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なかざわひでゆき の毎日が映画&音楽三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画&音楽レビュー日記
by なかざわひでゆき
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「獣欲魔神カリズマンド」 Prime Evil (1988)

「獣欲魔神カリズマンド」 Prime Evil  (1988)_f0367483_20194793.jpg
監督:ロバータ・フィンドレイ
製作:ウォルター・E・シアー
脚本:エド・ケルハー
   ハリエット・ヴィダル
撮影:ロバータ・フィンドレイ
特殊メイク:エド・フレンチ
音楽:ウォルター・E・シアー
出演:ウィリアム・ベックウィズ
   クリスティン・ムーア
   メイヴィス・ハリス
   マックス・ジェイコブス
   ティム・ゲイル
   ジョージ・クローズ
   ルース・コリンズ
   ゲイリー・ワーナー
   ロザンナ・ピーターソン
アメリカ映画/83分/カラー作品




「獣欲魔神カリズマンド」 Prime Evil  (1988)_f0367483_21183507.jpg
<あらすじ>
黒死病が猛威を振るった14世紀半ばのヨーロッパ。恐怖とパニックで人々の神への信仰心が揺らぐ状況につけこみ、悪魔崇拝カルトの教祖トーマス・シートン(ウィリアム・ベックウィズ)が修道士たちを集める。それから500年後のニューヨーク、偽神父となったシートン率いるカルト教団はいまだに健在だった。彼らは13年ごとに身内の若い女性を生贄として悪魔に捧げ、その見返りとして永遠の命を享受していたのである。
次なる生贄のターゲットにされたのはソーシャル・ワーカーのアレクサンドラ(クリスティン・ムーア)。実は彼女の祖父ジョージ(マックス・ジェイコブス)がカルト教団のメンバーだったのである。しかも、彼女は幼少期に父親から虐待されたトラウマからセックス恐怖症となり、婚約者ビル(ティム・ゲイル)とも肉体関係のない処女だった。悪魔への生贄としては最高の条件が揃っていたのだ。
一方、地元の神父が不可解な死を遂げた事件をきっかけに、信心深いシスター・アンジェラ(メイヴィス・ハリス)は邪悪なカルト教団の存在に気付く。彼らの正体を突き止めて一網打尽にしたい。そう考えた彼女はカトリック教会の司教と相談し、信仰を捨てた振りをしてカルト教団からのスカウトを待つ。そうとは知らないシートンがシスター・アンジェラに接触し、彼女はカルト教団のメンバーとなって内部に潜入するのだった。
その頃、アレクサンドラの周辺では若い女性が次々と姿を消し、さらに祖父ジョージのことを嫌っていた母親が教団メンバーに殺される。悲しみに暮れるアレクサンドラを、神父のふりをして慰めるシートン。何かがおかしいと感じたビルは、シートンがカルト教団の教祖であることを突き止め、警察のカー刑事(ゲイリー・ワーナー)に相談しようとするが、しかしシートンの部下ベン(ジョージ・クローズ)によって殺害されてしまう。いよいよ生贄の儀式が迫る。シートンを怪しんだカー刑事が教会へと駆けつけるのだったが…?
「獣欲魔神カリズマンド」 Prime Evil  (1988)_f0367483_21184156.jpg
<作品レビュー>
グラインドハウス映画界を代表する女性監督ロバータ・フィンドレイが手掛けたC級版『ローズマリーの赤ちゃん』、もしくはC級版『センチネル』とも呼ぶべきオカルト映画である。もともと'60年代半ばから、夫のマイケル・フィンドレイとのコンビで数々のエログロ・セクスプロイテーション映画を自主制作で手がけたロバータ。恐らく中でも最も有名なのは、映画の中で本当に人を殺したとして話題を呼んだ猟奇ホラー『スナッフ/SNUFF』('76)であろう。もちろん、そんなのは全くのデタラメ。もともとは違うタイトルの安っぽいサスペンス・ポルノだったが、'71年に撮影されたものの全く買い手が付かないままお蔵入りし、その5年後に別の監督が関係のない殺人シーンを最後に付け足して劇場公開されたという代物。そんな具合で、フィンドレイ夫妻の映画は安上がり&いい加減な作品が多く、海千山千の商売人が行き交うグラインドハウス業界でも悪名高い存在だった。
