なかざわひでゆき の毎日が映画&音楽三昧
「海底都市」 City Beneath The Sea (1971)

製作:アーウィン・アレン
原案:アーウィン・アレン
脚本:ジョン・メレディス・ルーカス
撮影:ケネス・ビーチ
特撮:L・B・アボット
ジョン・C・コールドウェル
音楽:リチャード・ラサール
出演:スチュアート・ホイットマン
ローズマリー・フォーサイス
ロバート・コルバート
バー・デ・ベニング
スサナ・ミランダ
ポール・スチュワート
ウィット・ビッセル
特別出演:ロバート・ワグナー
リチャード・ベイスハート
ジョセフ・コットン
ジェームズ・ダレン
シュガー・レイ・ロビンソン
アメリカ映画/94分/カラー作品

2053年の近未来。アメリカの大西洋沿岸では地震が相次いでおり、放射性の強力なエネルギー源H-128を海底都市パシフィカへ異動させることとなる。そのためには、H-128を守る純金製の貯蔵庫を建設せねばならず、大量の黄金を搬入する必要もあった。しかし、なかなか作業が計画通りに進まないことから、アメリカ大統領(リチャード・ベイスハート)はパシフィカの創設者にして初代司令官であるマイケル・マシューズ(スチュアート・ホイットマン)を復職させる。
久々にパシフィカへ戻ってくるマシューズだが、しかし彼の帰還を歓迎する人々は少なかった。実はパシフィカの共同開発者であり、マシューズにとっては親友でもあったビル・ホームズの死亡事故について、多くの人々は名誉を独占したかったマシューズが故意に仕掛けたものと考えていたのだ。彼の潔白を信じるのは両棲人間のアギーラ博士(バー・デ・ベニング)や秘書エレナ(スサナ・ミランダ)など一握り。かつての部下で後任者ウッディ・パターソン司令官(ロバート・コルバート)やビルの未亡人リア(ローズマリー・フォーサイス)などはマシューズへの不信感を隠そうとしない。
そんな折、ビルの時とそっくりな事故が発生し、ウッディが海中探査艇に閉じ込められてしまうが、マシューズとアギーラ博士によって間一髪で救出される。実は、2つの事故の背後にはマシューズの弟で貯蔵庫の建設担当者ブレット(ロバート・ワグナー)が関わっていた。彼は仲間たちと結託して大量の黄金を盗み出す計画を準備しており、そのために事故の混乱を利用していたのだ。この一件でウッディからの信頼を回復したマシューズは、さらにジーグラー博士(ジョセフ・コットン)ら科学者の協力も取り付け、作業を急ピッチで進めていく。
ある日、マシューズは大統領に呼び出されてワシントンへ向かう。天文学者のタルティ博士(ジェームズ・ダレン)によると、とある小惑星が地球めがけて接近しており、頻発する地震もそれが原因だという。しかも、7時間後には大西洋へ墜落するというのだ。このままでは海底都市が危ない。H-128を格納した貯蔵庫は衝撃に耐えられるものの、大勢の住民を避難させることが必要だった。パシフィカへ戻ったマシューズはすぐに住民の一斉退去を指示する。
すると、亡きビルの父親ホームズ教授(ウィット・ビッセル)から司令部へビデオ映像が届けられる。それによると、ビルとウッディの事故は両方とも何者かによって故意に仕組まれたものだった。これでマシューズに対する人々の誤解は解けたが、しかし黒幕は一体誰なのか?マシューズやウッディは小惑星の墜落を回避する策を練りつつ、事故の黒幕とその目的を調べ始める。一方、ブレット一味は混乱に乗じて黄金強奪計画を実行に移そうとしていた…。

<作品レビュー>
'70年代に『ポセイドン・アドベンチャー』('72)や『タワーリング・インフェルノ』('74)などを相次いで大成功させ、災害パニック映画ブームの仕掛け人となった映画プロデューサー、アーウィン・アレン。しかし、古くからの特撮ファンにとってアーウィン・アレンと言えば、'60年代に映画やテレビで数々の特撮アドベンチャー物を生み出し、その夢と冒険溢れる作品群で当時の感受性豊かな青少年たちをワクワクさせてくれたヒットメーカーだ。

