なかざわひでゆき の毎日が映画&音楽三昧
「セラーデュエラー」 Cellar Dweller (1987)

製作:ボブ・ウィン
製作総指揮:チャールズ・バンド
脚本:キット・デュ・ボワ(ドン・マンシーニ)
撮影:セルジオ・サルヴァーティ
特殊クリーチャー効果:ジョン・カール・ビュークラー
音楽:カール・ダンテ
出演:デブラ・マローニー(デブラ・ファレンティノ)
ブライアン・ロビンズ
イヴォンヌ・デ・カーロ
パメラ・ベルウッド
ヴィンス・エドワーズ
シェリル=アン・ウィルソン
ジェフリー・コムズ
フロイド・レヴィン
アメリカ映画/77分/カラー作品


ホラー・コミック「セラーデュエラー」で人気を集めるコミック作家コリン・チャイルドレス(ジェフリー・コムズ)。人間を餌食にする狂暴な魔物を描いた同作は熱狂的なファンを得ていたが、実は魔術書に宿る不思議なパワーの助けを借りて描かれていた。そんなある晩、自宅の地下室で新作を描いていた彼の前に、なんと本物の魔物が出現し、近くに住む若い女性を殺してしまう。チャイルドレスは意図せずして魔物をこの世に呼び寄せてしまったのだ。慌てて原稿に火を点けて燃やしたところ、なんとか魔物を退治することに成功したチャイルドレス。だが、うっかり自分自身も火だるまとなって焼死してしまう。

それから30年後。今は芸術家向けのアパートとなったチャイルドレスの元自宅へ、コミック作家志望の女性ホイットニー(デブラ・マローニー)が引っ越して来る。彼女は亡きチャイルドレスの崇拝者で、伝説の名作コミック「セラーデュエラー」を自らの手で復活させようと考えていた。アパートの住人は目立ちたがり屋の前衛画家フィリップ(ブライアン・ロビンズ)に元私立探偵のミステリー作家ノーマン(ヴィンス・エドワーズ)、パフォーマー志望のリサ(シェリル=アン・ウィルソン)など変わり者ばかり。管理人のブリッグス夫人(イヴォンヌ・デ・カーロ)は大のコミック作家嫌いで、ホイットニーのことを快く思っていない。しかしホイットニーにとって最悪なのは、美大時代の宿敵アマンダ(パメラ・ベルウッド)が住んでいることだった。

チャイルドレスの仕事場だった地下室を借りることにしたホイットニーは、そこで例の魔術書を発見する。まるで何かに取り憑かれたようにして、チャイルドレスとソックリのコミックを描きあげるホイットニー。一方、ブリッグス夫人と結託してホイットニーをアパートから追い出そうと考えたアマンダは、彼女が地下室でコミックを描いている様子をビデオで盗み撮りし、「コリン・チャイルドレスの盗作をするコミック作家がいる!」という告発ビデオを世間にバラまこうとする。ところが、魔術書の影響で再び魔物が降臨。アマンダを手始めとして、アパートの住人をひとりまたひとりと血祭りに挙げていく。事態に気づいたホイットニーは、フィリップの協力で魔物を退治しようとするのだが…!?

ということで、かつて惨劇のあった屋敷に移り住んできた主人公が、ひょんなことから魔物をこの世に呼び寄せてしまう…という基本プロットは、ビュークラーの監督デビュー作『グーリーズ』とほぼ同じ。元住人のコミック作家を画家に置き換えれば、ルチオ・フルチの『ビヨンド』('80)にもちょっとだけ似ている。とはいえ、『チャイルド・プレイ』('88)シリーズの脚本家ドン・マンシーニによる脚本はかなりいい加減で、なにかの片手間に小遣い稼ぎでサクッと書いたような印象を受ける。もしかすると現場で勝手に改変されるなどして、本人的に不本意な内容になってしまった可能性も考えられる(実際、低予算映画の世界ではありがち)ものの、いずれにせよ偽名でクレジットされているのもむべなるかなというところだ。まあ、これで一件落着…と思った瞬間のどんでん返しは嫌いじゃないけど。ビュークラー監督の演出も大味の極み(笑)。予算が本当になかったのだとは思うが、それにしても手抜きとしか思えない描写が目立つ。まだ遊び心のあった『グーリーズ』の方がだいぶマシだ。

ただまあ「腐っても鯛」ではないが、さすがにビュークラー監督の本業であるクリーチャー・エフェクトの出来栄えはまずまず。なんとなく『グーリーズ』のクリーチャー・デザインを流用したのではないかと思えるフシもなくはないのだが、アニマトロニクスと着ぐるみを駆使した手作り感覚の巨大モンスターは、安っぽいながらもどこか愛嬌があって憎めない。ただし、あの『狼男アメリカン』の出来損ないみたいなトランスフォーメーションは…あかん(笑)。いくら低予算とはいえ、あれちょっと苦笑いするしかなかろう。ちなみに、撮影場所は当時エンパイアがスタジオを所有していたイタリアのローマ。そのため、ルチオ・フルチの『サンゲリア』('79)や『墓地裏の家』('81)、『ビヨンド』などでお馴染みのセルジオ・サルヴァーティが撮影監督を務めている。なお、ECコミック風のコミック・アートを手掛けているのはマーベルのコミック作家だったフランク・ブルナーだ。

主演はカルトな人気を誇るSFドラマシリーズ『アース2』('94~'95)でヒロインを演じたデブラ・ファレンティノ。フィリップ役のブライアン・ロビンズは俳優としては不発だったものの、後に監督兼プロデューサーへと転向して『ONE TREE HILL』('03~'12)や『ヤング・スーパーマン』('01~'11)などのドラマをヒットさせ、なんと'21年からはパラマント映画の社長に就任している。本作の冒頭でタクシー運転手を演じているフロイド・レヴィンは、ロビンズの実の父親だ。そのほか、ハリウッド黄金時代のグラマー女優イヴォンヌ・デ・カーロや、'60年代の人気ドラマ『ベン・ケーシー』('61~'66)のヴィンス・エドワーズというベテランが登場。この手の低予算ホラーに往年の有名スターが出演するのは当時の定番ですな。

また、悪女アマンダ役には人気ドラマ『ダイナスティ』('81~89)のパメラ・ベルウッド。『エアポート'77』('77)ではジェームズ・スチュワートの娘役を演じていた女優さんだ。そして、伝説のコミック作家コリン・チャイルドレス役として登場するのは、『死霊のしたたり』や『フロム・ビヨンド』のホラー・アイコン、ジェフリー・コムズ。どちらの作品でもビュークラーが特殊メイクを手掛けていたので、いわば友情出演的な参加だったのかもしれない。

評価(5点満点):★★☆☆☆
参考DVD情報(アメリカ盤)※4本立てDVDセット「4 All Night Horror Marathon Volume Two」収録
カラー/スタンダードサイズ(1.33:1)/音声:2.0ch Dolby Digital Mono/言語:英語/字幕:なし/地域コード:1/時間:77分/発売元:Scream Factory/MGM
特典:なし
by nakachan1045
| 2022-01-20 03:05
| 映画
|
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