なかざわひでゆき の毎日が映画&音楽三昧
「セクシー・デビル/悪魔はTバックがお好き」 Evil Toons (1991)

製作:ヴィクトリア・ティル
フレッド・オーレン・レイ
脚本:シャーマン・スコット
撮影:ゲイリー・グレイヴァー
クリーチャー・デザイン:チャス・バラン
音楽:チャック・シリノ
出演:デヴィッド・キャラダイン
ディック・ミラー
モニーク・ガブリエル
スザンヌ・エイガー
マディソン・ストーン
ステイシー・ニックス
アート・ジョンソン
ドン・ダウ
特別出演:ミシェル・バウラー
アメリカ映画/82分/カラー作品


とある嵐の夜。ロサンゼルスの大豪邸にひとりの男が現れる。彼の名前はギデオン・フィスク(デヴィッド・キャラダイン)。劇中では説明不足でよく分からないのだが、このオープニングの舞台設定は1930年代ということになっているらしい。彼は17世紀の魔術師が書いた祈祷書をアメリカへ持ち込んだのだが、この書物に邪悪な力が宿っていたことから、悪魔の復活を防ぐために自らの命を絶つ。祈祷書は跡形もなく消え去ったが、しかし、それ以来この屋敷では怪現象が起きるようになり、歴代のオーナーたちは次々と逃げ出していた。

それからおよそ50年後。女性ばかりの清掃会社を経営するテリー(スザンヌ・エイガー)とスタッフのミーガン(モニーク・ガブリエル)、ロクサーヌ(マディソン・ストーン)、ジャン(ステイシー・ニックス)の4人は、不動産会社社長バート(ディック・ミラー)の依頼で、例の屋敷の清掃作業を請け負うことになる。月曜日に新しいオーナーが入居するので、週末の3日間を使って泊りがけで荒れた屋敷内を綺麗にしろというわけだ。地味で真面目なミーガンは曰く付きの屋敷を薄気味悪く感じるものの、ほかの3人は全く気にする様子なし。中でもお気楽なロクサーヌは一人でストリップを踊ってはしゃぎ、夜にはボーイフレンドのビフ(ドン・ダウ)を連れ込んで羽目を外すつもりだった。

やがて夜も暗くなると、突然玄関のベルが鳴る。ドアを開けると外に立っていたのは不気味な男。それは死んだはずのギデオン・フィスクだ。地獄から甦ったフィスクは、「今すぐに開けろ」と殴り書きされた小包を女性たちに渡して消える。恐る恐る小包を開けてみると、中に入っていたのは例の祈祷書。ページを開いてみたところ、そこには何らやラテン語の文字が並んでおり、子供の落書きみたいな悪魔のイラストや、4人が屋敷の地下室で見つけた奇妙な短刀とソックリな武器が描かれている。語学に精通したミーガンがラテン語を読んでみると、それは悪魔を蘇らせる呪文のようだった。その後、ロクサーヌ以外の3人は2階の寝室で眠ることに。リビングでビフを待っていたロクサーヌだったが、そんな彼女にカートゥーンの悪魔が襲いかかる。ミーガンが呪文を唱えてしまったため、祈祷書の中から抜け出てしまったのだ。

大きな悲鳴を聞いて異変に気付いたミーガンだったが、しかしテリーもジャンも「心配し過ぎよ」と相手にしてくれない。一方、ロクサーヌを殺して彼女に成りすました悪魔は、何も知らずにやって来たボーイフレンドのビフを殺害し、さらには隣人ヒンチローさん(アート・ジョンソン)の通報を受けて様子を見に来たバートも血祭りにあげる。やがて、様子がおかしいと思ったミーガンたちはビフやバートの死体を発見。ロクサーヌが悪魔に取って代わられたと知った彼女らは、なんとかして悪魔を退治しようと試みるのだが、ひとりまたひとりと犠牲になっていく…。

