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なかざわひでゆき の毎日が映画&音楽三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画&音楽レビュー日記
by なかざわひでゆき
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「リオの男」 L'homme de Rio (1964)

「リオの男」 L\'homme de Rio (1964)_f0367483_16345326.jpg
監督:フィリップ・ド・ブロカ
製作:アレクサンドル・ムヌーシュキン
   ジョルジュ・ダンシジェール
脚本:ジャン=ポール・ラプノー
   アリアヌ・ムヌーシュキン
   ダニエル・ブーランジェ
   フィリップ・ド・ブロカ
台詞:ダニエル・ブーランジェ
撮影:エドモン・セシャン
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
出演:ジャン=ポール・ベルモンド
   フランソワーズ・ドルレアク
   ジャン・セルヴェ
   シモーヌ・ルナン
   アドルフォ・チェリ
   ロジェ・デュマ
   ダニエル・チェッカルディ
   ミルトン・リベイロ
   ウビラシ・デ・オリヴェイラ
   サブ・ド・ブラジル
フランス・イタリア合作/115分/カラー作品




あのスティーブン・スピルバーグ監督に多大な影響を与え、『レイダース/失われた聖櫃<アーク>』('81)の元ネタになったと言われるアドベンチャー映画である。'60年代半ば当時は『007』シリーズに端を発するスパイ映画ブームの真っ只中。18世紀のフランスに実在した義賊を描いた冒険活劇『大盗賊』('62)が大ヒットし、ヌーヴェルヴァーグの象徴からアクション映画スターへとイメチェンしつつあったジャン=ポール・ベルモンドが、同作のフィリップ・ド・ブロカ監督とのコンビ第2弾として挑んだ本作は、実はもともと『007』シリーズ風のスパイ映画として企画されたという。なるほど、そう言われればボンド映画っぽいところがなくもないとは思うが、しかしそのマンガ的な荒唐無稽はむしろ、ベルモンド自身が大好きだったというフレンチ・コミック『タンタンの冒険』シリーズからの影響が強いとも言われる。いずれにせよ、アクションに次ぐアクションと国際色豊かなロケーション、古代文明の秘宝を巡るミステリーとオフビートなユーモアで楽しませてくれる究極のエンターテインメント映画だ。

事の発端はパリの人類博物館で起きた盗難事件。南米の古代文明「マルテック文明」時代の土偶が、謎の窃盗グループによって持ち去られたのだ。実はこの土偶、全部で3体あるうちのひとつだった。かつてブラジルのアマゾンへ発掘調査に向かったカタラン教授(ジャン・セルヴェ)と実業家ディ・カストロ(アドルフォ・チェリ)、今は亡きヴィレルモーザ教授の学者3名は、発見された3体の土偶をそれぞれ所持していたのである。今回盗まれたのはカタラン教授が持ち帰った土偶。ヴィレルモーザ教授の土偶は所在不明で、どうやら教授が生前にどこかへ隠したらしい。残る1体はブラジルに住むディ・カストロの手元にある。通報を受けて博物館へ駆けつけたカタラン教授と、故ヴィレルモーザ教授の愛娘アニエス(フランソワーズ・ドルレアク)。いったい何者が何の目的で盗んだのか。2人は警察の事情聴取を受けたのだが、その帰りにカタラン教授が窃盗グループに誘拐されてしまう。

ちょうどその頃、1週間の休暇でパリへやって来たフランス空軍のパイロット、アドリアン(ジャン=ポール・ベルモンド)は、婚約者アニエスと久しぶりに会えることから、意気揚々と彼女のアパルトマンへ駆けつける。すると、アドリアンの目の前でアニエスもまた誘拐されてしまった。実は彼女、父親が土偶を隠した場所を知っていたのだ。慌ててバイクで誘拐犯一味とアニエスを追いかけるアドリアン。やがて一行は国際空港へと到着し、そのまま搭乗ゲートへと入っていく。乗客の付添人に化けて侵入したアドリアンは、パスポートも航空券もなしで飛行機へ乗ることに成功。機内でアニエスを救うチャンスを狙ったが、しかし薬物を投与されて意識のもうろうとした彼女は、アドリアンが誰かも分かっていない様子だった。やがて飛行機は目的地へと到着。乗務員や空港スタッフの目を盗んで外へ出たアドリアンは、そこがパリから遠く離れた南米大陸、ブラジルのリオ・デジャネイロであると知ってビックリ仰天する。

