人気ブログランキング | 話題のタグを見る

なかざわひでゆき の毎日が映画&音楽三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画&音楽レビュー日記
by なかざわひでゆき
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

「悪魔のいけにえ/レジェンド・オブ・レザーフェイス」 The Return of the Texas Chainsaw Massacre (1995)

「悪魔のいけにえ/レジェンド・オブ・レザーフェイス」 The Return of the Texas Chainsaw Massacre (1995)_f0367483_21195813.jpg
監督:キム・ヘンケル
製作:ロバート・J・クーン
   キム・ヘンケル
製作総指揮:ロバート・J・クーン
脚本:キム・ヘンケル
撮影:レヴィー・アイザックス
特殊メイク:J・M・ローガン
音楽:ウェイン・ベル
出演:レネー・ゼルウィガー
   マシュー・マコノヒー
   ロバート・ジャックス
   ジェームズ・ゲイル
   トニー・ペレンスキー
   ジョー・スティーヴンス
   リサ・ニューマイヤー
   タイラー・コーン
   ジョン・ハリソン
   マリリン・バーンズ
   ジョン・ドゥガン
   ポール・A・パーテイン
アメリカ映画/87分/カラー作品




元祖『悪魔のいけにえ』('74)の脚本家キム・ヘンケルが初めてメガホンを取ったシリーズ第4弾である。2作目と3作目が予算数百万ドル・クラスのメジャー映画(それでも低予算ではあるが)だったのに対し、本作はたったの60万ドルで作られた激安価格のインディーズ映画。プロデューサーを兼ねたヘンケルとロバート・J・クーンは資金集めに相当苦労したそうだが、恐らく前作『悪魔のいけにえ3/レザーフェイス逆襲』('89)が興行的にも批評的にも不評だったせいだろう。残念ながら本作も結果的には大赤字で、なおかつ批評家からも当時は酷評されたと記憶しているのだが、しかし久しぶりに見直してみると、まあ、確かにご都合主義な展開や意味不明な設定が目立つとはいえ、全体的には一種異様なパワーとエネルギーを発散するナンセンス&クレイジーなホラー・コメディに仕上がっており、これはこれで決して悪くない。時を経てカルト的な人気と評価を得ているのも納得であろう。

時は1996年5月22日(後述するディレクターズ・カット版では1994年5月22日、予告編では1995年)、場所はアメリカ南部のテキサス州。かつて地元住民を恐怖のどん底へ落とした殺人鬼一家による猟奇殺人事件も、今ではすっかり忘れ去られていた。ある晩、地元の高校でプロム・パーティが開催される。母親の再婚相手から虐待を受けている女子高生ジェニー(レネー・ゼルウィガー)は、化粧をするだけでも継父の逆鱗に触れるため普段から地味な格好を強いられているが、それでも今夜は精一杯のお洒落をして幼馴染の同級生ショーン(ジョン・ハリソン)とプロムへ出かける。

一方、プロム会場ではジェニーの親友ヘザー(リサ・ニューマイヤー)が恋人バリー(タイラー・コーン)の到着を待っているが、しかし一向に現れる様子がないことから探し回ったところ、校庭の物陰でバリーが浮気をしている現場に遭遇してしまう。怒り心頭でバリーの車に乗り込み、プロム会場を後にするヘザー。慌てて追いかけたバリーも車に飛び乗ったところ、後部座席でハイになっているジェニーとショーンを発見する。勝手に車へ忍び込んでマリファナを吸っていたのだ。なんとかヘザーの怒りを収めようと説得するバリーだが、その開き直ったような言い訳にますます憤慨したヘザーは車を暴走させ、突然現れた別の車をよけきれずに激突してしまう。

ジェニーたち4人は無傷で無事だったが、しかし相手の車に乗っていた若者は気を失っている。見渡したところ周囲は何もない夜の田舎道。意識不明の若者を置き去りには出来ないためショーンが事故現場へ残り、ジェニーとヘザー、バリーの3人が助けを求めて民家を探すことにする。しばらく歩いていくと彼らは小さな集落を発見し、まだ営業している保険事務所のオフィスへ駆け込んだ。中にいたのはセクシーな女性職員ダーラ(トニー・ペレンスキー)ひとりだけ。親切で気さくな彼女は、知り合いのレッカー車ドライバーを事故現場へ向かうよう電話で手配してくれる。これでひと安心ということでショーンのもとへ戻ろうとするジェニーだったが、しかし身勝手なトラブルメーカーのバリーがヘザーを連れて別行動を取ってしまう。その頃、事故現場で待っていたショーンのもとへレッカー車が到着。ところが、降りてきた粗野なドライバーのヴィルマー(マシュー・マコノヒー)は気を失った若者をあっさりと殺害し、身の危険を感じて逃げたショーンのことも面白半分で轢き殺すのだった。