ラジオの世界から映画界へと転身し、プロデューサー兼監督として活躍するようになったアレンは、早い時期からレイ・ハリーハウゼンと仕事をするなど特撮に強い関心を示していた。やがて、満を持して発表した『失はれた世界』('60)を皮切りに、『地球の危機』('61)、『気球船探検』('62)などの特撮アドベンチャー映画が次々と好評を博したことから、中でも特に評判の良かった『地球の危機』を『原子力潜水艦シービュー号』('64~'68)としてテレビ・シリーズ化したというわけだ。

この『原子力潜水艦シービュー号』は全米のみならず日本でも大勢の子供たちを熱狂させ、これを機に『宇宙家族ロビンソン』('65~'68)や『タイムトンネル』('66~'67)など、アーウィン・アレン製作のキッズ向け特撮アドベンチャー・ドラマがアメリカのテレビ界を席巻。いずれも未だに世界中で根強いファンを持つ名作ばかりだ。そして、結果的に最後の特撮ドラマとなった『巨人の惑星』('68~'70)に続く新作シリーズのパイロット版として作られたのが、アメリカ国外では劇場公開されたテレビ映画『海底都市』('71)だったのである。

舞台は人類のテクノロジーが驚異的な発展を遂げた2053年の近未来。大西洋の海底都市パシフィカを建設した功労者であるマイケル・マシューズ(スチュアート・ホイットマン)は、ある事件をきっかけにパシフィカの司令官を辞任し、今はニューヨークで自らの会社を経営しているのだが、ある日突然アメリカ大統領(リチャード・ベイスハート)から復職するよう要請される。というのも、マシューズが在任していた頃から続けられている計画がなかなか前へ進まず、やはり彼の力が必要だと判断されたのだ。

その計画とは、米大西洋沿岸で多発する地震の被害から守るため、強力な放射性のエネルギー源H-128をパシフィカへ移送するというもの。しかも、H-128を安全に管理するためには純金製の貯蔵庫を建設せねばならず、併せて大量の金塊を運搬する必要があった。かつての部下で後任者のウッディ・パターソン司令官(ロバート・コルバート)に気を使い、大統領直々のオファーを頑なに断ろうとするマシューズだったが、しかし半ば強引な説得に折れて引き受けざるを得なくなる。

しかし、彼が復職を躊躇う大きな理由はほかにもあった。かつてパシフィカの共同開発者で親友でもあったビル・ホームズが、作業中に起きた不慮の事故で亡くなってしまい、その責任を取ってマシューズはパシフィカの司令官を辞任したのだが、おかげでパシフィカには彼を快く思わない人々が大勢いたのだ。中には、マシューズがパシフィカ建設の栄誉を独占したいがために、ビルを見殺しにしたのではないかという噂まである。実際、久々に海底都市を訪れたマシューズを温かく迎えたのは、彼の潔白を信じる両棲人間のアギーラ博士(バー・デ・ベニング)と秘書エレナ(スサナ・ミランダ)くらいのもの。それ以外の人々は冷ややかな視線を向ける。中でも、不快感を隠さないウッディやビルの未亡人リア(ローズマリー・フォーサイス)の態度は、さすがのマシューズでもこたえるものがあった。

そうした中、ビルの時と同じような事故が発生し、潜航艇の中にウッディが閉じ込められてしまうものの、マシューズとアギーラ博士の迅速な対応で事なきを得る。実は、貯蔵庫の建設責任者であるマシューズの弟ブレット(ロバート・ワグナー)が、事故の混乱を利用して金塊強奪計画を進めていたのだ。しかも、とある小惑星が地球へ向かって接近しており、7時間後には大西洋を直撃することが判明。パシフィカの住民を避難させつつ、なんとか小惑星の衝突を回避できないかと策を練るマシューズやウッディたち。そんな時に過去の監視カメラ映像から、ビルとウッディの事故が同一犯によって仕組まれたものであることが発覚し、陰謀の匂いを嗅ぎつけたマシューズは混乱の中で調査を開始。やがて、金塊強奪計画を実行に移した弟ブレットと対峙することとなる…。