実は、かつてアニエスの家族はリオに住んでいたことがあり、父親は昔の自宅のどこかに土偶を隠していたのである。また、3つ目の土偶を所有するディ・カストロもブラジル在住だ。なんとかしてアニエスを救出するべく追いかけるアドリアンだが、しかしそんな彼を排除するべく窃盗グループがつけ狙う。ようやくホテルの一室に監禁されたアニエスを発見したアドリアンは、薬物の影響が抜け切れていない彼女を救出することに成功。意識を取り戻した彼女と一緒に土偶を回収するものの、しかし待ち伏せしていた窃盗犯の一味に奪い去られてしまった。首都ブラジリアに住むディ・カストロが危ない!そう考えたアドリアンとアニエスは、親しくなった現地の靴磨き少年ウィンストン卿(ウビラシ・デ・オリヴェイラ)の調達した車でブラジリアへと向かう。すると、その途中で2人は窃盗グループに誘拐されたカタラン教授を救出。なんとかディ・カストロのもとへ辿り着くものの、そこでアドリアンは他でもないカタラン教授こそが全ての黒幕であることに気付く。実は、古代マルテック文明の秘宝の隠し場所を示すヒントが、3体の土偶それぞれに隠されていたのだ…!

というわけで、古代文明の秘宝を巡る陰謀に巻き込まれた恋人アニエスを救うためなら、たとえ地の果てまででも猪突猛進で追いかけていく無鉄砲青年アドリアンの奇想天外な大冒険。これぞまさしくノンストップ・アクション!といった感じで、危機また危機のストーリーが目まぐるしく展開していく。なんたる軽妙洒脱!なんたるナンセンス!当時のハリウッド映画でも、これだけスピーディかつサービス精神旺盛なアクション映画は滅多になかったはずだ。そこへ、フィリップ・ド・ブロカ監督特有のどことなくシュールなユーモア・センスと、バスター・キートンやハロルド・ロイドも顔負けのスラップスティックな体当たりギャグが絡むことで、まるでマンガそのもののような実写映画が成立してしまった。スピルバーグが本作の影響を受けたというのも大いに納得の面白さ。特に、ストーリー終盤の意外な展開は『レイダース/失われた聖櫃<アーク>』とソックリである。

「知的なアート映画よりも単純明快な冒険映画の方が好き」と公言していたジャン=ポール・ベルモンドは、危険なスタントシーンの殆どを自らこなすほどの力の入れよう。タフで喧嘩っ早くてマッチョだけど、どこかトボケていて憎めないアドリアンを演じて実にチャーミングである。婚約者アニエスにはフランソワーズ・ドルレアク。キュートでコケティッシュで透明感のある美しさは、妹カトリーヌ・ドヌーヴとはまた一味違った魅力だ。ジュールズ・ダッシンの『男の争い』('55)で有名なジャン・セルヴェがカタラン教授役。また、当時ブラジルで舞台を中心に活躍していたイタリア人俳優アドルフォ・チェリが、どことなく胡散臭い実業家ディ・カストロ役を演じており、本作をきっかけに映画出演のオファーが殺到。その後、『007/サンダーボルト作戦』('65)のエミリオ・ラーゴ役で国際的な悪役スターとなる。

日本でも劇場封切時に大ヒットした本作。昭和の時代には地上波テレビでも幾度となく放送されていた。その反面、長いことビデオソフト化されなかったのだが、'14年になって初めてDVDとブルーレイでリリース。さらに、'21年にデジタル・リマスター版がリバイバル公開され、ブルーレイとDVDも再発売されている。なお、アメリカではCohen Media社から『カトマンズの男』('65)との2枚組でブルーレイ化。日本盤の特典は日本語吹替とオリジナル劇場予告編のみだったが、こちらの米国盤には1時間を超えるメイキング・ドキュメンタリーなどの特典がたっぷり収録されている。

評価(5点満点):★★★★☆



参考ブルーレイ情報(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.66:1)/1080p/音声:2.0ch DTS-HD Master Audio/言語:フランス語・日本語/字幕:日本語/地域コード:A/時間:115分/発売元:キングレコード
特典:日本語吹替(1976年放送・TBS月曜ロードショー版)/オリジナル劇場予告編



by nakachan1045 | 2023-11-07 05:28 | 映画 | Comments(0)

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