DANCE CLASSICS: File 31「The Heart is a Lonely Hunter」 (1987) Bonnie Bianco

tracklist

1. The Hearts is a Lonely Hunter (US-Dance Mix) 6:14

2. The Hearts is a Lonely Hunter (Single Version) 3:36

3. Contender for Your Love 3:35

produced by Christian de Walden & Steve Singer for Zigzag Productions.

USA Mixed by John Pace.

(P)&(C) 1987 Metronome Musick GmbH. Hamburg

'80年代のヨーロッパ市場において、イタリアと西ドイツを拠点に活躍したアメリカ人歌手ボニー・ビアンコ。本名をロリー・ビアンコという彼女は、もともと12歳の時に姉ホリーとの姉妹デュオ、ビアンカ・シスターズとしてレコード・デビューするも売れず、15歳でソロへ転向してからもヒットに恵まれないでいた。そんな彼女に大きな転機が訪れたのは18歳だった'81年のこと。マカロニ・ウエスタンやクライム・アクションの映画音楽作曲家として知られ、シンガー・ソングライター・コンビのオリヴァー・オニオンズとしてヨーロッパで絶大な人気を誇っていたイタリア人兄弟、グイド＆マウリツィオ・デ・アンジェリスにオーディションでスカウトされ、彼らの作曲・プロデュースのもと翌'82年にヨーロッパでメジャー・デビューを果たしたのである。

こうして思いがけないヨーロッパ進出を果たし、ボニー・ビアンコという芸名を与えられた彼女は、イタリアのベテラン大物歌手ミルヴァが司会を務めるバラエティ番組「Al Paradiso」('83～'85）にレギュラー出演して大ブレイク。さらに、『ラ・ブーム２』('82)のイケメン役で知られるフランス人俳優ピエール・コッソと共演したイタリア映画『Cinderella '80』('84)で女優デビューまで果たしている。これは意地悪な継母や義理の姉たちと一緒にローマへやって来たアメリカ人女性（ボニー・ビアンコ）が、お忍びで歌手として活動するヨーロッパ某国のハンサムな王子様（ピエール・コッソ）と恋に落ちる、いわば現代版『シンデレラ』×『ローマの休日』。当時イタリア国内で大ヒットしたという同作は、その３年後に追加シーンを再編集で挿入した拡大版ミニシリーズがヨーロッパ各国で放送されたところ大反響を巻き起こした。ピエール・コッソとボニーがデュエットした主題歌「Stay」もヨーロッパ各国のヒットチャートを席巻。中でも、西ドイツとオーストリアではナンバーワン・ヒットを記録している。

そこで、ちょうどデ・アンジェリス兄弟との専属契約が切れたボニーは、西ドイツを拠点にオードリー・ランダースやブリジット・ニールセンのヒット曲を手掛けていたプロデューサー・コンビ、クリスチャン・デ・ヴァルデン＆スティーヴ・シンガーと組むことに。レコード会社もスウェーデンに本社のあるメトロノームの西ドイツ支社へ移籍し、アルバム「Just Me」をリリース。ファースト・シングルとなったバラード「Miss You So」が順調にヒットしたことから、２枚目はガラッと趣を変えてダンス・ナンバーをカットすることとなる。それがこの「The Heart is a Lonely Hunter」だった。

いやあ、清々しいくらいにストレートなユーロ・ハイエナジー。こういう爽やかでキャッチーなメロディラインは、クリスチャン・デ・ヴァルデン＆マーク・シンガーの十八番である。突き抜けるようにパワフルで爽快感のあるボニー・ビアンコのボーカルとの相性も抜群。当時はヨーロッパでの仕事が多かったアメリカ人エンジニア、ジョン・ペイスの手掛けたダンス・リミックス#１は、基本的にはオリジナル・バージョンに重低音を加味してロング・エディットしただけなのだが、少なくとも本作の場合はそれで大正解。オリジナルのアレンジが極めてパーフェクトに近いので、そこを変にいじくることなくダンスフロア仕様に進化させたのは賢明だった。当時は12インチ・シングルとマキシCDシングルでリリースされたが、筆者は懐かしき渋谷のCISCOでマキシCDシングル盤をゲット。当時も今も大好きな曲である。

評価（５点満点）：★★★★★