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なかざわひでゆき の毎日が映画&音楽三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画&音楽レビュー日記
by なかざわひでゆき
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「ドラキュラの館」 Blood of Dracula's Castle (1969)

「ドラキュラの館」 Blood of Dracula\'s Castle (1969)_f0367483_18563807.jpg
監督:アル・アダムソン
製作:アル・アダムソン
   レックス・カールトン
製作総指揮:マーティン・B・コーエン
脚本:レックス・カールトン
撮影:レスリー・コヴァックス(ラズロ・コヴァックス)
特殊メイク:ケニー・オズボーン
主題歌:ギル・バーナル
出演:ジョン・キャラダイン
   ポーラ・レイモンド
   アレックス・ダーシー(アレクサアンダー・ダーシー)
   ロバート・ディックス
   ジーン・オシェイン
   バーバラ・ビショップ(ジェニファー・ビショップ)
   ヴィッキー・ヴォランテ
   レイ・ヤング
   ジョン・カードス
   ケン・オズボーン
アメリカ映画/85分/カラー作品




「ドラキュラの館」 Blood of Dracula\'s Castle (1969)_f0367483_06260998.jpg
C級カルト映画の名物監督アル・アダムソンの手掛けたゴシック・ホラー映画である。暴走族アクション映画からお色気コメディ映画、カンフー映画からブラックスプロイテーション映画まで、その時その時のトレンド・ジャンルを超激安バジェットで次々と作っていたアダムソン監督だが、そうした中においてコンスタントかつ安定的に供給していたのがホラー映画だ。それも、'30~'40年代の古き良きユニバーサル・モンスター映画を彷彿とさせるような、恐らく当時ですら既に時代遅れの古式ゆかしいゴシック・ホラーを好んで撮っていた。その最初の作品がこの『ドラキュラの館』だった。
「ドラキュラの館」 Blood of Dracula\'s Castle (1969)_f0367483_06265622.jpg
舞台は現代のアメリカ。ロサンゼルスに住むトレンディな売れっ子写真家グレン・キャノン(ジーン・オシェイン)は、疎遠だったトマス伯父さんが108歳で亡くなったことから、アリゾナ砂漠のど真ん中にそびえ立つファルコン・ロック城を相続することになる。フォト・スタジオとして使うのに、ちょうどいいかもしれない。現時点で、60年前から賃貸で住んでいるリッチな夫婦がまだいるらしいが、この際だからよそへ引っ越してもらおう。そう考えた彼は、婚約者であるトップモデルのリズ(ジェニファー・ビショップ)を連れ、明け渡しの交渉を兼ねてファルコン・ロック城を見に行くことにする。
「ドラキュラの館」 Blood of Dracula\'s Castle (1969)_f0367483_06271937.jpg
その頃、城の所有権が前オーナーからその甥っ子へ移ったことを知らされ、どうしたものかと考えあぐねているのが、チャールズ・タウンセンド伯爵(アレクサンダー・ダーシー)とその妻タウンセンド伯爵夫人(ポーラ・レイモンド)。60年間暮らしてきたにしては、やけに年齢が若い。それもそのはず、彼らの正体は永遠の命を持つ吸血鬼。それも、あの世界的に有名なドラキュラ伯爵夫妻だったのである。
「ドラキュラの館」 Blood of Dracula\'s Castle (1969)_f0367483_06285034.jpg
彼らの忠実な執事ジョージ(ジョン・キャラダイン)は、月の神ルナを信仰する狂信的なカルト宗教信者。下男のマンゴー(レイ・ヤング)は知的障害を持つ怪力の大男で、タウンセンド夫妻のために近隣を通りがかった若い美女らを拉致し、城の地下拷問室に監禁していた。そして、ジョージが囚われの美女たちから死なない程度の血液を採取し、それらをブレンドして最高に美味な血液カクテルを作ってタウンセンド夫妻に提供していたのである。そこへ今度は、連続殺人鬼ジョニー(ロバート・ディックス)が加わることとなった。より効率よく大勢の獲物を確保するため、夫妻は刑務所に収容されているジョニーに資金援助し、看守を買収して脱獄させることに成功したのだ。