ということで、50年前に自殺したギデオン・フィスクが地獄から甦った…というところまでは理解できるにしても、なんでまた祈祷書を全く関係のないヒロインたちのもとへ届けたのか、どうして悪魔が甦って人殺しを繰り返しているのに黙って眺めているだけなのか、一応クライマックスにそれらしい説明はあるものの、全く理由になっていなくてズッコケる。いや、フレッド・オーレン・レイの映画にストーリーの整合性やロジックを求めちゃいけないのは分かっているけどね、それにしたってちょっとテキトー過ぎでしょう(笑)。ホラー映画としても正直なところ子供騙し以下で、怖くもなければ血生臭くもないけれど、とりあえずセクシー女優たちのおっぱいポロリやしょうもない下ネタジョークなどのエッチなサービスは満載だ。

加えて、魔術師の祈祷書が『死霊のはらわた』シリーズに出てくるネクロノミコンそっくりだったり、ディック・ミラーが『血のバケツ』('59)の自分の芝居を見て「なんでこいつがアカデミー賞を取れないんだ!?」とボヤくなど、恐らくジャンル系映画マニアにしか通用しない内輪ネタ的なオマージュ・ギャグも楽しい。そういえば、オーレン・レイ作品に欠かせないスクリーム・クィーンのミシェル・バウアーが、おっぱいポロリと主演作『女切り裂き狂団チェーンソー・クイーン』のパロディのためだけに登場するのも笑わせてくれる。逆に言うと、それらの元ネタが分からない人にはさっぱり意味不明なんだろうけど、まあ、中にはそういう映画があってもいいじゃないか。

キャストクレジット上の主演は、オーレン・レイ作品への出演はこれが3度目だか4度目だかのデヴィッド・キャラダインだが、実質的な主演は3代目エマニエル夫人ことモニーク・ガブリエル。『勇者ストーカーの冒険』('87)とか大好きだったな。モニーク・ガブリエルと言えば、大学生の頃にレンタルビデオで借りて来た『アメリカン・パロディ・シアター』('87)のビデオを家で見ていたら、彼女がトップレスで出てくるシーンで一緒に見ていた今は亡き祖母が、「あれま!いやだに!」とビックリしていたことを思い出す。はるばる田舎から上京してみたら、孫に下らないビデオを見せられて呆れたに違いない。いやはや、申し訳ないことをしました(笑)。で、姐御格のテリーを演じているスザンヌ・エイガーは、当時のオーレン・レイ作品の常連で彼の恋人でもあったB級映画女優。ロクサーヌ役のマディソン・ストーンはストリッパー出身で、ジャン役のステイシー・ニックスはバーバラ・デアの名前で有名だったハードコアポルノ女優だ。ディック・ミラーはご存知、ロジャー・コーマン映画でも有名なカルト俳優。お隣のヒンチローさん役のアート・ジョンソンは、かつてアメリカのお茶の間でお馴染みだったテレビの人気コメディアンだ。

ちなみに、もともとフレッド・オーレン・レイ監督は本作の企画をロジャー・コーマンに持ち込んだらしいのだが、想定している予算が25万~30万ドルと聞いて「それっぽっちじゃアニメを使った映画なんて作れるわけがない」と却下されたらしい。安すぎるために断られるとはなんとも珍しい話だが、その当時ベッツィ・ラッセル主演のB級スラッシャー映画『Camp Fear』('91・日本未公開)の追加撮影をノークレジットで依頼されたオーレン・レイは、同作のプロデューサーであるヴィクトリア・ティルに改めて企画を持ちかけ、最終的に当初の予定よりも遥かに安い14万ドルの予算で作ってしまったらしい。まあ、基本的に舞台は一か所だけだしね。ただし、ヴィクトリア朝建築の立派な大豪邸は、内部が火災で焼け落ちて使えなかったため、屋内シーンは別の邸宅で撮影されたらしい。そのため、内側から見た玄関と外側から見た玄関では、扉のデザインが全く違う。内側には窓が付いているのに、外側には窓が付いていないのだ(笑)。

