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なかざわひでゆき の毎日が映画&音楽三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画&音楽レビュー日記
by なかざわひでゆき

「ニューヨーク・バンパイア」 Central Park Drifter (1987)

「ニューヨーク・バンパイア」 Central Park Drifter  (1987)_f0367483_16262264.jpg
監督:ジェラルド・チコリッティ(ジェリー・チコリッティ)
製作:マイケル・ボックナー
脚本:ジェラルド・チコリッティ(ジェリー・チコリッティ)
撮影:ロバート・バーグマン
音楽:ニコラス・パイク
出演:シルヴィオ・オリヴェイロ(マイケル・A・ミランダ)
   ヘレン・パパス
   クリフ・ストーカー
   ドリン・ファーバー
   ダン・ローズ
   ジョン・ハスレット・カフ
   ドン・ジェームズ
カナダ映画/89分/カラー作品




「ニューヨーク・バンパイア」 Central Park Drifter  (1987)_f0367483_00371091.jpg
<あらすじ>
大都会ニューヨークの夜を走る1台のタクシー。ミステリアスな運転手スティーブン・ツェペッシュ(マイケル・A・ミランダ)は夜間シフトしか請け負わない。なぜなら、彼は数百年に渡って闇夜の世界を生きるヴァンパイアだからだ。彼が狙うのは、タクシーを利用する孤独な女性客ばかり。ただし、決して彼女たちを殺しはしない。人生に絶望した彼女たちの血を吸い、自分と同じようなヴァンパイアに変えることで、生きるエネルギーとパワーを与えていたのだ。
そんなある晩、彼はミシェル(ヘレン・パパス)という女性客を拾う。映画監督として働くミシェルだったが、しかし新作ホラー映画の企画が行き詰まり、女好きの夫エリック(クリス・ストーカー)は浮気を重ね、そのうえ自身は末期癌で余命数ヶ月を宣告されていた。そんなミシェルが、はるか遠い過去に愛した女性と瓜二つであることに驚き、彼女の抱えた哀しみと苦しみを感じ取るスティーブン。2人は急速に惹かれあっていく。
一方、スティーブンによってヴァンパイアと化した女性たちが、血の誘惑に勝てず次々とニューヨーク市民を襲い、警察が捜査に乗り出していた。また、ミシェルの夫エリックが妻とスティーブンの不倫関係を疑い、やがて彼がヴァンパイアであることに気付いてしまう…。
「ニューヨーク・バンパイア」 Central Park Drifter  (1987)_f0367483_00374646.jpg
<作品レビュー>
日本では「ジョイパック・ベストアクション・シリーズ」のひとつとして、『戦慄殺人 ローズマリー2』('87)との2本立てで'88年3月に劇場公開されたホラー映画である。何を隠そう、この当時筆者は新宿歌舞伎町の「ジョイパック・ベストアクション・シリーズ」上映館でアルバイトをしていた。確か、この頃になるとランナップもだんだんと地味になり、ほどなくしてシリーズも終焉を迎えた(ジョイパック自体が'89年2月に消滅してヒューマックスとなる)と記憶している。それ前に筆者はバイト先を変えていたのだが、最後の出勤日に支配人さんから貰った上映作品のポスターの中には、本作のものも含まれていた。恐らく、今も実家の物置に眠っているはずだ。個人的にはとても思い出深い作品である。
「ニューヨーク・バンパイア」 Central Park Drifter  (1987)_f0367483_00373853.jpg
そんなわけなので、ちょっと贔屓目にはなってしまうかもしれないが、それでもなかなか面白い低予算のインディペンデント・ホラーである。主人公はニューヨークで流しのタクシー運転手をしている謎めいた男スティーブン・ツェペッシュ(マイケル・A・ミランダ)。その名前を聞いただけでピンとくるホラー映画ファンも少なくないだろうが、そう、彼の正体は350年以上も生き永らえている東欧出身のヴァンパイアだ。彼が働くのは夜間シフトのみ。深夜のニューヨークをタクシーで移動しながら、飢えを満たすための獲物を狙っているのだ。
「ニューヨーク・バンパイア」 Central Park Drifter  (1987)_f0367483_00374208.jpg
ただし、基本的に彼がターゲットにするのは、深刻な悩みや孤独を抱えた女性のみ。しかも決して殺したりはしない。人生に絶望して生きる気力を失った女性たちの血を吸い、自分と同じような無敵のパワーを持つヴァンパイアへ変えることで、彼女たちに生きる希望と活力を与えているのだ。これはなかなかユニークなアイディア。しかも、一度「契り」を交わせばスティーブンと女ヴァンパイアたちはテレパシーで繋がるようになり、彼女たちの生命力が弱まるとスティーブンが新たなエネルギーを与えてくれる。
「ニューヨーク・バンパイア」 Central Park Drifter  (1987)_f0367483_00373109.jpg