「ドラキュラの館」 Blood of Dracula\'s Castle (1969)_f0367483_06291305.jpg
果たして、長年住み慣れた城から引っ越さねばならないのだろうか。真夜中に来てくれる引っ越し業者などいないだろうし、これは全く面倒なことになった…とため息をつくタウンセンド夫妻。しかし待てよ、新しいオーナーだって物分かりの良い吾人かもしれぬ。引き続き城を貸してくれたり、もしかすると売ってくれる可能性もなくはないじゃないか?とタウンセンド伯爵。そうね、最悪の場合は殺しちゃえばいいんだし。どっちにしても問題は簡単に解決するわよ!とタウンセンド伯爵夫人。そりゃナイスなアイディアだ!と夫妻は大いに笑いながら血液カクテルで乾杯する。そして、新オーナーのグレンと婚約者リズがキャッスル・ロック城を訪れる。引き続き城を借りることは出来ないか、もしくは売ってくれないかと相談するタウンセンド伯爵夫妻だが、グレンの返事はシンプルにノー。当然ながら、夫妻は彼らを殺してしまうことにする。しかし、真夜中に響き渡る悲鳴を聞いたグレンとリズが、城の地下に囚われている美女たちの存在に気付いてしまい…?
「ドラキュラの館」 Blood of Dracula\'s Castle (1969)_f0367483_06282700.jpg
今はなきロサンゼルス近郊の巨大海洋テーマパーク、マリンランド・オブ・ザ・パフィシックでのロケ・シーンから始まる本作。カリフォルニアの明るい太陽のもと、婚約者リズをモデルにしてグレンがスチル写真を撮っている。ファインダーを覗くたびに「なんだこれは!全く信じられない!」と大袈裟に驚いてみせるグレン。「ちょっと、どうしたのよ。何が信じられないの?」とリズが訝しげに尋ねると、すかさずグレンが「だって信じられないだろう?こんな絶世の美女が僕の婚約者だなんて!」と切り返す。いやはや、寒い…寒すぎる(笑)!恐らくスクリューボール・コメディ的な軽妙洒脱さを狙ったのだろうが、残念ながらセンスがなさ過ぎるために見ている方は失笑するしかない。しかも、全編のあちこちでこの手の「洗練された」ユーモアを差し込んでくるもんだから困りもの。それでもまあ、アボット&コステロの映画みたいにホラー・コメディに徹してくれるならまだ良いのだが、そこがまた非常に中途半端で、基本的にはシリアスなゴシック怪奇譚として作られている。結果、怖くもなければ笑えもしない作品に仕上がってしまった。
「ドラキュラの館」 Blood of Dracula\'s Castle (1969)_f0367483_06293637.jpg
まあ、裏を返せばその薄ら寒さとかショボさとかポンコツぶりを楽しむべき映画。アル・アダムソン作品としては可もなく不可もなく、むしろ演出自体はわりとちゃんとしているため、『ドラキュラ対フランケンシュタイン』('71)のような「あまりにも出来が悪すぎるためかえって面白い」というレベルにまでは達していない。そこも中途半端と言えば中途半端ですな。ちなみに、撮影監督を担当したのはラズロ・コヴァックス。そう、『イージー・ライダー』('69)とか『ペーパー・ムーン』('73)とか『未知との遭遇』('78)とか『ゴーストバスターズ』('84)とかでお馴染みの名カメラマンである。盟友ヴィルモス・スィグモンドと共に母国ハンガリーからアメリカへ亡命したものの、ハリウッドでは仕事にあぶれていた当時のコヴァックス。先にC級犯罪スリラー『Psycho A-Go-Go』('65)でアダムソン監督と仕事をしたスィグモンドが、親友であるコヴァックスにも仕事のチャンスをと紹介したことから、本作の撮影に関わることとなったそうだ。
「ドラキュラの館」 Blood of Dracula\'s Castle (1969)_f0367483_06295864.jpg
