DANCE CLASSICS: File 33「Love in the Shadows」 (1985) E.G. Daily

tracklist

A. Love in the Shadows (Special Remixed Version) 8:45

B. Love in the Shadows (Dub Version) 4:45

produced and arranged by Harold Faltermeyer

remixed by Jellybean and Bob Miro for Jellybean Productions Inc.

(P)&(C) 1985 A&M Records

映画女優やアニメ声優としても知られるエリザベス・デイリーこと、E・G・デイリーのセカンド・シングルである。初期マドンナの重要なコラボレーターであるジェリービーンとスティーブン・ブレイが関わったファースト・シングル「Say It, Say It」がクラブ・シーンで大ヒットし、ビルボードのダンスチャートでナンバー・ワンを記録したデイリーが、今度はユーロ・ディスコの総本山ジョルジオ・モロダー・ファミリーの一員であり、映画『ビバリーヒルズ・コップ』('84)のテーマ曲「Axel F」を大ヒットさせたばかりのドイツ人ミュージシャン、ハロルド・ファルターメイヤーを作曲・プロデュースに迎えた作品。当時リリースされたデイリーのデビュー・アルバム「Wild Child」からのシングル・カットという体裁を取っているが、実のところもともとはファルターメイヤーが総合プロデュースを手掛けた映画『誘惑』('84)の挿入曲だった。ただし、'84年のサントラ盤バージョンの音源権利はカサブランカ・レコードが保有しているため、A&Mレコードから'85年にリリースされたアルバム・バージョンおよびシングル・バージョンは別音源。つまり、ボーカルもバックトラックも全てレコーディングし直されているのだ。

オリジナルがサウンド的にライトなポップ・ロック路線だったのに対し、再録バージョンはヘヴィーで分厚いシンセサウンドが特徴的なユーロ・ハイエナジー路線。そもそもオープニングの静かなバラード調から一転してアップリフティングに盛り上げていく華やかなアレンジは、それこそドナ・サマーの「Last Dance」やアイリーン・キャラの「Flashdance」などなど、モロダー・ファミリーのトレードマーク的な作風と言えよう。なおかつ、ジェリービーンが12インチ用に手掛けたリミックス・バージョンは、さらに高揚感をてんこ盛りにしたダンサンブルかつドラマチックな仕上がりで、欧米では特にゲイ・アンセムとして長きに渡って高い人気を誇っている。'88年にE・G・デイリーがストック/エイトキン/ウォーターマンと組んだハイエナジー・ヒット「Mind Over Matter」のUK盤12インチのB面にも収録されたほか、これまでに数多くの'80年代ディスコ系コンピレーションCDにも収録されており、恐らく彼女のディスコグラフィーで最も人気の高い楽曲かと思われる。

ちなみに、'17年に復刻された『誘惑』サントラ盤のリマスター版CDには、オリジナルのサントラ盤バージョンに加えてボーナス・トラックとして、'85年の再録シングル・バージョンと再録リミックス・バージョンを収録。全てを聞き比べることが出来る。また、'88年にセリーヌ・ディオンがフランス語で本作のカバー・バージョンを発表。こちらはE・G・デイリーのサントラ盤バージョンをさらに歌謡曲的なポップス路線にした感じで、残念ながら個人的にはあまり好みではなかった。

評価（５点満点）：★★★★☆