なかざわひでゆき の毎日が映画&音楽三昧
「吸血鬼ブラキュラの復活」 Scream Blacula Scream (1973)

製作:ジョセフ・N・ナール
製作総指揮:サミュエル・Z・アーコフ
原案:ジョーン・トーレス
レイモンド・コーニグ
脚本:ジョーン・トーレス
レイモンド・コーニグ
モーリス・ジュールズ
撮影:イシドア・マンコフスキー
音楽:ビル・マークス
出演:ウィリアム・マーシャル
ドン・ミッチェル
パム・グリア
マイケル・コンラッド
リチャード・ローソン
バーニー・ハミルトン
ジャニー・ミシェル
リン・ムーディ
バーバラ・ローズ
アメリカ映画/96分/カラー作品


ヴードゥー教カルト集団の教祖ママ・ローアが死亡。傲慢で横柄な放蕩息子ウィリス(リチャード・ローソン)が後継者となることを主張するが、しかし信者たちによる公正な投票の結果、ママ・ローアがその才能を認めた人望の厚い養女リサ(パム・グリア)が次なる教祖に指名される。これを恨みに思ったウィリスは、かつて教団を追放された呪術師(バーニー・ハミルトン)から吸血鬼ブラキュラことマムワルデ王子の遺骨を譲り受け、ヴードゥーの魔術によってブラキュラをこの世に復活させる。教団を自分のものにするため、マムワルデ王子に邪魔者を始末させようと考えるウィリスだったが、しかし呆気なく自分が血を吸われてヴァンパイアにされ、ブラキュラの命令に従う下僕として遊び仲間たちを獲物に差し出すことになる。

ある晩、リサの恋人ジャスティン(ドン・ミッチェル)の自宅でパーティが開かれる。元殺人課の刑事であるジャスティンだが、今では出版社を経営するリッチなビジネスマン。趣味で集めたアフリカの骨董美術品を大学へ寄贈することになり、その記念として展示会を兼ねたパーティを企画したのだ。そこへ現れたマムワルデ王子は、その豊富な知識で専門家をも驚かせる。なにしろ、彼は200年以上も生きながらえるヴァンパイア。歴史の生き証人なのだから詳しくて当たり前だ。そんなマムワルデ王子は、リサが強大なパワーを持つヴードゥーの呪術師と知って強い関心を寄せる。実は、ヴァンパイアとして暗闇の世界に生きることに辟易していたマムワルデ王子。ヴードゥーの魔術を使えば普通の人間へ戻れるのではないかと考えたのだ。

そんなマムワルデ王子に不信感を抱くリサ。やがて、彼女の身の周りでは親友のグロリア(ジャニー・ミシェル)やデニー(リン・ムーディ)らが、マムワルデ王子やウィリスの餌食となっていく。警察のダンロップ警部(マイケル・コンラッド)はヴードゥー教信者の犯行を疑い、その教祖であるリサをマークする。これに憤慨したジャスティンは、自らの手で一連の殺人事件を捜査することに。不可解な証拠ばかり出てくることに戸惑うジャスティンだったが、やがてヴァンパイアの仕業ではないかと気付き始める。一方その頃、マムワルデ王子は自らの正体が吸血鬼ブラキュラであることをリサに明かし、ヴードゥーの魔術で自分を人間に戻すよう迫るのだったが…?

ブラックパワー・ムーブメントの影響が色濃かった前作に比べ、表立った政治色はほとんど見受けられない本作。基本的にはストレートなゴシック・ホラー映画に仕上がっているものの、随所に散りばめられたアフリカン・アートやヴードゥー教の要素には、アフリカ系民族の原点回帰を志向する当時のブラック・アート・ムーブメントの影響も少なからず感じられるだろう。夜道で黒人のポン引き2人組に絡まれたマムワルデ王子が、「奴隷制から解放されたというのに、お前たちのやっていることは白人の奴隷商人と変わらぬではないか!」とお灸をすえるシーンも、まあ、政治的と言えば政治的なのかもしれない。

やはり前作との最大の違いは、ホラー映画の基本をきっちりと踏まえたボブ・ケルジャン監督のオーソドックスな恐怖演出である。ヴィクトリア朝スタイルの古い豪邸で、暗闇に潜むヴァンパイアが犠牲者を次々に襲っていくシーンなどは、さながらハマー・ホラーの如し。振り向くとブラキュラが飛んでくる!というシーンなどもなかなかショッキングだ。エロティックな描写もそれなりに用意されている。確かにストーリーは大したことないし、呆気ないクライマックスも不完全燃焼ではあるものの、ホラー映画ファンなら1作目よりも楽しめるかもしれない。

主人公の吸血鬼ブラキュラことマムワルデ王子を演じるのは、前作に引き続いて名優ウィリアム・マーシャル。当時『コフィー』('73)でブレイクしたばかりだったパム・グリア―が、ヒロインのリサ役を演じているのも要注目ポイントであろう。『鬼警部アイアンサイド』('67~'75)の助手マーク・サンガー役で親しまれたドン・ミッチェル、映画『リスボン特急』('72)やドラマ『ヒルストリート・ブルース』('81~'87)のマイケル・コンラッド、ミニシリーズ『ルーツ』('77)のアイリーン役で知られるリン・ムーディなど、脇を固めるキャストも多彩だ。憎まれ役のウィリスを演じるリチャード・ローソンは、『ポルターガイスト』('82)で科学者のひとりを演じていた俳優。その『ポルターガイスト』シリーズの父親役で有名なクレイグ・T・ネルソンが、クライマックスの警官隊突撃シーンで警官のひとりを演じているらしいのだが、ちょっと数が多すぎて特定が難しい。

評価(5点満点):★★★☆☆
参考DVD情報(アメリカ盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/音声:2.0ch Dolby Digital Mono/言語:英語/字幕:英語・フランス語・スペイン語/地域コード:1/時間:96分/発売元:MGM
特典:オリジナル劇場予告編
by nakachan1045
| 2022-01-22 00:10
| 映画
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