なかざわひでゆき の毎日が映画&音楽三昧
DANCE CLASSICS: File 37「High Energy」 (1984) Evelyn Thomas

A. High Energy (Vocal) 7:50
B. High Energy (Vocal Remix) 9:34
produced by Ian Levine and Fiachra Trench.
(P)&C) 1984 Record Shack Records distributed by Nunk Records (Belgium)
そのハイエナジー・ブームを牽引したとされるのが、今もなお45年以上に渡って営業するロンドンの有名なゲイ・クラブ「Heaven」のレジデントDJだったイアン・レヴィン。もともと'70年代にディスコ系の音楽プロデューサーとして活動していたレヴィンは、折からのハイエナジー・ブームに乗って一度は諦めたプロデュース業を再開するべく、新たなビジネス・パートナーのフィアクラ・トレンチと'83年にレコード会社レコード・シャックを設立し、ミケール・ブラウンのハイエナジー・ディスコ「So Many Men, So Little Time」をリリース。これが世界中のダンス・チャートを席巻する大ヒットとなったことから、かつて'70年代に組んだことのあるアメリカ人ディスコ歌手イヴリン・トーマスをロンドンへ呼び寄せ、まさにそのものズバリなタイトルのハイエナジー・チューン「High Energy」を発表したのである。
本国イギリスではハイエナジー・チャートの1位はもちろんのこと、なんとポップ・チャートでも最高5位のトップ10入りというメジャー・ヒットを記録した「High Energy」。ヨーロッパ各国のヒットチャートでも軒並み上位を独占し、アメリカでもビルボードのダンス・チャートでナンバーワンを獲得した。筆者が初めて本作を聴いたのは、五反田のレコード店で購入した日本盤7インチ・シングル。ヨーロッパでバカ売れしているディスコ・ソングという事前情報はあったので、大きな期待を胸にレコード・プレイヤーの針を落としたのだが、しかし第一印象としては「あれっ?なんかちょっと想像していたのと違う…」だった。「ハイエナジー」というタイトルから想像するイメージとは真逆の、どちらかというと暗くてヘヴィーなシンセ・サウンド。確かにイヴリン・トーマスのヴォーカルはパワフルでエナジェティックだが、しかしメロディにことさら高揚感があるわけではなく、なおかつキャッチーとも言い難かったりする。なんだかニューウェーヴっぽいというか、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドっぽいというか。全然嫌いじゃないんだけど、しかし期待した音ではない。なので、確かに筆者がハイエナジーというジャンルを最初に認識したのは本作がきっかけだが、しかしハイエナジーというジャンルに夢中となったのはヘイゼル・ディーンの「気分はハイエナジー(Whatever I Do (Wherever I Go))」のおかげだ。
ただ、そんな本作に対する印象が大きく変わったのは、渋谷や新宿の大箱ディスコへ足繫く通うようになってから。巨大スピーカーの大音量で聴くことによって、ようやくこの曲の魅力に気が付いたのである。ああ、これは全身で体感する音楽なのだなと。しかも、聴くたびに歌詞とメロディとサウンドのドラマチックな三位一体がクセになっていく。中毒性ハンパなし。それゆえ、渋谷の中古レコード店でアメリカ盤12インチを見つけた際には迷わずゲットしたのだが、そのオリジナル・バージョンを凌駕するほどカッコいいレア・バージョンの存在を知ったのは、それからだいぶ年月が経ってからのことである。
それは恐らく今から20年近く前のこと。当時、わりと頻繁に利用していたドイツの中古レコード店のオンラインサイトを何気なく検索していたところ、イヴリン・トーマスの「High Energy」のスペシャル・リミックスという文字が飛び込んできた。よくよく商品詳細を確認したところ、リリース年は1984年となっている。なんだ、オリジナル盤が発売された当時じゃん!しかも、尺数はオリジナル・ヴァージョンの7分50秒よりも、さらに言えば北米盤リミックスの8分37秒よりも長い9分34秒。なんですかそれは!初耳なんですけれど!?というわけで迷うことなくご注文。手元に届いたのが、当時ベルギーのみで発売されたと思しきリミックス盤12インチだった。
あの頃はね、こういうパターンが少なくなかったのですよ。スウェーデン盤のみとか、オランダ盤のみとかでローカル市場向けに作られたご当地リミックス。今でこそネットで情報が豊富に転がっているが、当時は下手すると実際に買って針を落とすまでは別バージョンだと分からないことすらあった。この「High Energy」のベルギー盤リミックス・バージョンも、そんな知られざる激レアなご当地リミックス群のひとつ。誰がリミックスしたのかすら分からない。でも、これが文句なしに良かった!なんだ、オリジナル・バージョンよりもアメリカ盤リミックスよりも、こちらの方が遥かにカッコ良いじゃないですか!とりあえずYouTubeにアップしている人がいたので聴いてみて頂きたいが、数ある「High Energy」リミックス・バージョン群の中でもトップ・クラスの出来栄え。そう、本作はこれまでに数えきれないほどのリミックスがコンスタントに発表されているのだが、その中でもこのベルギー盤リミックスは間違いなく3本の指に入る。ダンス・ミュージック・マニア必携の1枚と言えよう。
