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なかざわひでゆき の毎日が映画&音楽三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画&音楽レビュー日記
by なかざわひでゆき

「The Crawling Hand」 (1963)

「The Crawling Hand」 (1963)_f0367483_23052862.jpg
監督:ハーバート・L・ストロック
製作:ジョセフ・F・ロバートソン
原案:ジョセフ・クランストン
   マルコム・ヤング
   ウィリアム・アイデルソン
脚本:ウィリアム・アイデルソン
   ハーバート・L・ストロック
撮影:ウィラード・ヴァン・ダー・ヴィアー
特殊効果:BLHプロダクション
音楽:マーリン・スカイルズ
出演:ピーター・ブレック
   ケント・テイラー
   ロッド・ローレン
   アラン・ヘイル・ジュニア
   アリソン・ヘイズ
   シリー・ステファン
   シド・セイラー
特別出演:アーリン・ジャッジ
     リチャード・アーレン
     トリスタム・コフィン
アメリカ映画/88分/モノクロ作品




「The Crawling Hand」 (1963)_f0367483_13163433.jpg
切断された右手が勝手に動き出し、次々と人間に襲いかかる!なんと、それは未知のエイリアンが乗り移った宇宙飛行士の手だった!という、実にしょうもないC級SFホラー映画である。さながら『原始人間』×『オルラックの手』。まあ、映画の出来はともかくアイディアは悪くない。しかも、監督は『怪人女ドラキュラ』('57)や『怪物を造る男』('58)などAIP制作の低予算モンスター映画でお馴染みの迷匠ハーバート・L・ストロック!アメリカではドライブイン・シアターの人気プログラムとしてヒットしたそうだが、カルト映画マニアならば一度は見ておきたい作品と言えるだろう。
「The Crawling Hand」 (1963)_f0367483_13151781.jpg
月面探査用の宇宙船が発射されてから9時間が経過したものの、乗組員からの連絡が途絶えてしまったことから、アメリカ航空宇宙局の担当職員スティーヴ・キュラン(ピーター・ブレック)とワイツバーグ博士(ケント・テイラー)は焦りを隠せないでいた。そうこうしているうちに、宇宙船の酸素タンクが底を尽きてしまう。もはや宇宙飛行士の生還は切望的だった。すると突然、乗組員ロックハートからの映像信号を宇宙局がキャッチする。ひどく顔色の悪いロックハートは、しきりに「俺の手が殺せ!殺せ!と勝手に命令するんだ!」と悲痛な様子で訴えていた。彼が酸素なしで20分以上も生きていることに驚くスティーヴとワイツバーグ博士は、何か尋常ではないことが起きていると直感し、地上へ墜落する前に宇宙船を爆破する。あれは一体何だったのか。未知の生命体がロックハートに乗り移ったのではないかとも考えられたが、いずれにせよ航空宇宙局の責任者バリンジャー(リチャード・アーレン)は事件を隠蔽して闇へ葬り去ることにする。
「The Crawling Hand」 (1963)_f0367483_13152895.jpg
その頃、カリフォルニア州の小さな町パームでは、宇宙船の爆破を目撃した住民たちがUFOの爆発と勘違いし、ちょっとした話題になっていた。そう、宇宙船はパームの上空で爆破されたのだ。翌日、地元の医科大学の学生ポール(ロッド・ローレン)はスウェーデン人の恋人マルタ(シリー・ステファン)と海岸で水遊びしていたところ、砂浜に打ち上げられた人間の右手を発見する。昨夜のUFO騒動と何か関係があるのではと考えた彼は、その右手をこっそりと持ち帰って下宿先の物置に隠すのだった。ところが、深夜になって勝手に動き出した右手は家主のホッチキス夫人(アーリン・ジャッジ)を殺害。物音に気付いて部屋を飛び出したポールにも襲いかかるのだが、辛うじて一命を取り留める。すると、ポールもロックハート飛行士と同じように顔色が悪くなり、激しい殺人衝動に駆られる。その奇妙な言動を見たタウンセンド保安官(アラン・ヘイル・ジュニア)は、ポールがホッチキス夫人殺しの犯人ではないかと疑う。一方、検死結果の報告を受けた警察は犯人の指紋がロックハート飛行士のものであると確認し、すぐさま航空宇宙局へ身柄の引き渡しを要求する。だが、事故のことを外部には明かせないため、キュランとワイツバーグ博士がパームへ向かうことに。その間に、殺人衝動を抑えきれなくなったポールが人々を襲い始めていた…。
