_16411319.jpg
監督:マックス・ランデー
脚本:マックス・ランデー
撮影:アーサー・リーヴス
出演:マックス・ランデー
   マーサ・マンスフィールド
   ヘレン・ファーガソン
   フランシーヌ・ラリモア
   アーネスト・モーペイン
アメリカ映画/27分/モノクロ(サイレント)映画




「マックスの離婚」 Max Wants A Divorce  (1917)_f0367483_22285589.jpg
<あらすじ>
新婚ホヤホヤの紳士マックス(マックス・ランデー)のもとへ、亡くなったおじさんの弁護士から一通の手紙が届く。おじさんは300万ドルもの遺産を残してくれたのだが、しかしそれを受け取るにはマックスが独身でなくてはいけないというのだ。困った彼は新婚の妻(マーサ・マンスフィールド)に、いったん離婚してくれないかと申し出る。遺産を貰ったらすぐに再婚すればいいじゃないかと言うマックスだったが、しかし納得のいかない妻はすっかり怒り心頭。手当たり次第に物を投げつけられたマックスだが、ひとまずお詫びに真珠のネックレスをプレゼントすることを約束し、なんとか妻に一時的な離婚を承諾させる。
とはいえ、離婚するには正当な理由が必要だ。そこで、マックスは自分がよその女性と不倫する現場を、妻の雇った私立探偵が発見するという筋書きを思いつく。早速、ホテルの舞踏会へ出かけて「浮気相手」を物色するマックスと妻。しかし、どうせならタイプの美女と浮気したいマックスに再び妻がおかむり。すったもんだの末に、マックスは一人で舞踏会に来ていた若い娘(フランシーヌ・ラリモア)の連絡先をゲットする。
さらに、浮気現場となるアパートの部屋を借りたマックスは、若い娘に連絡して逢引の時間を伝え、一方の妻は私立探偵に電話をして浮気調査を依頼する。娘がマックスの待つアパートの部屋に到着するのが午後4時。私立探偵には午後5時にアパートへ乗り込むよう指示した。しかし、いろいろと心配な妻はアパートの大家が雇ったメイドのふりをして部屋へ上がり込み、マックスの「浮気現場」を邪魔しようとする…。
「マックスの離婚」 Max Wants A Divorce  (1917)_f0367483_22291809.jpg
<作品レビュー>
あのチャールズ・チャップリンが自らの師匠と呼んで敬愛し、多大な影響を受けたとされるフランスの喜劇王マックス・ランデー。実際、チャップリンの短編コメディにはランデー作品とストーリーやシチュエーションの似ている映画が少なくない。本名をガブリエル=マクシミリアン・ルーヴェイユというマックス・ランデーは、パリのオランピア劇場などの舞台に立った後、1905年頃からパテ社の短編コメディに出演するようになり、やがてダンディでキザだけど間抜けでとぼけた女好きの上流紳士マックスというキャラクターを作り上げ、遂には世界で最もギャラを稼ぐ映画スターの一人となる。当時のフランスでは「映画界のナポレオン」とまで呼ばれたそうだ。
「マックスの離婚」 Max Wants A Divorce  (1917)_f0367483_22290039.jpg
当然ながら、その名声はアメリカへも及ぶこととなり、'16年にシカゴを拠点とする映画会社エッサネイ・スタジオに招かれて渡米する。ちょうど当時、看板スターだったチャップリンが抜けたエッサネイは、その後釜としてランデーに白羽の矢を立てたのだ。結局、彼のアメリカ進出はあまり成功せず、後輩チャップリンと親交を深めることは出来たものの、しかしたった3本の短編コメディを撮っただけでフランスへ戻ることになる(その4年後に再びアメリカ市場へ挑戦するのだが)。その3本のうちのひとつが、この『マックスの離婚』である。
「マックスの離婚」 Max Wants A Divorce  (1917)_f0367483_22291012.jpg
物語は遺産相続を巡る珍騒動。結婚したばかりのマックスのもとへ、亡くなったおじさんの莫大な遺産が転がり込むことになるのだが、しかし相続するための条件は彼が「独身」であること。慌てた彼は妻との一時的な離婚をすべく、その理由として自らの浮気を偽装しようと画策するのだが、嫉妬深い妻が「偽装のつもりが本気になった困る」とあれこれ余計な邪魔をするおかげで、次々とトラブルに見舞われることになる。全ての努力が水の泡となるオチを含め、なんともたわいなく微笑ましい作品だ。
「マックスの離婚」 Max Wants A Divorce  (1917)_f0367483_22291463.jpg
監督・脚本・主演を兼ねるのは、もちろんマックス・ランデー。基本的には当時の王道的なスラップスティック・コメディなのだが、例えば舞踏会シーンで差し込まれる影絵アニメーション風のファンタジックな演出など、エスプリを効かせたお洒落で洗練されたタッチは、当時のアメリカ産短編喜劇と一線を画す魅力とも言えよう。まあ、その分だけ品良くまとまってしまったような印象は否めず、チャップリンやキートンのように体を張ったギャグもないため、物足りなく感じる無声喜劇ファンはいるかもしれない。それでも、フランス時代の作品に比べるとだいぶアメリカナイズされているとは思うのだが。あと、シンプルなプロットに比して登場人物が多すぎるため、特に後半はストーリーが分かりづらくなってしまったようにも思う。
「マックスの離婚」 Max Wants A Divorce  (1917)_f0367483_22290777.jpg
マックスの妻を演じているのは、名作『狂へる悪魔』('20)で天下の名優ジョン・バリモアと共演した可憐な清純派女優マーサ・マンスフィールド。当時まだデビューしたばかりで、なんともキュートで初々しい。その後、24歳の若さで映画撮影中の事故で火だるまになって焼死してしまう。また、マックスの浮気相手に白羽の矢が立つ若い女性役を、あのブロードウェイ・ミュージカル『シカゴ』の基となった同名舞台劇の、'26年初演版で主人公ロキシー・ハートを演じた有名なブロードウェイ女優フランシーヌ・ラリモアが演じているのも要注目。彼女の出演映画は大半が現存してないため、これは貴重だと言えよう。
「マックスの離婚」 Max Wants A Divorce  (1917)_f0367483_22290394.jpg
評価(5点満点):★★★☆☆
「マックスの離婚」 Max Wants A Divorce  (1917)_f0367483_21392175.jpg
参考DVD情報(アメリカ盤)※米国時代の作品集
モノクロ/スタンダード(1.37:1)/音声:2.0ch Dolby Digital(伴奏)/言語:なし/字幕:英語/地域コード:1/時間:27分/発売元:Kino Lorber/Lobster Films



by nakachan1045 | 2020-03-08 22:30 | 映画 | Comments(0)

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