人気ブログランキング | 話題のタグを見る

なかざわひでゆき の毎日が映画&音楽三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画&音楽レビュー日記
by なかざわひでゆき
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

「ブレンダ・スター」 Brenda Starr (1989)

「ブレンダ・スター」 Brenda Starr  (1989)_f0367483_08070451.jpeg
監督:ロバート・エリス・ミラー
製作:マイロン・A・ハイマン
製作監修:テリー・シールズ
原作:デイル・メシック
原案:ノリーン・ストーン
   ジェームズ・デヴィド・ブキャナン
脚本:ノリーン・ストーン
   ジェームズ・デヴィド・ブキャナン
   ジェニー・ウォルカインド
撮影:フレディ・フランシス
衣装:ボブ・マッキー
音楽:ジョニー・マンデル
出演:ブルック・シールズ
   ティモシー・ダルトン
   トニー・ペック
   ダイアナ・スカーウィッド
   ジェフリー・タンバー
   ジューン・ゲイブル
   ネスター・セラーノ
   キャスリーン・ウィルホイト
特別出演:チャールズ・ダーニング
     エディ・アルバート
     ヘンリー・ギブソン
     エド・ネルソン
アメリカ映画/93分/カラー作品




「ブレンダ・スター」 Brenda Starr  (1989)_f0367483_18162703.jpeg
<あらすじ>
人気の新聞連載漫画「ブレンダ・スター」のイラストを担当している漫画家マイク・ランドール(トニー・ペック)は、漫画の世界のブレンダに悪口を浴びせることで日頃のストレスを発散していた。すると、ある日突然、彼の描いたブレンダがこちらを振り向いて喋り出し、「もう貴方からの侮辱には耐えられない!」と憤慨して立ち去ってしまう。ブレンダがいなければ漫画が成り立たない。困ったマイクは慌ててブレンダが飛び出していった実写の世界へ入り込んでいく。
ブレンダ(ブルック・シールズ)は新聞社ニューヨーク・フラッシュが誇る人気の美人女性記者。その行くところ取材相手よりも彼女の方が注目を集める正真正銘のスターだ。そんなブレンダのライバルが、新聞社グローブと契約する意地悪な女性記者リビー・リップスコム(ダイアナ・スカーウィッド)。自分よりもチヤホヤされているブレンダに嫉妬心を燃やし、常に特ダネを横取りすべく虎視眈々と狙っている。
そんなある時、ブレンダは社長フランシス(チャールズ・ダーニング)から特ダネの情報を得る。フォン・クレウツァー教授(ヘンリー・ギブソン)なる変わり者の科学者が、ガソリンや石炭に代わる新たな燃料を開発したらしいというのだ。その燃料は水に混ぜるだけで、宇宙へロケットを飛ばせるだけのパワーがあるという。早速、取材を試みようと考えるブレンダだが、しかし肝心のフォン・クレウツァー教授の居場所が分からない。すると、そこへ情報提供者の謎めいた貴公子ベイジル(ティモシー・ダルトン)が現れ、ブラジルのアマゾン奥深くに住んでいる教授のもとへ案内してくれるという。
ところが、そんなブレンダとベイジルの会話をリビーが盗聴し、さらにそのリビーをソ連のKGBスパイ、ウラジーミル(ジェフリー・タンバー)とリューバ(ジューン・ゲイブル)が盗聴していた。そればかりか、アメリカのCIAやイギリスのMI6なども情報をキャッチし、各国のスパイたちがブレンダとベイジルの後を追ってブラジルへと集まる。その中には、ようやくブレンダに追いついてきたマイクも含まれていた。漫画の世界へ戻るようブレンダを説得するマイクだが、すっかりヘソを曲げてしまった彼女は断固として拒否。そうこうしているうちに、マイクは“ミラクル燃料”を巡るブレンダとベイジルの大冒険に付き合わされる羽目となる…。
「ブレンダ・スター」 Brenda Starr  (1989)_f0367483_18164244.jpeg
<作品レビュー>