「The Crawling Hand」 (1963)_f0367483_13154592.jpg
宇宙から帰還した宇宙飛行士が余計なものを持ち帰る…という設定は、ハマーフィルム制作の『原始人間』('55)を筆頭にSFホラーのジャンルでは定番だが、帰還したのがエイリアンに乗り移られた宇宙飛行士の右手だけというのはまた珍妙なアイディアである。で、この右手が『アダムス・ファミリー』のハンドくんよろしく動き回って人々を殺すわけだが、なぜか殺し損ねた大学生までもがエイリアンにコントロールされてしまう。本作のような古いC級SFホラー映画に論理性を求めちゃいけないのは重々承知しているが、それにしてもどういう理屈なのかよく分かりませんな(笑)。とりあえず、タイトルにもなっている「動き回る手」以外にこれといった特撮(?)の見せ場がないのは物足りないものの、追われる身となった大学生ポールの逃避行はそれなりにハラハラするし、意図せずして笑える頓珍漢なセリフの数々もけっこう楽しい。ティーンの若者がデートや暇つぶしに集まるドライブイン・シアターで受けたのも分からなくはないだろう。
「The Crawling Hand」 (1963)_f0367483_13155931.jpg
航空宇宙局の職員キュラン役で主演にクレジットされているのは、日本でも大ヒットしたテレビ西部劇『バークレー牧場』('65~'69)の次男ニック役で有名なピーター・ブレック。その相棒であるワイツバーグ博士役には、『妾は天使ぢゃない』('33)や『明日なき抱擁』('34)などで知られるパラマウントの名バイプレイヤー、ケント・テイラーが扮している。大学生ポール役を演じているロッド・ローレンは、シングル「女の子が欲しくって」が'60年に全米トップ40入りした一発屋のティーン・アイドル歌手。この人の演技が酷いのなんのって(笑)。実に堂々とした大根役者っぷりはむしろ痛快ですらある。その恋人マルタ役のシリー・ステファンは元ミス・アイスランド。テレビ『ギリガン君SOS』('64~'67)のアラン・ヘイル・ジュニアや、『妖怪巨大女』('58)の巨大女役で有名なアリソン・ヘイズも顔を出している。さらに、アーリン・ジャッジやリチャード・アーレンなど戦前のB級映画スターたちがゲスト出演。また、サイレント時代の喜劇俳優シド・セイラーが、学生たちの溜まり場であるソーダ・パーラーの店主役で出演しており、これが遺作となった。
「The Crawling Hand」 (1963)_f0367483_13161606.jpg
ちなみに、原案としてクレジットされているジョセフ・クランストンは、テレビ『ブレイキング・バッド』('08~'13)でお馴染みの名優ブライアン・クランストンの父親。生涯に渡って売れない俳優だったジョセフだが、もしかすると脚本家として新たな活路を見出そうとしていたのだろうか。ただ、手掛けた映画が本作と『人間ミンチ』('71)の2本だけなので、残念ながら才能には恵まれなかったのかもしれない。また、無名時代のバート・レイノルズが大学生ポール役のオーディションに落ちていたという情報もある。あまりにも演技が下手だったからと言われているが、そうか、ロッド・ローレンより下手っくそだったのか…(^^;
「The Crawling Hand」 (1963)_f0367483_13170239.jpg
評価(5点満点):★★☆☆☆

参考DVD(アメリカ盤)※「The Slime People」とのカップリング
モノクロ/ワイドスクリーン(1.85:1)/音声:2.0ch Dolby Digital Mono/言語:英語/字幕:英語/地域コード:ALL/時間:88分/発売元:VCI Entertainment
特典:オリジナル劇場予告編



by nakachan1045 | 2021-11-07 00:36 | 映画 | Comments(0)

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