主な舞台となる城の撮影場所はアリゾナ砂漠ではなく、カリフォルニアのモハーヴェ砂漠の近郊に今も存在するシアーズ城。1924年に地元の裕福な土地開発業者リチャード・ピーター・シアーが建てた、中世ヨーロッパの城を模した大豪邸だ。かつてバブルの時代やその余韻がまだ残っていた頃、日本でもよく地方都市なんかへ行ったりすると、地元の成功者が建てたであろう戦国時代の城やヨーロッパの宮殿みたいな成金趣味のプチ豪邸を見かけたりしたもんだが、要するにあれのスケールアップしたアメリカ版である。とはいえ、一階建ての平屋ということもあってヨーロッパの本物の城と比べると中は意外と狭く、しかもインテリアの雰囲気は現代的なアメリカ風。なので、映画自体のムードもあくまで「ゴシック風」である。なお、美女たちが囚われている地下拷問室はハリウッドのスタジオでセットを組んだらしいのだが、これがなんというか、テレビのバラエティ番組の再現ドラマみたいな安っぽさ。まあ、超低予算のインディーズ映画なので仕方あるまい。
「ドラキュラの館」 Blood of Dracula\'s Castle (1969)_f0367483_06280568.jpg
主演はアル・アダムソン作品の常連だった往年の名優ジョン・キャラダイン。ご存知、巨匠ジョン・フォードの『駅馬車』('39)や『怒りの葡萄』('40)などで有名なスターだったが、しかし自ら主宰する巡業劇団の運営費を稼ぐため、本作のようなインディーズの低予算映画にも数えきれないほど出ていた。また、吸血鬼のタウンセンド伯爵夫妻(実はドラキュラ伯爵夫妻)を演じているアレクサンダー・ダーシーとポーラ・レイモンドも、黄金期のハリウッド映画で活躍したマイナー・スター。ダーシーは『百万長者と結婚する方法』('53)の胡散臭い石油王役でお馴染みであろう。レイモンドは『危機の男』('50)でケイリー・グラントの相手役に抜擢されたスター候補生だった。そのほか、連続殺人鬼ジョニー役のロバート・ディックスは『シマロン』('31)でアカデミー主演男優賞候補になった名優リチャード・ディックスの息子、トップモデルのリズ役を演じるバーバラ・ビショップは当時テレビのバラエティ番組で活躍していた人気タレント。また、『巨大クモ軍団の襲撃』('77)や『ザ・ダーク』('79)などのB級ホラーで知られる映画監督ジョン・カードスが、ジョニーを脱獄させる刑務所の看守役で顔を出している。
「ドラキュラの館」 Blood of Dracula\'s Castle (1969)_f0367483_06274283.jpg
なお、日本では劇場未公開、『ドラキュラの墓場』のタイトルでテレビ放送された後、レンタルビデオ全盛期にVHSテープ発売された本作。アメリカでは様々なメーカーから繰り返しVHSやDVDでリリースされてきた。興味深いのは、劇場公開版よりもテレビ放送版の方が少しだけ尺が長いこと。前者が85分なのに対して後者は91分である。また、ソフトによって画面サイズがスタンダードサイズだったりビスタサイズだったりするが、もともとはスタンダードサイズで撮影されていたとのこと。要するに、映画館では上下をマスクキングした状態で上映する「疑似ワイドスクリーン」方式だったようだ。
「ドラキュラの館」 Blood of Dracula\'s Castle (1969)_f0367483_06302026.jpg
評価(5点満点):★★☆☆☆

参考DVD情報(アメリカ盤)※DVD4枚組BOX「Horrible Horror Collection Vol.2」収録
カラー/スタンダードサイズ(1.33:1)/音声:2.0ch Dolby Digital Mono/言語:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/時間:85分/発売元:Rhino Home Video
特典:なし



by nakachan1045 | 2024-03-15 06:35 | 映画 | Comments(0)

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