12歳の娼婦を演じて世間に衝撃を与えた『プリティ・ベイビー』('78)で注目され、『青い珊瑚礁』('80)と『エンドレス・ラブ』('81)の大ヒットで世界的なトップスターの座へと上りつめた女優ブルック・シールズ。しかし、人気絶頂の最中に名門プリンストン大学へ入学することとなり、学業に専念するため女優活動を一時的に休止することとなる。そんな彼女が大学の夏休みを利用して出演することを決め、『サハラ』('83)以来久々の主演作として大々的に公開される“はず”だった映画が、この『ブレンダ・スター』である。
「ブレンダ・スター」 Brenda Starr  (1989)_f0367483_18171125.jpeg
なぜ「はずだった」のかというと、本作は諸々の事情から一時期お蔵入りとなっていたからだ。もともと'86年に撮影された本作だが、しかし日本を含む国際マーケットでは89年、アメリカ本国に至っては'92年の封切と、劇場公開のタイミングが大幅に遅れてしまった。その理由というのは、映画ビジネスに関して全くの素人であるアラブの王族が、半ば趣味の延長線上で製作に携わったためだったらしい。
「ブレンダ・スター」 Brenda Starr  (1989)_f0367483_18180426.jpeg
原作は'40~'50年代にアメリカで人気を博した同名のコミック・ストリップ、つまり新聞連載漫画である。無名時代のピーター・ウェラーが主演した『恐怖の訪問者』('85)などの低予算B級映画を手掛けていた弱小制作会社トゥモロー・エンターテインメントが権利を獲得し、当初はテレビ・ムービーとして映像化する予定だったという。なにしろ、当時はまだアメコミ=子供向けという先入観が強かった時代。テレビでは『バットマン』やら『スパイダーマン』やら『超人ハルク』やらのアメコミ・ヒーローが活躍していたものの、劇場用映画となると『スーパーマン』シリーズくらいのもの。しかも、ちょうど'80年代前半は、マーベルの『キャプテン・アメリカ』や『ドクター・ストレンジ』が相次いでテレビ映画として制作され、それぞれまずまずの視聴率を稼いでいたので、その二番煎じ・三番煎じを狙っていたのかもしれない。
「ブレンダ・スター」 Brenda Starr  (1989)_f0367483_18174656.jpeg
ところが、制作会社社長マイロン・A・ハイマンのもとにかかってきた一本の電話が状況を一変させる。その電話の主というのが、辣腕ステージママとして有名なブルック・シールズの母親テリー・シールズ。兼ねてよりブルックが『ブレンダ・スター』の大ファンだったことから、映画化企画が進行していることを知って売り込んできたらしい。しかも、サウジアラビアの国王ファハドの義弟イブラヒムをスポンサーとして紹介できるという。ハイマンにとっては願ってもない美味しい話だった。
「ブレンダ・スター」 Brenda Starr  (1989)_f0367483_18175137.jpeg
そのイブラヒム側から提示された出資の条件というのが、まずブック・シールズが主人公ブレンダ・スター役を演じること、次にテレビ映画ではなく劇場用映画として制作すること、そして許可なく勝手に配給契約を結ばないこと。いずれも異存なしということで、ハイマンはサウジアラビアの王族と共同で『ブレンダ・スター』を映画化することとなり、予算も一気に跳ね上がったという。イブラヒム側も新たにミステリー・マンという制作会社を立ち上げ、主に映画の資金集めや権利処理などを手掛けることに。これが後にトラブルの火種となる。というのも、ミステリー・マンが原作コミックの権利元と結んだ契約書には、なぜかテレビでの放映権が含まれていなかったのだ。
「ブレンダ・スター」 Brenda Starr  (1989)_f0367483_18173493.jpeg
その後、映画を完成させたハイマンはニューワールド・ピクチャーズと配給契約を交わし、'88年お正月シーズンの全米公開が決定する。ところが、この段階になってテレビ放映権が契約書に含まれていないことが発覚。映画の配給において、テレビは劇場やビデオソフトと並んで重要な収入源だ。そこをイブラヒム側は理解していなかったらしい。これでは話が違う!とばかりに憤慨したニューワールドの担当者は、トゥモロー・エンターテインメントやミステリー・マンを詐欺罪で告訴し、その一方で先にアメリカ国外へ『ブレンダ・スター』を配給する。だが、'89年2月にニューワールドがフランスのパテ社に買収されたことで裁判も契約も白紙に。そこで、新たにAM/PMエンターテインメントという会社が権利を買い上げ、アメリカ国内向けに改めて再編集を行ったうえで、ソニー・ピクチャーズの子会社トライアンフ・リリーシングの配給で'92年4月に全米公開されたのである。
