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なかざわひでゆき の毎日が映画&音楽三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画&音楽レビュー日記
by なかざわひでゆき
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「ファイナル・イグザム/惨殺の5日間」 Final Exam (1981)

「ファイナル・イグザム/惨殺の5日間」 Final Exam  (1981)_f0367483_12500805.jpg
監督:ジミー・ヒューストン
製作:ジョン・L・チャンブリス
   マイロン・メイゼル
脚本:ジミー・ヒューストン
撮影:ダレル・カッチャート
音楽:ゲイリー・S・スコット
出演:セシル・バグダディ
   ジョエル・S・ライス
   ラルフ・ブラウン
   ディアナ・ロビンズ
   ジェリー・ウィリス=バーチ
   ジョン・ファロン
   テリー・W・ウォーレン
   ティモシー・L・レイナー
   サム・キルマン
   ドン・ヘプナー
アメリカ映画/90分/カラー作品




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<あらすじ>
メイ大学でカップルの男女学生が、何者かに殺害されるという事件が発生。その翌日、近隣のレイニアー大学では夏休み前の学年末試験の最終日で、学生たちはメイ大学での事件を聞いてもまるで気にしていなかった。今日は最後に残された化学の試験。すると突然、大学のキャンパスに武装グループが乱入し、機関銃を乱射して数名の学生を射殺。その死体を回収した犯人たちはミニバンで去っていく。
実はこれ、苦手な化学の試験を妨害しようというアメフト部員、マーク(ジョン・ファロン)とワイルドマン(ラルフ・ブラウン)が後輩たちを使って仕組んだイタズラで、殺された学生たちもサクラだった。成績優秀なオタク学生ラディッシュ(ジョエル・S・ライス)がミニバンのナンバーを記録していたため、すぐにマークとワイルドマンの仕業だということがバレてしまい、学生たちは保安官(サム・キルマン)からたっぷりと叱られるが、しかしおかげで化学の試験は翌日に延期された。
かくして、大学の学生寮には化学の試験を受ける生徒だけが残る。生真面目な女子コートニー(セシル・バグダディ)は、美人で男子にモテるルームメイトのリサ(ディアナ・ロビンズ)に比べて冴えない自分の学生生活に落ち込み、なかなか勉強が手に付かない。実はラディッシュが自分へ想いを寄せているのも気付かず。そのリサは科学の講座を受け持つ教授レイノルズ(ドン・ヘプナー)と不倫しており、今夜も美術室で密会する予定だった。また、ちょっとトボケた女の子ジャネット(シェリー・ウィリス=バーチ)は、彼氏のゲイリー(テリー・W・ウォーレン)が自分とのデートよりもフラタニティ(男子学生の友愛会)を優先しているのに不満だ。
一方、フラタニティの中心人物であるマークとワイルドマンは、新入生であるゲイリーをこき使って虐めており、遂には彼をパンツ一丁にひん剥いて木に縛り付けてしまう。さらに、彼らはパーティに必要な薬物を手に入れようと、レイノルズ教授の研究室に忍び込もうとする。そんな学生寮を徘徊して、生徒たちを観察する怪しげな人影。近隣のメイ大学で男女を殺した犯人(ティモシー・L・レイナー)だ。やがて夜のとばりが降り、生徒たちが一人また一人と、正体不明の殺人鬼の犠牲となっていく…。
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<作品レビュー>
『ハロウィン』('78)や『13日の金曜日』('80)の大成功を皮切りに、'80年代のアメリカ映画界を吹き荒れたスラッシャー映画ブーム。その人気は'87~'88年頃まで続くものの、しかし最大のピークは'81年だったと考えていいだろう。引き金となったのは、前年5月に劇場公開されて空前の大ヒットを記録した『13日の金曜日』である。『ハロウィン』に誘発される形で製作本数を増やしていたスラッシャー映画だが、『13日の金曜日』の成功がさらなる追い風となり、文字通り猫も杓子も柳の下の泥鰌を狙ってスラッシャー映画を製作するようになる。そして、それらのコピー映画が一斉に出揃い、矢継ぎ早に封切られたのが'81年だったというわけだ。