「獣欲魔神カリズマンド」 Prime Evil  (1988)_f0367483_21191476.jpg
しかし、'77年に夫マイケルがヘリコプターのローター(水平回転プロペラ)に巻き込まれる事故で死亡。妻ロバータは男性名義を使ってハードコア・ポルノを撮っていたが、『ゴースト・ゲーム/死亡遊戯』('85)を皮切りに一般作の世界へと戻ってくる…と言っても、場末のグラインドハウス映画館向けのウルトラ・ロー・バジェットなゴミ映画ばかりなのだけれどね(笑)。その中でも比較的良く出来た(?)部類に入り、なおかつ一部でカルト的な人気を誇っている作品が、この『獣欲魔神カリズマンド』というわけだ。
「獣欲魔神カリズマンド」 Prime Evil  (1988)_f0367483_21194379.jpg
っていうか、獣欲魔神カリズマンドっていったい何?本編中にはそんな名前の神様、まるっきり出てこないんですけれど!?といった感じなのだが、もしかしてチラリと顔を出すグーリーズみたいなパペット・モンスターがそれなんですかねえ、いや~、確かルシファーとか言ってた気がするんだけれどな~(笑)。まあ、それはひとまず置いとくとして、物語の始まりは14世紀半ばのヨーロッパ。黒死病の蔓延で大勢の人命が失われ、人々の神へ対する信仰心が揺らぐ中、この機に乗じて悪魔崇拝に転じた修道士トーマス・シートン(ウィリアム・ベックウィズ)がカルト教団を結成。悪魔と契りを交わした彼らは、13年ごとに身内の若い女性を生贄として悪魔へ捧げることで、その見返りとして永遠の命を授かることになる。
「獣欲魔神カリズマンド」 Prime Evil  (1988)_f0367483_21190568.jpg
時と場所が移って現代のニューヨーク。シートンはカトリックの神父を装って、マンハッタンの一角にある教会をカルト教団のアジトとしていた。彼らの次なるターゲットは、ソーシャル・ワーカーとして働く若い美女アレクサンドラ(クリスティン・ムーア)。実は彼女の祖父ジョージがカルト教団のメンバーなのだ。幼い頃に亡き父親から性的虐待を受けたアレクサンドラは、そのトラウマが原因で極度のセックス恐怖症に陥っており、ビル(ティム・ゲイル)という婚約者がいながら処女のまま。バージンが大好物な悪魔への生贄には最適ですな。
「獣欲魔神カリズマンド」 Prime Evil  (1988)_f0367483_21190941.jpg
一方、別の教会では老神父が謎の死を遂げるという怪事件が発生。彼の持っていたペンダントから、ニューヨークにカルト教団が潜んでいると気付いたシスター・アンジェラ(メイヴィス・ハリス)は、自ら司教に直談判してカルト教団の撲滅に乗り出そうとする。実は彼女、少女時代にエジプトで生贄の犠牲にされかかったことがあるのだ。しかし、どうやって奴らの居所を突き止めればいいのか。司教の提案した作戦は実にシンプル。背教者を装っておけば、勝手に向こうから接触してくる、私があちこちで噂を広めておこう…って、ん~、そういうもんなんですか!?と呆気にとられるが、ほぼ次のシーンではシートンがシスター・アンジェラの前に姿を現すので、どうやらそういうことらしいです(笑)。で、巧みな芝居で教会への不満を告白し、シートンの信頼を得ることに成功したシスター・アンジェラは、まんまとカルト教団のメンバーとして迎え入れられる…のだが、それっきり彼女はクライマックスまで出てこなくなる。
「獣欲魔神カリズマンド」 Prime Evil  (1988)_f0367483_21190189.jpg
さてさて、その頃アレクサンドラの身の回りでは不可解な事件が多発。彼女が就職先を斡旋した若い女性キャシー(ルース・コリンズ)が行方をくらまし、新たに保護された家出少女ジュディ(ジャン・マリー)も拉致され、フィットネス仲間のブレット(エイミー・ブレンターノ)も忽然と姿を消す。実はシートンの部下ベン(ジョージ・クローズ)が女性たちを誘拐しているのだが、その理由というのがいまいちピンと来ない。アレクサンドラとは直接関係のないジャンキー娘までさらっているしね。いったいどういうわけだ…?と思ってたら、最後に明らかとなるその目的にズッコケる。彼女たちに催眠術をかけるシートン。何を指せるのかというと、肌も露わな衣装を身に着けた生贄儀式のアシスタント。ええっ!それだけ?たったそれだけのために!?と意表を突かれます。
