なかざわひでゆき の毎日が映画&音楽三昧
「グーリーズ」 Ghoulies (1985)

製作:ジェフェリー・レヴィ
製作総指揮:チャールズ・バンド
脚本:ルカ・ベルコヴィッチ
ジェフェリー・レヴィ
撮影:マック・アールバーグ
特殊効果:メカニカル&メイクアップ・イマジェリーズ
特殊メイク:ジョン・カール・ビュークラー
音楽:リチャード・バンド
シャーリー・ウォーカー
出演:ピーター・リアピス
リサ・ペリカン
ジャック・ナンス
マイケル・デス・バレス
スコット・トムソン
ラルフ・セイモア
マリシュカ・ハーギタイ
キース・ジョー・ディック
デヴィッド・デイヤン
アメリカ映画/81分/カラー作品


とある大豪邸の地下室。そこは悪魔崇拝者の根城となっており、今まさに黒ミサが行われようとしていた。カルト教団の教祖マルコム(マイケル・デス・バレス)が、血を分けた赤ん坊の息子ジョナサンをルシファーへの生贄にしようとするが、しかし妻アナスタシア(ヴィクトリア・ケイトリン)は息子の首にお守りを下げてそれを阻止。手を出せなくなってしまったマルコムは、邪魔をした妻を代わりの生贄として殺害し、さらに部下ウォルフガング(ジャック・ナンス)に息子を始末するよう指示するが、哀れに思ったウォルフガングは赤ん坊を殺さず秘かに育てたのだった。

それから20年後。マルコムは既に他界し、大学生となったジョナサン(ピーター・リアピス)は先祖代々の屋敷を相続する。そう、あの黒ミサが行われた場所だ。当時の記憶など全くなく。ましてや両親が悪魔崇拝者だったことも知らない彼は、恋人レベッカ(リサ・ペリカン)や親しい友人を屋敷へ招いて、週末を賑やかに過ごすことにする。カルト教団の祭壇や道具が残された地下室を見つけた彼は、友人たちを誘って冗談半分で悪魔を招へいする儀式を行うものの、当然ながら何も起きたりはしない。ところが、それ以来ジョナサンはオカルトの世界に取り憑かれ、大学も休んで屋敷の中に閉じこもり、父親が残した書籍を読み漁って儀式を完結しようとする。そんな彼をレベッカは心配するものの、本人は一切聞く耳を持たなかった。そしてある晩、ジョナサンは呪文によって地獄の小鬼グーリーズの召喚に成功し、自らを彼らのご主人様と名乗って服従させる。エスカレートするジョナサンのオカルト熱についていけなくなったレベッカは、彼をひとり屋敷に残して出て行ってしまった。

さらに、ジョナサンはグリゼル(ピーター・リッシュ)にグリーディガット(タマラ・デ・トルー)という小人の悪魔を召還。彼らによると、強大な知識とパワーを手に入れるためには、7名を参加させた非常に危険な儀式を行う必要があるという。そこでジョナサンはレベッカや友人たちを屋敷へ招待し、彼らに催眠術をかけて従わせたうえで儀式を決行する。すると、屋敷の片隅にある墓から父親マルコムが甦り、若者たちを一人また一人と殺害していく。実は、グーリーズも小人たちも最初からマルコムに操られていた。そして儀式の本当の目的は、マルコムをこの世に復活させてジョナサンの若い肉体を乗っ取ることだったのだ…!