「ブレンダ・スター」 Brenda Starr  (1989)_f0367483_18180876.jpeg
ブルック・シールズ演じるヒロインのブレンダ・スターは、ニューヨークの大手新聞社が誇る看板スター記者。メイクもヘアスタイルも常にバッチリ決まったパーフェクトな美女で、職場だろうと取材先だろうと関係なく華やかなトップモードをエレガントに着こなし、どんなに危険な現場でも持ち前の度胸と行動力とハイヒールで飛び込み特ダネをものにする。いざという時は、香水やパウダーやハンドバッグを武器に悪いヤツらを撃退。さながら、戦うバービー人形だ。
「ブレンダ・スター」 Brenda Starr  (1989)_f0367483_18181398.jpeg
そんな彼女が、国際情勢のパワーバランスを左右するような「ミラクル燃料」を開発した天才科学者の情報を掴み、ティモシー・ダルトン扮する謎の貴公子に導かれてブラジルのアマゾン奥地へ向かったところ、その「ミラクル燃料」を巡ってライバル記者や各国スパイの入り乱れる激しい争奪戦に巻き込まれ、痛快かつ奇想天外なアドベンチャーを繰り広げていくことになる。なんというか、荒唐無稽もここに極まれり(笑)。なにしろ、ワニの背中に乗ってアマゾン川を水上スキーで駆け抜けたりしますからね。んなアホなことあるかいな!と。この呆れるほどに能天気でバカバカしくて緩いノリこそ、まさしく古き良き時代のアメコミやシリアル(連続活劇)の魅力そのものであり、恐らく本作の制作陣はそこを目指したのだろう。賛否両論の大きく分かれるポイントだとは思うが、ぶっちゃけ個人的には嫌いじゃない。
「ブレンダ・スター」 Brenda Starr  (1989)_f0367483_18175509.jpeg
さらに、古典的なアメコミの世界観をそのまま実写で再現したような、いかにも作り物っぽいカラフルでレトロなビジュアルも楽しい。完全に『バットマン』('89)や『ディック・トレイシー』('90)を先駆けていますな。そういう意味で、公開時期が後手後手になってしまったことは惜しまれる。さすがに'92年というタイミングだと、『バットマン』や『ディック・トレイシー』の二番煎じ・三番煎じとしか思えませんからな。なので、前年に公開された『ロケッティア』('91)と同様、興行的に大コケしてしまった理由も分からないではない。何を今さら…って感じだったのでしょう。
「ブレンダ・スター」 Brenda Starr  (1989)_f0367483_18180077.jpeg
その今さら感はキャスティングに関しても言えるかもしれない。ブルック・シールズは確かにハマり役だけれど、しかし結果的に6年にも及んだ休業中にすっかり過去の人となってしまったし、ティモシー・ダルトンも2本のジェームズ・ボンド映画以降は失敗作が続いていた。そういえば彼は『ロケッティア』にも出ていたっけ。また、ブレンダの住む実写版コミックのパラレルワールドに迷い込む漫画家マイクを演じ、実質的なヒーロー役を担ったトニー・ペックも大きな弱点。天下の大スター、グレゴリー・ペックを父親に持つサラブレッドだが、残念ながらスターのオーラにもカリスマ性にも恵まれず、ハリウッド映画のメインキャストとしては明らかに役不足だった。
「ブレンダ・スター」 Brenda Starr  (1989)_f0367483_18174116.jpeg
そんなわけで、やはり商業用映画というのは生ものみたいなもんだから、封切られるタイミングというのも大事だよなと改めて痛感させられる作品。まあ、お世辞にも名作などと呼べないことも確かではあるが、頭を空っぽにして楽しめる良質なB級エンターテインメントとしてはおススメ。なお、今のところ日本ではVHSリリースされたっきりで、海外でも93分のアメリカ公開短縮版がDVD化されているのみ。102分の完全版のブルーレイ化が待ち望まれる。
「ブレンダ・スター」 Brenda Starr  (1989)_f0367483_18181808.jpeg
評価(5点満点):★★★☆☆