評価(5点満点):★★★☆☆
参考DVD情報(アメリカ盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/音声:2.0ch Dolby Digital/言語:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/時間:82分/発売元:Retromedia
特典:フレッド・オーレン・レイ監督による音声解説/メイキング・ドキュメンタリー('10年制作・約10分)/イントロダクション「Nite Owl Theater」(約4分)/サウンドトラック「Evil Toons Suite」(約9分)/オリジナル劇場予告編/オリジナル・ワークプリント(約3分)
by nakachan1045
| 2021-11-16 01:12
| 映画
|
Comments(0)
以前の記事
2026年 04月2026年 03月
2026年 02月
2026年 01月
2025年 12月
2025年 11月
2025年 10月
2025年 09月
2025年 08月
2025年 07月
2025年 06月
2025年 05月
2025年 03月
2025年 02月
2025年 01月
2024年 12月
2024年 11月
2024年 10月
2024年 09月
2024年 08月
2024年 07月
2024年 06月
2024年 05月
2024年 04月
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
最新のコメント
| “Hanzo The R.. |
| by Matemu at 07:49 |
| > Matemuさん .. |
| by nakachan1045 at 22:54 |
| 前回の丁寧な御回答に感謝.. |
| by Matemu at 13:32 |
| > にこらさん 書き込.. |
| by nakachan1045 at 08:59 |
| (3)日本におけるシャン.. |
| by にこら at 23:46 |
| なかざわ様、 最近シャ.. |
| by にこら at 23:45 |
| > Matemuさん .. |
| by nakachan1045 at 13:14 |
| 2024/6/5に発売さ.. |
| by Matemu at 05:08 |
| この映画はデンマーク軍が.. |
| by na at 08:27 |
| ランドマスターは本当にか.. |
| by na at 17:53 |
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
ハリウッド映画(546)70年代(357)
ホラー映画(288)
60年代(271)
80年代(217)
イタリア映画(186)
アクション(132)
ダンス(132)
ドラマ(122)
ポップス(113)
50年代(108)
サスペンス(107)
イギリス映画(107)
カルト映画(95)
30年代(70)
70年代音楽(63)
日本映画(61)
ロマンス(60)
40年代(59)
2020年代音楽(50)
80年代音楽(48)
SF映画(46)
コメディ(46)
フランス映画(44)
ノワール(41)
ソウル(40)
90年代(40)
ジャッロ(39)
1920年代(37)
西部劇(35)
K-POP(34)
香港映画(32)
エロス(28)
ドイツ映画(26)
スペイン映画(26)
ファンタジー(23)
サウンドトラック(21)
ミュージカル(21)
歴史劇(21)
ワールド映画(21)
戦争(20)
2010年代音楽(20)
アドベンチャー(19)
ラテン(19)
テレビ(18)
メキシコ映画(18)
イタリア映画音楽(18)
2000年代音楽(18)
90年代音楽(18)
アニメーション(17)
1910年代(16)
ルーマニアン・ポップス(15)
スパイ(14)
ロシア映画(13)
アナウンス(11)
時代劇(10)
60年代音楽(10)
ラウンジ(9)
カナダ映画(9)
ロック(9)
フィリピン映画(9)
ロシア音楽(8)
バルカン・ポップス(7)
青春(7)
ジャズ(7)
フレンチ・ポップ(6)
シットコム(5)
EDM(5)
フリースタイル(5)
連続活劇(4)
2010年代(4)
シャンソン(3)
2000年代(3)
J-POP(3)
LGBT(3)
イタロ・ディスコ(3)
パニック(3)
フランス映画音楽(2)
韓国映画(2)
アンダーグランド(2)
トルコ映画(2)
カントリー・ミュージック(2)
00年代音楽(2)
オーストラリア映画(2)
カントリー(1)
インド映画(1)
伝記映画(1)
文芸(1)
民族音楽(1)
2020年代(1)
ブラジル音楽(1)
1920年代音楽(1)
ヒップホップ(1)
サルサ(1)
ギリシャ音楽(1)
音楽DVD(1)
音楽ライブ(1)
ギャング(1)
ブログパーツ
最新の記事
| DANCE CLASSICS.. |
| at 2026-04-17 00:42 |
| DANCE CLASSICS.. |
| at 2026-04-16 01:46 |
| 「Intégrale Pat.. |
| at 2026-04-15 00:49 |
| DANCE CLASSICS.. |
| at 2026-04-14 00:11 |
| DANCE CLASSICS.. |
| at 2026-04-13 01:43 |