ちなみに、本作でシンセサイザーを演奏しているのはハンス・ジマー。そう、『レインマン』('89)や『ライオン・キング』('94)、『グラディエーター』('00)などの映画音楽でお馴染みの大物作曲家ハンス・ジマーである。プロデューサーのフィアクラ・トレンチとジマーは長い付き合いだったらしく、トレンチはジマーの手掛けた映画音楽にオーケストラ指揮者やアレンジャーとしてたびたび参加している。
評価(5点満点):★★★★★
by nakachan1045
| 2025-10-30 01:29
| 音楽
|
Comments(0)
以前の記事
2025年 12月2025年 11月
2025年 10月
2025年 09月
2025年 08月
2025年 07月
2025年 06月
2025年 05月
2025年 03月
2025年 02月
2025年 01月
2024年 12月
2024年 11月
2024年 10月
2024年 09月
2024年 08月
2024年 07月
2024年 06月
2024年 05月
2024年 04月
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
最新のコメント
| > にこらさん コメン.. |
| by nakachan1045 at 01:32 |
| なかざわ様 前にあった.. |
| by にこら at 19:32 |
| DVDリリースされてまし.. |
| by ken at 22:53 |
| > kenさん 書.. |
| by nakachan1045 at 16:23 |
| チプリアーニの作品中でも.. |
| by ken at 11:36 |
| ひでゆきさん、ありがとう.. |
| by na at 16:19 |
| naさん 書き込み有難.. |
| by nakachan1045 at 15:28 |
| 2011年に見つかった原.. |
| by na at 17:32 |
| > makiさん コメ.. |
| by nakachan1045 at 07:11 |
| こんにちは。 こちらの映.. |
| by maki at 21:24 |
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
ハリウッド映画(541)70年代(351)
ホラー映画(285)
60年代(266)
80年代(213)
イタリア映画(181)
アクション(133)
ドラマ(119)
イギリス映画(106)
ダンス(105)
サスペンス(105)
50年代(105)
ポップス(104)
カルト映画(95)
30年代(66)
ロマンス(60)
40年代(59)
70年代音楽(57)
日本映画(56)
2020年代音楽(50)
SF映画(46)
コメディ(44)
フランス映画(41)
ノワール(41)
90年代(40)
ジャッロ(39)
80年代音楽(38)
1920年代(36)
K-POP(34)
西部劇(34)
ソウル(31)
香港映画(30)
エロス(27)
スペイン映画(26)
ドイツ映画(25)
ファンタジー(22)
サウンドトラック(21)
ミュージカル(21)
ワールド映画(21)
2010年代音楽(20)
戦争(20)
歴史劇(19)
アドベンチャー(19)
イタリア映画音楽(18)
メキシコ映画(18)
テレビ(17)
ラテン(17)
2000年代音楽(15)
ルーマニアン・ポップス(15)
アニメーション(14)
1910年代(14)
スパイ(13)
ロシア映画(12)
アナウンス(10)
ロック(9)
ラウンジ(9)
60年代音楽(9)
カナダ映画(9)
フィリピン映画(9)
ロシア音楽(8)
90年代音楽(8)
バルカン・ポップス(7)
青春(7)
ジャズ(7)
連続活劇(4)
2010年代(4)
シットコム(4)
LGBT(3)
パニック(3)
J-POP(3)
2000年代(3)
イタロ・ディスコ(3)
韓国映画(2)
フランス映画音楽(2)
アンダーグランド(2)
カントリー・ミュージック(2)
オーストラリア映画(2)
トルコ映画(2)
文芸(1)
民族音楽(1)
ブラジル音楽(1)
1920年代音楽(1)
フレンチ・ポップ(1)
シャンソン(1)
サルサ(1)
ギリシャ音楽(1)
ギャング(1)
インド映画(1)
音楽DVD(1)
音楽ライブ(1)
伝記映画(1)
2020年代(1)
ブログパーツ
最新の記事
| DANCE CLASSICS.. |
| at 2025-12-04 08:28 |
| DANCE CLASSICS.. |
| at 2025-12-03 00:12 |
| DANCE CLASSICS.. |
| at 2025-12-02 01:55 |
| 「You'll Never .. |
| at 2025-11-30 18:47 |
| 「DUH!」 (2025) .. |
| at 2025-11-29 00:30 |