なので、自分勝手に獲物を探して血を吸うのはご法度。なにしろ、むやみに犠牲者が増えれば目立ってしまう。とはいえ、中には言いつけを守らないヤンチャな弟子もいるし、時にはスティーブンの精神状態に感化されて弟子たちが暴走してしまうこともある。おかげで、予定外の犠牲者を立て続けに出してしまい、警察が「不可解な連続殺人事件」として捜査に乗り出すこととなるわけだ。
「ニューヨーク・バンパイア」 Central Park Drifter  (1987)_f0367483_00372868.jpg
そんなある日、スティーブンはミシェル(ヘレン・パパス)という女性をタクシーで拾う。映画監督として活躍するミシェルだったが、しかし新作ホラー映画の企画が進行途中でボツとなってしまい、そのうえ自分自身が末期癌で余命幾ばくもないことを告知される。女好きの夫エリック(クリフ・ストーカー)は女優と不倫中で、とてもじゃないが心の支えになどなってくれない。暗い面持ちでタクシーに乗り込んだ彼女を見て、スティーブンは少なからず驚く。はるか遠い昔、深く愛し合った女性と瓜二つだったからだ。
「ニューヨーク・バンパイア」 Central Park Drifter  (1987)_f0367483_00373583.jpg
すぐに彼女の置かれた状況を見抜いたスティーブンは優しく声をかけ、彼の細やかな気遣いにミシェルも心動かされる。ほどなくして2人は恋に落ちるのだが、しかし自分を棚に上げたエリックは嫉妬の炎を燃やし、妻ミシェルとスティーブンの仲を裂こうと邪魔をするうち、彼が実はヴァンパイアであることに気付いてしまう。死期の迫ったミシェルに永遠の命と不滅のパワーを与えんとするスティーブン。だが、そんな彼を亡き者にすべくエリックが知人の力を借りて罠を仕掛け、さらに警察の捜査網も迫って来る…。
「ニューヨーク・バンパイア」 Central Park Drifter  (1987)_f0367483_00380251.jpg
監督は『ニキータ』や『リ・ジェネシス バイオ犯罪捜査班』など、テレビを中心に活躍するカナダ出身のジェリー・チコリッティ(本作では本名のジェラルド・チコリッティ名義を使用)。本作も実はカナダ映画で、ニューヨークではなくトロントで撮影されている。ミュージックビデオさながらのお洒落でスタイリッシュな映像美は極めて'80年代的。ちょうどスラヴァ・ツッカーマンの『リキッド・スカイ』('82)辺りを彷彿とさせるような、前衛的なトレンド感がとても魅力的だ。それでいて、古典的なイタリアン・ホラーにも通じるゴシック感を兼ね備えている。マリオ・バーヴァという名前のキャラが登場するのも偶然ではないだろう。少なくともビジュアル面では見るべきところが多い。
「ニューヨーク・バンパイア」 Central Park Drifter  (1987)_f0367483_00375703.jpg
ただ、脚本の出来栄えは正直なところ及第点。先述した通り基本設定はとてもユニークで面白いものの、登場人物の心理描写にいまいち整合性がないため説得力にも乏しく、スノッブを気取ったセリフにも少々わざとらしさが目立つ。特殊メイクもそれなりに頑張っているが、しかしクライマックスの「日光を浴びて溶けるヴァンパイア」はお粗末な仕上がりで、恐らく『吸血鬼ドラキュラ』('57)を『レイダース/失われた聖櫃』('82)風に再現したかったのだろうが、残念ながら遠く及ばない結果となってしまった。
「ニューヨーク・バンパイア」 Central Park Drifter  (1987)_f0367483_00375288.jpg
主演のマイケル・A・ミランダ(本作ではシルヴィオ・オリヴェイロ名義を使用)は、現在もカナダのテレビドラマを中心に活躍している俳優で、当時はチコリッティ監督作品の常連スターだった。クリス・サランドンに瓜二つなルックスはヴァンパイア役にピッタリで、ヌードシーンで披露する鍛え抜かれた肉体もセクシーだ。それ以外のキャストは無名の俳優ばかりで、詳細については不明。なお、ビデオ発売される際にタイトルが「Graveyard Shift」へ変更され、翌年には同じ監督・主演コンビで『ドラキュラ/吸血鬼の寝室』('88)という続編も作られている。
「ニューヨーク・バンパイア」 Central Park Drifter  (1987)_f0367483_00380736.jpg
評価(5点満点):★★★☆☆

参考DVD情報(アメリカ盤)
カラー/スタンダードサイズ(1.33:1)/音声:2.0ch Dolby Digital/言語:英語/字幕:なし/地域コード:1/時間:89分/発売元:Shriek Show
特典:関連作品予告編



by nakachan1045 | 2020-03-12 00:40 | 映画 | Comments(0)

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