「ファイナル・イグザム/惨殺の5日間」 Final Exam  (1981)_f0367483_13475991.jpg
かくして、『バーニング』や『血のバレンタイン』、『ファンハウス』、『ローズマリー』、『ヘルナイト』、『誕生日はもう来ない』などなど、スラッシャー映画黄金期を代表する名作の数々が'81年に登場。もちろん、その一方でブームに便乗しただけの安上がりなマイナー映画も多く、その大半は時の流れとともに人々の記憶から忘れ去られてしまったわけだが、この『ファイナル・イグザム/惨殺の5日間』もその中のひとつと言えるだろう。
「ファイナル・イグザム/惨殺の5日間」 Final Exam  (1981)_f0367483_13475510.jpg
大学のキャンパスで正体不明の殺人鬼が徘徊し、おバカな生徒たちが次々と殺されていく…という基本プロットは、『プロムナイト』('80)を筆頭とするスラッシャー映画の定番パターン。ただ、この映画がその他大勢の学園ホラーと大きく違うのは、ストーリーの大半が生徒たちの恋愛やイタズラといったバカ騒ぎに費やされている点であろう。オープニングこそ最初の殺人事件で幕を開けるものの、それ以降はひたすらキャンパスを舞台にした青春ドラマが繰り広げられ、ようやく惨劇の火蓋が切って落とされるのはラスト20~30分程度。実にのんびりとしているというか、緊張感がないというか…(笑)。これほど「怖くない」スラッシャー映画もまた珍しいかもしれない。
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そのうえ、本来ならスラッシャー映画の売りとなるべき、スプラッター要素もエロ要素もここではほぼ皆無に等しい。これは、「R指定作品の多いスラッシャー映画を、年齢制限で見ることが出来ない若年層」というニッチなマーケットをターゲットに想定したため。要するに、あえてお子様でも安心して楽しめるスラッシャー映画を目指したのである。その目論見はそれなりに正しかったらしく、キャストが全員無名のインディーズ・ホラー映画でありながら、全米興行収入ランキングでは最高7位をマークし、製作費たったの36万ドルに対して130万ドルを売り上げたのだから立派なもの。とはいえ、数多のスラッシャー映画に比べるとかなり刺激が薄いため、恐らく純然たるホラー映画マニアには不満が残ることだろう。
「ファイナル・イグザム/惨殺の5日間」 Final Exam  (1981)_f0367483_13480200.jpg
かといって、必ずしもつまらないわけではない…というのだから困りもの(笑)。いや、突っ込みどころは満載なんですよ。例えば、いきなり学園キャンパスに覆面の武装グループが乱入し、機関銃を乱射して居合わせた生徒たちを殺害。なんだこりゃ!?と思っていたら、実は学年末試験を妨害しようという悪ガキたちの仕掛けたイタズラで、血まみれになった生徒たちも彼らの仕込んだサクラ。おいおい、そんなのすぐバレるに決まってんじゃん!しかも1日テストが延期されただけだぜ!?なに「ドッキリ大成功~!」みたいに喜んでんだよ!と突っ込まずにはいられないのだけれど、そうした能天気なおバカ青春映画みたいなノリで話が進んでいくため、意外と飽きずに見れたりするわけだ。また、殺人鬼の正体や動機が最後まで一切明かされないのも悪くない。とはいえ、どこからどう見てもボッチャリ体型の冴えないお兄さんって感じなので、まるっきり怖くないのだけれどね(笑)。
「ファイナル・イグザム/惨殺の5日間」 Final Exam  (1981)_f0367483_13480926.jpg