森の中で古びた一軒家を見つけたヘザーとバリー。明かりはついているものの人影が見えないことから、バリーがひとりで家の周辺を探っていると、背後から忍び寄ったレザーフェイス(ロバート・ジャックス)にヘザーが襲われる。そう、ここはあの恐るべき殺人鬼一家、ソーヤー・ファミリーの家だったのだ。レザーフェイスによって肉貯蔵庫に閉じ込められるヘザー。悲鳴を聞いて異変に気付いたバリーだったが、ソーヤー・ファミリーの一員W・E(ジョー・スティーヴンス)に捕らえられ、上手く逃げようとしたところ興奮したレザーフェイスに撲殺される。その頃、事故現場へ戻ったジェニーは、助けに来てくれたものと思ってヴィルマーのレッカー車に乗り込むが、しかし荷台に吊るされたショーンの死体を発見して逃げ出す。先ほどの保険事務所へ辿り着き、助けを求めるジェニー。ところが、実はダーラはヴィルマーの妻。彼らもまたソーヤー・ファミリーのメンバーだった。果たして、彼らはなぜこのような人間狩りや人殺しを重ねるのか?やがて、ソーヤー・ファミリーの背後に国家規模の秘密結社の影が浮かび上がる…!?

ということで、テキサスの片田舎で若者グループが運悪く殺人鬼一家に遭遇してしまう…という基本プロットは、ほぼ1作目『悪魔のいけにえ」の焼き直しと言えよう。そのうえで、本作は殺人鬼一家のキャラクターにちょっとユーモラスな新設定を加え、さらには荒唐無稽な陰謀論までをも匂わせることで、いわば『悪魔のいけにえ』のパロディとして仕立て上げられている。例えば、本作のソーヤー・ファミリーのディナーは人肉ではなくテイクアウトのピザだし、大黒柱のヴィルマーとダーラの夫婦は今どき(?)っぽいダブル・インカムだし、性別関係なしに人間の顔の皮を剥いで被って来たせいなのかレザーフェイスは性自認にブレが生じてドラァグクィーン化しているし(笑)。

で、そんなソーヤー・ファミリーはキム・ヘンケル曰く「イルミナティをモデルにした」という秘密結社のもとで働いているらしく、彼らが凶行を重ねるのは人々に「死を超越した恐怖を体験させる」ことが目的なのだとか。それが何の役に立つのかいまひとつ定かでないものの、まあ、恐らく魂を浄化させるとかなんとかの宗教的な神秘体験みたいなもんでしょう。で、その神秘体験というのが阿鼻叫喚のドタバタ大騒動(笑)。加害者も被害者も入り乱れての、ウルトラ・ハイテンションな血みどろスラップスティック・コメディが繰り広げられる。なんじゃこりゃ!?と思いつつも大爆笑ですよ。ある意味、トビー・フーパーの『悪魔のいけにえ2』('86)よりも意味不明で狂っている。それこそが本作の面白さだと言えよう。

で、その酒池肉林の大狂乱をパワフルに引っ張っていくのが、当時まだテキサス州オースティンを基盤に活動する無名のローカル俳優だったレニー・ゼルウィガーとマシュー・マコノヒー。継父の虐待に耐えてきた地味で大人しい少女ジェニーが、「もう、こんなのやってらんないですけど!」とブチ切れて反撃に転じていく様を演じるゼルウィガーの頼もしいこと!絶叫とともに襲いかからんとするレザーフェイスに、ジェニーが「うるさい!お前は黙ってそこに座ってろ!」と啖呵を切り、ビックリしたレザーフェイスがしょげかえる場面はシリーズ屈指の名シーンである。いかにも田舎のレッドネック然としたヴィルマーに扮するマコノヒーも、頭のねじのはずれたクレイジーなサイコパスをノリノリで演じてインパクト強烈。どちらも撮影を楽しんでいるのが如実に伝わってくる。

ちなみに、撮影監督のレヴィー・アイザックスもオースティンの出身で、キム・ヘンケル監督とはテキサス大学時代からの親友。『悪魔のいけにえ』では冒頭に流れるラジオDJの声を担当し、トビー・フーパーの『スポンティニアス・コンバッション/人体自然発火』('89)でも撮影監督を務めている。また、クライマックスの病院シーンでは『悪魔のいけにえ』の主人公サリー役を演じたマリリン・バーンズが担架で運ばれる患者役、サリーの兄フランクを演じたポール・A・バーテインが初老の患者役、ソーヤー・ファミリーのグランパを演じたジョン・ドゥガンが警官役で顔を出しているのも見逃せない。