「獣欲魔神カリズマンド」 Prime Evil  (1988)_f0367483_21192855.jpg
で、さらにアレクサンドラをカルト教団に近づけるため邪魔になる母親を殺害。悲嘆にくれるアレクサンドラに偽神父シートンが接近し、優しい慰めの言葉で彼女のハートを鷲掴みにする。これに黙ってないのが婚約者のビル。あの神父はおかしい!聖職者のくせに君を誘惑している!都合よく頭の中でパズルを紐解いた彼は、わりと呆気なくシートンがカルト教団の教祖だと見抜き、アレクサンドラに警告しようとしたところをベンに殺される。教会のてっぺんから真っ逆さまに突き落とされて。しかし、その直前にビルから連絡を受けていた警察のカー刑事(ゲイリー・ワーナー)がシートンを怪しみ、今まさにアレクサンドラが生贄にされようとしている黒ミサの現場へと乗り込んでいく…というわけだ。
「獣欲魔神カリズマンド」 Prime Evil  (1988)_f0367483_21193841.jpg
大都会ニューヨークの裏側で秘かに悪魔崇拝のカルト教団が暗躍する…という設定はまんま『ローズマリーの赤ちゃん』。ヒロインが生贄となる運命を背負わされているのは、やはりニューヨークを舞台にしたオカルト映画『センチネル』になんとなく似ている。複雑に計算されているようで手抜きばかり目立つストーリーは分かりづらいし、これといったエロもグロもないフィンドレイ監督の演出はサービス不足とも言えるが、とりあえずマンハッタンの優美なロケーションを活かしたカメラは意外と悪くない。撮影監督はフィンドレイ自身が兼任。彼女は夫婦コンビ時代もカメラを担当していたが、その頃に比べるとだいぶ見栄えよく撮れるようになった。あとは、『魔鬼雨』を彷彿とさせる阿鼻叫喚のクライマックスもそれなりに見どころ。はなからC級ホラーとして過度な期待さえ抱かねば、それなりに楽しめる映画である。
「獣欲魔神カリズマンド」 Prime Evil  (1988)_f0367483_21191801.jpg
キャスト陣はいずれも無名の俳優ばかりだが、ヒロインのアレクサンドラを演じるクリスティン・ムーアは、フィンドレイ監督の『ルーカーズ/死霊の囁き』('88)でも主演を務めており、演技力はいまひとつだがルックスは抜群だ。『ダラス』とか『ダイナスティ』に出てきそうな'80年代のモデル系ゴージャス美女。教祖シートン役のウィリアム・ベックウィズも結構存在感があるし、この手のC級ホラー映画にしては役者たちの芝居も総じて悪くない。
「獣欲魔神カリズマンド」 Prime Evil  (1988)_f0367483_21192366.jpg
なお、日本ではレンタルビデオ全盛期にVHSで発売されたっきりの本作だが、アメリカでは過去に何度かDVD化されており、最近ではブルーレイもリリースされている。筆者が所有しているのは'04年に米Rhino社から出たDVDバージョン。Crown Interntoinalが配給したマイナーなホラー映画ばかりを集めたボックスセット「Horrible Horrors Collection Volume 1」に収録されているのだが、実はこれが唯一オリジナル・アスペクト比のスタンダードサイズで収録されている。というのも、本作はもともとスタンダードサイズで撮影され、劇場公開時に上下をマスキングした疑似ワイドスクリーンで上映されたのだ。この米Rhino版以外のDVDとブルーレイは、その疑似ワイドスクリーン・バージョン。何度も買い直すほどの映画ではないし、これはこれで画質も悪くないし、オリジナル・アスペクト比の収録はポイントが高いので、とりあえず筆者はこれで満足をしている。
「獣欲魔神カリズマンド」 Prime Evil  (1988)_f0367483_21193256.jpg
評価(5点満点):★★☆☆☆

参考DVD情報(アメリカ盤)
カラー/スタンダードサイズ(1.33:1)/音声:2.0ch Dolby Digital/言語:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/時間:83分/発売元:Rhino Home Video
特典:なし



by nakachan1045 | 2020-07-26 21:22 | 映画 | Comments(0)

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