製作を手掛けたのは、ジャック・ヒルの『スウィッチブレイド・シスターズ』('75)やトビー・フーパーの『悪魔の沼』('76)などで知られるインディーズ系映画会社MPM(モーション・ピクチャー・マーケティング)。その名の通り、マーケティング調査をもとに低予算でも売れる映画を見定めて製作する会社だ。同社では以前からスラッシャー映画ブームが来ていることに気付いていたが、'80年5月9日に封切られた『13日の金曜日』の大ヒットを受け、自社でもスラッシャー映画を作ることにしたという。6月に最初の会議が開かれて製作チームが編成され、脚本の準備やキャストのオーディションを経て、9月にノースカロライナで撮影が始まり10月に完了。翌'81年の2月より全米各地でロードショー公開されたというわけだ。
「ファイナル・イグザム/惨殺の5日間」 Final Exam  (1981)_f0367483_13481367.jpg
監督と脚本を担当したのは、プロデューサーのジョン・L・チャンブリスと知り合いだったジミー・ヒューストン。'70年代から低予算のエクスプロイテーション映画を撮っていた人で、その後ピーター・ハイアムズ監督の『シカゴ・コネクション/夢みて走れ』('86)の脚本で注目され、ホラー・コメディ『ティーンバンパイヤ』('87)でメジャー映画の監督に進出するも実を結ばなかった。
「ファイナル・イグザム/惨殺の5日間」 Final Exam  (1981)_f0367483_13482319.jpg
出演者の大半は本作が映画初出演の若手ばかり。実はこれ、もちろん低予算ゆえに名前のある俳優を使えなかったこともあるが、それに加えて'80年の夏に映画俳優組合がストライキを行っていたため、おのずと組合未加入の新人しか雇えなかったのである。ヒロインのコートニーを演じた女優セシル・バグダディは、製作者マイロン・メイゼルの知り合いだった女性の娘で、当時は高校を卒業して母親の製作する舞台に出ていた。オタク青年ラディッシュ役のジョエル・S・ライスに至っては全くの素人。当時はまだ大学を卒業したばかりで、俳優の経験はおろか演技の勉強すらしたことがなかったが、たまたまオーディションの広告を見て受けたのだという。また、ジャネット役のシェリー・ウィリス=バーチは製作会社MPMで働いていた秘書。当時は秘書のアルバイトをしながらUCLAで演技を学んでおり、それを知ったプロデューサー陣によってキャスティングされたらしい。また、セリフの少ない端役やエキストラには、現場スタッフやその家族が起用されている。
「ファイナル・イグザム/惨殺の5日間」 Final Exam  (1981)_f0367483_13482074.jpg
ちなみに、ラディッシュがウィスキーのボトルを持ってコートニーの部屋へやって来るシーンで、やたらとジャック・ダニエルのラベルをアピールしているなと思ったら、実はこれタイアップ広告だったとのこと。要するに、ジャック・ダニエルからスポンサー料が支払われている。ところが、このシーンの撮影直前にヒューストン監督はプロデューサー陣と揉めたらしく、ウィスキーを一口飲んだコートニーが「なにこれ、マズい!」と嫌な顔をするのはその腹いせだったそうだ(笑)。
「ファイナル・イグザム/惨殺の5日間」 Final Exam  (1981)_f0367483_13481646.jpg
評価(5点満点):★★☆☆☆

参考DVD情報(アメリカ盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.78:1)/音声:2.0ch Dolby Digital Mono/言語:英語/字幕:なし/地域コード:1/時間:90分/発売元:Scorpion Releasing
特典:製作者マイロン・メイゼルによる音声解説/女優セシル・バグダディのインタビュー(約3分)/俳優ジョエル・S・ライスのインタビュー(約6分)/女優シェリー・ウィリス=バーチのインタビュー(約5分)/オリジナル劇場予告編



by nakachan1045 | 2020-03-11 13:50 | 映画 | Comments(0)

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