全米の上映館がたったの26カ所という小規模公開だったため、当時は興行的にも大惨敗を喫してしまったという本作。その2年後の'97年、ゼルウィガーが『ザ・エージェント』('96)で、マコノヒーが『評決のとき』('96)でブレイクしたことから、大手のコロンビア・トライスター(現ソニー・ピクチャーズ)が全米での大規模な配給権を獲得し、『Texas Chainsaw Massacre: The Next Generation』のタイトルで再公開されることに。ところが、製作会社の管財人を名乗る人物がコロンビア・トライスターを契約違反で訴えたことから、今回も全米で23カ所という小規模公開に留まってしまい、結果的に興行収入はシリーズ最低となってしまった。

日本では大映の配給で'95年にロードショー公開され、当時はレンタル用VHSやセル用レーザーディスクも発売されたのだが、しかしDVDやブルーレイでのリリースは今のところ一度もなし。一方のアメリカでは'90年代末以降、幾度となくDVD化されており、'18年にはコレクターズ版ブルーレイも発売されている。本編は'97年の再リリース版(87分)をHD画質にて、初公開時のディレクターズ・カット版(94分)をSD画質にて収録。特典にはスタッフ&キャストの最新インタビューやキム・ヘンケル監督の音声解説などが収められている。

評価(5点満点):★★★☆☆



参考ブルーレイ情報(アメリカ盤)
カラー/ワイドスクリーン(1.85:1)/1080p/音声:2.0ch DTS-HD Master Audio/言語:英語/字幕:英語/地域コード:A/時間:87分・94分/発売元:Scream Factory/Sony Pictures Home Entertainment
特典:撮影監督レヴィー・アイザックスのインタビュー('18年制作・約12分)/俳優タイラー・コーンのインタビュー('18年制作・約16分)/特殊メイク担当J・M・ローガンのインタビュー('18年制作・約19分)/キム・ヘンケル監督による音声解説(ディレクターズ・カット版のみ)/オリジナル劇場予告編

アマゾン商品リンク

by nakachan1045 | 2024-10-19 18:42 | 映画 | Comments(0)

カテゴリ

全体
映画
音楽
未分類

以前の記事

2026年 04月
2026年 03月
2026年 02月
2026年 01月
2025年 12月
2025年 11月
2025年 10月
2025年 09月
2025年 08月
2025年 07月
2025年 06月
2025年 05月
2025年 03月
2025年 02月
2025年 01月
2024年 12月
2024年 11月
2024年 10月
2024年 09月
2024年 08月
2024年 07月
2024年 06月
2024年 05月
2024年 04月
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月

お気に入りブログ

なにさま映画評(跡地)

最新のコメント

“Hanzo The R..
by Matemu at 07:49
> Matemuさん ..
by nakachan1045 at 22:54
前回の丁寧な御回答に感謝..
by Matemu at 13:32
> にこらさん 書き込..
by nakachan1045 at 08:59
(3)日本におけるシャン..
by にこら at 23:46
なかざわ様、 最近シャ..
by にこら at 23:45
> Matemuさん ..
by nakachan1045 at 13:14
2024/6/5に発売さ..
by Matemu at 05:08
この映画はデンマーク軍が..
by na at 08:27
ランドマスターは本当にか..
by na at 17:53

メモ帳

最新のトラックバック

ライフログ

検索

タグ

(546)
(357)
(288)
(271)
(217)
(186)
(132)
(132)
(122)
(113)
(108)
(107)
(107)
(95)
(70)
(63)
(61)
(60)
(59)
(50)
(48)
(46)
(46)
(44)
(41)
(40)
(40)
(39)
(37)
(35)
(34)
(32)
(28)
(26)
(26)
(23)
(21)
(21)
(21)
(21)
(20)
(20)
(19)
(19)
(18)
(18)
(18)
(18)
(18)
(17)
(16)
(15)
(14)
(13)
(11)
(10)
(10)
(9)
(9)
(9)
(9)
(8)
(7)
(7)
(7)
(6)
(5)
(5)
(5)
(4)
(4)
(3)
(3)
(3)
(3)
(3)
(3)
(2)
(2)
(2)
(2)
(2)
(2)
(2)
(1)
(1)
(1)
(1)
(1)
(1)
(1)
(1)
(1)
(1)
(1)
(1)
(1)
(1)

ブログパーツ

最新の記事

DANCE CLASSICS..
at 2026-04-17 00:42
DANCE CLASSICS..
at 2026-04-16 01:46
「Intégrale Pat..
at 2026-04-15 00:49
DANCE CLASSICS..
at 2026-04-14 00:11
DANCE CLASSICS..
at 2026-04-13 01:43

外部リンク

ファン

ブログジャンル

映画
ライター