言うなれば、当時大流行していたティーン・スラッシャーとオカルトを混ぜ合わせてミニサイズ・モンスターを放り込んだような作品。ストーリーは一貫して舞台となる屋敷の中と周辺だけで完結されており、一か所のロケだけで済んでしまうという点においては理想的な低予算映画である。しかも、風格ある屋敷の醸し出すゴシックなムードのおかげで、それほど安っぽさも感じられない。撮影場所はロサンゼルスのハリウッド地区に現存する20世紀初頭に建てられた大豪邸ワトルス邸。19世紀後半のカリフォルニアで流行したミッション・リバイバル建築(スペイン植民地時代の復興スタイル)を今に伝える貴重な屋敷で、あの『レインマン』('88)をはじめ数々の映画やテレビドラマのロケに使用されている。宗教色豊かで厳かな建築デザインはホラー映画にもピッタリだ。

ただまあ、脚本はなにかとショボい仕上がりですな。説明不足だったり辻褄が合わなかったりするツッコミどころも多い。恐らく舞台を一カ所に限定することで、いろいろと犠牲にしているのだろう。とはいえ、所詮は低予算のB級エンターテインメントなので、そう目くじらを立てるほどのものでもなかろう。ヤンチャなグーリーズ軍団がおバカな若者たちをあの手この手で殺していくコミカルな展開は悪くないし、大袈裟なくらいにシリアスなラストのサイキック・バトルもむしろ笑える。このバカバカしさを楽しむべき映画だと思うし、恐らく作り手もそこを狙っているのだろう。監督は当時の低予算映画でよく顔を見かけた俳優ルカ・ベルコヴィッチ。チャールズ・バンド監督の『パラサイト』('82)に出演した彼は、友人ジェフェリー・レヴィと共同で書いた脚本をバンドに売り込み、脚本のリライトなど紆余曲折を経て、本作での監督デビューに漕ぎつけたという。

そんな本作の最大の売りは、もちろんジョナサンが黒魔術の呪文を唱えて地獄から召喚した小鬼グーリーズたちである。どことなくトボケた見た目が意外とチャーミングだが、性格はいたずら好きで凶暴、そしてやることはなかなか残酷。キャッキャッと楽しそうに跳びはねながら、セックス&ドラッグ&ロックンロールな若者たちを血祭りにあげていく。特殊メイクを担当したのは、エンパイア・ピクチャーズ作品でお馴染みのジョン・カール・ビュークラー。機械仕掛けのハンドパペットは見た目の仕上がりこそ粗雑な印象だが、動きはわりと精密で表情も豊かだ。なにより、ユーモラスなキャラ・デザインが大きな魅力。ビュークラーは以降も第3弾までシリーズを手掛けることになる。

メインキャストで恐らく当時最も有名だったのは、ヒロインのレベッカを演じている女優リサ・ペリカンだ。フレッド・ジネマンの名作『ジュリア』('77)で主人公ジュリア(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)の少女時代を演じたほか、当時既に数多くの映画やテレビ・ムービーで準主演クラスをこなしていた中堅スターだった。しかし、最大の出世頭はレベッカの親友ドナ役のマリシュカ・ハーギタイであろう。そう、テレビ・シリーズ『LAW&ORDER: 性犯罪特捜班』('99~'19)の女性刑事オリヴィア・ベンソンである。母親は'50年代ハリウッドのセックス・シンボル、ジェーン・マンスフィールド。オリヴィア役ではエミー賞の主演女優賞にも輝き、一時は1エピソード当たりのギャラが50万ドル(5000万円以上)というテレビ界屈指のトップ女優となった。間違いなく本作で一番の勝ち組であろう。なお、『イレイザーヘッド』('77)や『ブルー・ベルベット』('86)、『ツイン・ピークス』('90~'91)などデヴィッド・リンチ作品の常連俳優ジャック・ナンスがウォルフガング役で登場。そういえば、ジョナサンの母親役のヴィクトリア・ケイトリンも『ツイン・ピークス』に出ていた。

評価(5点満点):★★☆☆☆
参考DVD情報(アメリカ盤)※2作目とカップリング
カラー/ワイドスクリーン(1,85:1)/音声:2.0ch Dolby Digital Mono/言語:英語/字幕:英語・スペイン語/地域コード:1/時間:81分/発売元:MGM
特典:オリジナル劇場予告編
by nakachan1045
| 2021-07-19 06:26
| 映画
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