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なかざわひでゆき の毎日が映画&音楽三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画&音楽レビュー日記
by なかざわひでゆき
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「禁断のプラネット / Just Visitng This Planet」 Jellybean (1987)

「禁断のプラネット / Just Visitng This Planet」 Jellybean  (1987)_f0367483_16410626.jpg
tracklist

1,Little Too Good To Me 4:25
2,Who Found Who 4:50
3,Just A Mirage 4:46
4,Am I Dreaming 5:02
5,The Real Thing 5:34
6,Walking In My Sleep 4:26
7,Hypnotized By (Your Touch) 4:29
8,Jingo 7:44

bonus tracks
9,Who Found Who (U.S. Club Mix) 6:43
10,Jingo (U.K. House Mix) 7:48
11,Just A Mirage (12" Remix) 5:47
12,The Real Thing (West 26th Street Mix) 7:44
13,Sidewalk Talk (Dance Mix) 6:05

produced by Jellybean for Jellybean Productions, Inc.
Engineered by Dough Dogherty & Michael Hutchinson.
Mixed by Michael Hutchinson

(C) 1987 EMI Records






'80年代最高のポップ・クィーン、マドンナのプロデューサーとして一躍時の人となったジョン・“ジェリービーン”・ベニテスのセカンド・アルバムである。もともと'70年代末よりスタジオ54やパラダイス・ガレージ、ゼノンなどといった、ニューヨークの伝説的なディスコでダンスフロアを熱狂させるトップDJだった彼は、マドンナにとって初のメジャーヒットとなった名曲「ホリデイ」のプロデュース&ミックスを担当。以降も「ボーダーライン」や「クレイジー・フォー・ユー」をプロデュースしたほか、ダリル・ホール&ジョン・オーツやパット・ベネター、ユーリズミックス、トーキング・ヘッズ、ジョージ・ベンソン、デヴィッド・ボウイ、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースなどの12インチ・リミックスを手掛け、空前のダンス・ミュージック・ブームに沸く'80年代中期~後期の音楽シーンを牽引するクリエイターのひとりとなる。

その傍らで自らのプロジェクトにも取り組むようになった彼は、'85年にマドンナが作曲とボーカルに関わったシングル「サイドウォーク・トーク」を全米トップ20に送り込み、その勢いに乗ってファースト・アルバム「ザ・メキシカン/Wotupskil?!」をリリース。これは音楽のクリエイティブ面をジェリービーンが担当し、それぞれの楽曲によって異なるボーカリストをフューチャーするという、当時としては非常に画期的な企画だった。有名クラブDJがボーカリストをフューチャーしてオリジナル曲を発表するというのは、今やダンス・ミュージックの世界では非常にポピュラーなスタイルだが、本作などはまさにその先駆けだったと言えるだろう。

先行シングルとしてリリースされたのは、当時ジェリービーンがテレビのオーディション番組で見かけてスカウトした新人エリサ・フィオリロをリードボーカルに迎えた「フー・ファウンド・フー/Who Found Who」。これは全米チャートでトプ20入りを果たし、筆者も輸入盤12インチ・シングルを買うほど好きだった曲なのだが、しかし個人的にアルバムのハイライトは知る人ぞ知る女性ボーカリスト、アデル・バーテイをフューチャーしたサード・シングル「ジャスト・ア・ミラージュ/Just A Mirage」だと思う。

惜しくもポップ・チャートにこそ入らなかったものの、ビルボードのダンス・チャートでは最高4位というスマッシュヒットを記録したこの曲は、当時日本でも大ブームだったハイエナジー・サウンドに挑戦した作品。どことなくデッド・オア・アライブの「ユー・スピン・ミー・ラウンド/You Spin Me Round (Like A Record)」を彷彿とさせるものの、しかしより哀愁を帯びたドラマチックなメロディとキーボードのアレンジ、特徴的なベースとパーカッションの使い方は、ライムの「おもいがけない恋/Unexpected Lovers」やスージーQの「Can't Live Without Your Love」といったカナディアン・ハイエナジーに近い。これはある意味、ジョージ・ククゼッラとロバート・マティチャックのJ.C.プロダクション・サウンドへのオマージュとも受け取れるだろう。

結果的に4枚のシングルを全米ポップ・チャートないしダンス・チャートへ送り込んだわけだが、しかしアルバム自体はトップ100にランクインすら出来ず。これまあ、仕方あるまい。当時のダンス・ミュージックのセールスはシングルが中心。特にファンからのニーズが高かったのは、実際にディスコでDJがプレイするクラブ・ミックスを複数収録した12インチ・シングルだ。'80年代初頭くらいまで12インチ・シングルと言えばDJ御用達アイテムで、一般にはあまり流通しないものだったが、この頃にはすっかり市民権を得ていた。3~4分くらいに短くエディットされているばかりか、しばしばラジオ向けにライトなミックスが施されたアルバム・バージョンや7インチ・バージョンよりも、ちゃんとディスコ&クラブ仕様にミックスされた12インチ・バージョンの方が、より「踊れる」という理由でダンス・ミュージック・ファンに好まれたのは至極当然の話。'12年にイギリスで発売された本作のリマスター版CDには、ボーナス・トラックとしてシングル曲のクラブ・ミックスが追加収録されている。各曲1バージョンずつしか入ってないため、ぶっちゃけ漏れてしまったミックスがかなり存在するのは残念だが、再発してくれただけでもヨシとすべきなのだろう。



by nakachan1045 | 2021-03-04 01:23 | 音楽 | Comments(2)
Commented by hide at 2021-07-14 20:19 x
なかざわ様
こんばんは。以前見送ったのですが、たった今ボートラ目当てでexpanded editionをポチりました。ところで、カイリーとかも好きだったりするんですが、その下地にあった人物がsandraであることに勝手に気付き、詳しすぎるアルバム紹介よりまずはclose to sevenとプラチナムコレクションが本日届きました。close、どこかケイトブッシュの香りがする聴き込める良品です。ありがとうございました!余談ですが私の下の名前もひでゆきと申します(笑)
Commented by nakachan1045 at 2021-07-15 23:45
コメントありがとうございます。
なんと!ひでゆき仲間ですね(笑)。

半ば(というほぼ…かもしれませんがw)自己満足で好きなことを書いている私のブログやコラムですが、お役に立てたのであれば嬉しく思います。
最近はあまり音楽ネタを書いていないのですが、折を見てまたアップしていきたいと思いますので、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

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