もともとアーウィン・アレンは『巨人の惑星』の放送中から本作の企画を温めていたらしく、'69年には10分程度のテスト映像を製作している。そこでマシューズ役に起用されたのは、実際の本編でウッディ役を演じているロバート・コルバート。しかし、このテスト映像は残念ながらテレビ局関係者のお眼鏡には適わなかった。そこで、『巨人の惑星』終了後にアレンはパイロット版に当たるテレビ映画として本作を制作。今度こそシリーズとしてピックアップされるものと期待したが、結果的にこれ一本だけで終わってしまった。恐らく、この一件でアレンは特撮アドベンチャー物に見切りをつけ、『ポセイドン・アドベンチャー』の製作に乗り出したのだろう。

いかにもオモチャ然とした海底都市パシフィカのミニチュア・セットをはじめ、やはりテレビ映画ならではの安っぽさは否めない。ターゲット層が若年世代だからなのだろうが、登場人物のキャラクター描写もシンプル過ぎて深みに欠ける。マシューズとブレットの兄弟同士の確執も全く描かれていないため、クライマックスの対決もほとんど盛り上がることがなく終わってしまう。とはいえ。90分間のコンパクトサイズな尺の中に、これでもかと惑星激突パニックや海洋アクションのスリルとサスペンスを詰め込んだストーリーは賑やか。なおかつ、スピーディな展開で飽きることがない。'60年代テイストをもろに引きずった、古き良き近未来ワールドのカラフルなポップ感も捨てがたいものがある。なるほど、今なおカルト映画として愛されているのも不思議ではない。

ちなみに、冒頭で海底都市パシフィカへ向かうマシューズとウッディが乗っているのは、『原子力潜水艦シービュー号』の空飛ぶ潜航艇フライング・サブ。また、海底都市パシフィカのミニチュア・セットの一部として、『宇宙家族ロビンソン』の宇宙船ジュピター2号が使われている。そればかりか、シービュー号が一瞬だけ背景に登場するシーンまである。さらに言えば、劇中に出てくるコンピューターなどのセットは『タイムトンネル』と一緒。予算を節約するため、なにかと再利用ばかりすることで賛否両論あるアーウィン・アレンだが、しかし熱心なマニアにとっては、ある意味で嬉しいサービスとも言えよう。

再利用と言えば役者も同様だ。アメリカ大統領役は『原子力潜水艦シービュー号』のネルソン提督ことリチャード・ベイスハート。ウッディ役のロバート・コルバート、ホームズ教授役のウィット・ビッセル、タルティ博士役のジェームズ・ダレンは、いずれも『タイムトンネル』のメインキャストだ。一方で主人公マシューズを演じるスチュアート・ホイットマンは、20世紀フォックスの専属スターだったタフガイ俳優。そういえば、ブレット役のロバート・ワグナーも20世紀フォックスから売り出された二枚目スターだった。

特別ゲストには往年の名優ジョセフ・コットンやボクシング王者シュガー・レイ・ロビンソンも名を連ねるが、どちらもワン・シーンだけしか登場せず、いわゆる客寄せパンダみたいなカメオ出演に等しい。なお、終盤の脱出パニック・シーンでロボットを連れて行こうとするオバサンを演じているのはシーラ・アレン(本作ではシーラ・マシューズ名義)。そう、『タワーリング・インフェルノ』で市長夫人をやっていたアーウィン・アレンの奥さんである。

評価(5点満点):★★★☆☆
参考DVD情報(アメリカ盤)※オンデマンド
カラー/ワイドスクリーン(1.78:1)/音声:2.0ch Dolby Digital Mono/言語:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/時間:94分/発売元:Warner Home Video
特典:オリジナル予告編
by nakachan1045
| 2020-09-15 09:08
| 映画
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