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なかざわひでゆき の毎日が映画&音楽三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画&音楽レビュー日記
by なかざわひでゆき
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DANCE CLASSICS: File 50「Justify My Love」 (1990) Madonna

DANCE CLASSICS: File 50「Justify My Love」 (1990) Madonna_f0367483_22534801.jpg
tracklist

1. Justify My Love (Q-Sound Mix) 4:57
2. Justify My Love (Orbit 12" Mix) 7:19 +
3. Justify My Love (Hip Hop Mix) 6:35 *
4. Express Yourself (Shep's 'Spressin' Himself Re-remix) 9:33 ++
5. Justify My Love (The Beast Within Mix) 6:13 **

produced by Lenny Kravitz for Super Mouche Productions.
associate producer: Andre Betts.
mixed by Shep Pettibone and Goh Hotoda.
* remixed by Andre Betts.
** remixed by Lenny Kravitz and Madonna
+ mix and additional production by William Orbit.
++ produced by Madonna and Stephen Bray.
post-production and remix by Shep Pettibone.

(P)&(C) 1989, 1990 Sire Records.





当時、ポピュラー音楽史上最も成功した女性アーティストとして快進撃を続けていたマドンナが、満を持してリリースした初のベスト・アルバム「The Immaculate Collection(邦題:ウルトラ・マドンナ~グレイテスト・ヒッツ)」。その時点までのシングルA面ヒット15曲に加えて、新曲2曲が収録されるというのも大きなセールスポイントだったと言えよう。発売日はホリデイ・シーズンのギフト需要も見込んだ'90年11月12日。それに先駆けて、11月6日に先行シングルとしてカットされた新曲が「Justify My Love」だった。

作詞作曲&プロデュースはレニー・クラヴィッツ、歌詞の一部をマドンナが担当…と当時はクレジットされたのだが、実際は元プリンス・ファミリーのイングリッド・シャヴェイズが大部分の歌詞を書いていたそうで、後に裁判沙汰となって世間の注目を集めた。一時期付き合っていたクラヴィッツとシャヴェイズが交際中にトラックを共作したのだが、別れた後にクラヴィッツがこれををマドンナへ提供しようと考え、ロイヤリティを受け取る代わりに名前をクレジットから外すことに同意するようシャヴェイズに提案。当初は彼女も納得して同意書にサインをしたという。そもそも、なぜクラヴィッツはシャヴェイズの名前を外したかったのか?本人は「個人的かつ職業的な理由から」としか述べていないが、恐らくシャヴェイズの主張する「奥さんに不倫がバレると困るから」が真相なのではないかとも思う。

いずれにせよ、楽曲のリリース後にシャヴェイズが「歌詞を書いたのは自分」と主張して裁判所にクラヴィッツとマドンナを提訴。クラヴィッツもそれが事実だと素直に認めている。しかし、なぜ後になってシャヴェイズは心変わりしたのだろうか…と思っていたら、どうやらその原因は金銭トラブルだった模様。というのも、約束のロイヤリティが前金の500ドルしか支払われていなかったらしい。そりゃ頭にきて当然ですな。

で、楽曲的にはズバリ、マドンナ版「愛の誘惑(Love to Love You Baby)」である。'75年にリリースされたドナ・サマーの出世作「愛の誘惑」は、その官能的で艶めかしいサウンドと喘ぎ声交じりのセクシーなヴォーカルが物議を醸し、アメリカ国内だけでも100万枚を超えるベストセラーとなった。必ずしも本作がその影響を受けているとは言わない(ただし目くばせはしている)が、しかしどう聴いても同じ系統の楽曲であることは否定できないだろう。ミッドテンポのダウナーなヒップホップ・サウンドに、まるで耳元で囁くようなマドンナのエロティックな歌声…というよりも「呟き」がねっとりと絡みつく。オリジナル・ミックスはシェップ・ペティボーンと保土田剛。日本ではグランドビートと呼ばれた、当時UKで流行していたR&Bサウンドをも彷彿とさせる。

歌詞の内容は女性目線のセクシャル・ファンタジー。そこには、自らが主導権を握って性愛の欲望を満たさんとする女性の願望が投影される。当時はS&Mチックなプロモクリップも話題を呼び、そのセクシーでフェティッシュな描写ゆえMTVで放送禁止となってしまった。この2年後、マドンナは大胆不敵なヌード写真集「SEX」を発表して世界中に衝撃を与え、その名の通りセックスとエロティシズムをテーマにしたアルバム『Erotica(邦題:エロティカ)をリリースして賛否両論を巻き起こすわけだが、間違いなく本作はその先駆けになった楽曲だ。

当時発表されたリミックス・バージョンは全部で3種類。イギリスでプッシュされたのは、UKハウスの鬼才ウィリアム・オービットがアンビエントで実験的なトリップ・ホップ・サウンドに仕上げたOrbit 12" Mix。一方の大陸ヨーロッパでは、プロデューサー補(実際は共同プロデューサーだったらしい)のアンドレ・ベッツがリミックス手掛け、ドナ・サマーの「愛の誘惑」へのさり気ないオマージュにもニンマリするファンキーでジャジーなHip Hop Mixが、12インチ・シングルのA面に収められていた。ただ、当時恐らく最も物議を醸したのはレニー・クラヴィッツとマドンナが共同でリミックスに挑んだThe Beast Within Mixであろう。これは中近東風のオリエンタル&エキゾチックなアレンジが施され、そのうえで歌詞の大半を改変。新約聖書の「ヨハネの黙示録」を引用しているのだが、その歌詞の一部が「反ユダヤ的」であるとの批判を受けたのである。これは「ヨハネの黙示録」にも出てくる「サタンのシナゴーグ」というフレーズの解釈の違いに起因する誤解。とはいえ、やはり「ライク・ア・プレイヤー」での騒動といい、当時のマドンナと宗教は「混ぜたら危険」であった。

以上の全バージョンが収録されたシングルは、北米盤およびオーストラリア盤の12インチおよびマキシCDのみ。日本では次のシングル「Rescue Me(レスキュー・ミー)」とのカップリングで、全バージョンを収録したスペシャル・リミックス・アルバムが発売された。ちなみに、本作の12インチおよびマキシCDにはボーナス・トラックとして、「Express Yourself(エクスプレス・ユアセルフ)」の新しいリミックスが収録されている(欧州盤を除く)のだが、これは正直なところ可もなく不可もなく。なんというか、同じペティボーンが手掛けたオリジナルの12インチ・ミックスと大して変わり映えしないのだ。もしかすると、当時ボツになったアウトテイクだったのかもしれませんな。

評価(5点満点):★★★★☆

by nakachan1045 | 2026-03-06 00:52 | 音楽 | Comments(0)

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