参考DVD情報(アメリカ盤)※オンデマンドDVD
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/音声:2.0ch Dolby Digital/言語:英語/字幕:なし/地域コード:1/時間:93分/発売元:TGG Direct
特典:なし



by nakachan1045 | 2020-08-29 15:43 | 映画 | Comments(2)
Commented by 仮名 at 2025-10-26 16:07
日曜洋画劇場で放送されたとき、確か悪役リビーの声が
野沢雅子さんだったと記憶しています。
おばさん声というか、アニメの仕事ではあまり出さないような声だった気が。
Commented by nakachan1045 at 2025-10-27 00:16
> 仮名さん
なるほど!野沢雅子さんとは意外な!
貴重な情報ありがとうございます。

カテゴリ

全体
映画
音楽
未分類

以前の記事

2025年 12月
2025年 11月
2025年 10月
2025年 09月
2025年 08月
2025年 07月
2025年 06月
2025年 05月
2025年 03月
2025年 02月
2025年 01月
2024年 12月
2024年 11月
2024年 10月
2024年 09月
2024年 08月
2024年 07月
2024年 06月
2024年 05月
2024年 04月
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月

お気に入りブログ

なにさま映画評(跡地)

最新のコメント

> にこらさん コメン..
by nakachan1045 at 01:32
なかざわ様 前にあった..
by にこら at 19:32
DVDリリースされてまし..
by ken at 22:53
> kenさん 書..
by nakachan1045 at 16:23
チプリアーニの作品中でも..
by ken at 11:36
ひでゆきさん、ありがとう..
by na at 16:19
naさん 書き込み有難..
by nakachan1045 at 15:28
2011年に見つかった原..
by na at 17:32
> makiさん コメ..
by nakachan1045 at 07:11
こんにちは。 こちらの映..
by maki at 21:24

メモ帳

最新のトラックバック

ライフログ

検索

タグ

(541)
(351)
(285)
(266)
(213)
(181)
(133)
(119)
(106)
(105)
(105)
(105)
(104)
(95)
(66)
(60)
(59)
(57)
(56)
(50)
(46)
(44)
(41)
(41)
(40)
(39)
(38)
(36)
(34)
(34)
(31)
(30)
(27)
(26)
(25)
(22)
(21)
(21)
(21)
(20)
(20)
(19)
(19)
(18)
(18)
(17)
(17)
(15)
(15)
(14)
(14)
(13)
(12)
(10)
(9)
(9)
(9)
(9)
(9)
(8)
(8)
(7)
(7)
(7)
(4)
(4)
(4)
(3)
(3)
(3)
(3)
(3)
(2)
(2)
(2)
(2)
(2)
(2)
(1)
(1)
(1)
(1)
(1)
(1)
(1)
(1)
(1)
(1)
(1)
(1)
(1)
(1)

ブログパーツ

最新の記事

DANCE CLASSICS..
at 2025-12-04 08:28
DANCE CLASSICS..
at 2025-12-03 00:12
DANCE CLASSICS..
at 2025-12-02 01:55
「You'll Never ..
at 2025-11-30 18:47
「DUH!」 (2025) ..
at 2025-11-29 00:30

外部リンク

ファン

ブログジャンル

映画
ライター