なかざわひでゆき の毎日が映画&音楽三昧
「The Champ」 (1968) The Mohawks

1. The Champ 2:40
2. Hip Jigger 2:59
3. Sweet Soul Music 2:35
4. Dr. Jekyll & Hyde Park 1:39
5. Senior Thump 2:52
6. Landscape 2:27
7. Baby Hold On 2:23
8. Funky Broadway 2:43
9. Rocky Mountain Roundabout 2:11
10. Sound of the Witchdoctors 2:49
11. Beat Me Till I'm Blue 2:42
12. Can You Hear Me 2:54
bonus tracks
13. Ride Your Pony 3:13
14. Wester Promise 2:52
15. Pepsi 3:22
16. Mony, Mony 2:54
17. The Champ (Extended Mix) 5:07
18. Landscape (Extended Mix) 4:17
produced by Palmer Brothers
(P) 1968 Pama Supreme
ザ・モホークスの生みの親は「ライブラリー・ミュージックの王様」とも呼ばれるイギリスの作曲家兼アレンジャーにしてハモンド・オルガン奏者のアラン・ホークショー。ライブラリー・ミュージックとはテレビCMやテレビ番組、ラジオ番組などのBGMに使用することを目的に、著作権フリー素材としてプロ向けに販売される音楽のことである。ホークショーはイギリスにおけるその第一人者だったのだ。彼が所属したのは英国ライブラリー・ミュージックの殿堂とも呼ぶべき伝説的なレコード会社KPM。もともとアレンジャーやセッション・ミュージシャンとして幅広く活動し、クリフ・リチャードからトム・ジョーンズ、トレメローズにオリヴィア・ニューヨン・ジョン、セルジュ・ゲンズブールにジェーン・バーキンなどなど、数多くの大物アーティストたちのレコーディングに参加してきた超売れっ子の彼が、その傍らでなぜライブラリー・ミュージックに携わったのかというと、楽曲制作における「自由」が魅力だったようだ。ギャラは安いしスケジュールはタイトだし、一般向けには販売されないので名前が売れるわけでもない。そもそも、最初から使い捨てにされる運命の音楽である。しかし、それすなわち「売れ線」を求められることがないため、ライブラリー・ミュージックは通常の商業用音楽に比べて自由に好きなことが出来たのだ。
そんなホークショーに声をかけたのが、スカやブルー・ビート(ジャマイカ系R&B)専門のインディーズ・レーベル、Pama Recordsの社長パーマー兄弟。仲間のセッション・ミュージシャンを集め、ほぼ即興でアルバムをレコーディングしたホークショーは、自らの名前をもじってザ・モホークスというバンド名を思いつき、自身も架空のリーダー、モリス・モホークを名乗った。オリジナル版アルバムのライナーノーツでは、いつも自宅の地下スタジオにこもって特製のハモンド・オルガンに熱中し、時おり自慢のジャガーを運転して街を駆け抜ける、誰もその素性を良く知らない23歳の若者モリス・モホークと紹介されているが、実際のホークショー自身は先述した通り、イギリスでもフランスでも引っ張りだこのセッション・ミュージシャン兼アレンジャーであり、年齢だって既に30歳を超えていた。レコーディング自体は本当に短期間で済ませたそうで、ホークショー自身も誰が参加したのかよく覚えていないと後に語っている。さらに、KPMのライブラリー・ミュージック用に製作していた数曲を加え、全12曲構成のフルアルバムが完成したのである。
やはりアルバムの目玉は#1「The Champ」だろう。たとえザ・モホークスのオリジナルを知らずとも、ヒップホップやR&Bが好きな音楽ファンであれば、必ずや一度は聴いたことがあるリズムとメロディとグルーヴ。ジェームズ・ブラウンばりのゴリゴリ・ファンクに、カリプソ・フレイバーを加味したダンサンブルなノリは、発売から50年以上を経た今でも全く色褪せない。このカッコ良さは尋常じゃなかろう。当時はイギリスのR&Bチャートで最高4位、フランスでもシングル・チャートで最高7位をマークし、アトランティック傘下のコティリオン・レーベルが権利を買って全米でもリリースされた。その他のアルバム収録曲も誠に粒ぞろい。「The Champ」が好きなら一切の外れなしである。全てのファンク・ミュージック・ファン必携の一枚だ。
ちなみに、'68年に発表されてから長いこと公式での再リリースがなく、冒頭で述べたように高額のプレミアが付いていたこともあって、実は違法なブート盤も数多く出ている本作。'08年にスペインのインディーズ・レーベル、Vampi SoulからリリースされたCDとアナログが、オリジナル・マスターテープを使用した初めてのオフィシャル再発盤だった。しかも、ボーナス・トラックとしてシングル盤のみのリリース曲も収録。中でもリー・ドーシーのカバー曲#13「Ride Your Pony」は傑作だ。なお、'86年に12インチシングル発売された「The Champ」と「Landscape」のエクステンデッド・バージョン(#17、#18)は、アナログ盤からのリッピングで収録されている。
by nakachan1045
| 2023-02-01 16:33
| 音楽
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