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なかざわひでゆき の毎日が映画&音楽三昧


映画/海外ドラマライターの「なかざわひでゆき」による映画&音楽レビュー日記
by なかざわひでゆき
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「1968」 (1968) France Gall

「1968」 (1968) France Gall_f0367483_16242557.jpg
tracklist

1. Toi Que Je Veux 3:00
2. Chanson Indienne 2:38
3. Gare À Toi... Gargantua 2:12
4. Avant La Bagarre 2:43
5. Chanson Pour Que Tu M'Aimes Un Peu 2:27
6. Nefertiti 2:23
7. La Fille D'Un Garçon 2:27
8. Bébé Requin 2:46
9. Teenie Weenie Boppie 2:58
10. Les Yeux Bleus 2:35
11. Made In France 2:49
12. La Petite (avec Maurice Biraud) 2:41

realisation: Denis Bourgeois
1-2-3-5-7-8-9-11 orchestre et direction: David Whitaker
4-6-10-12 orchestre et direction: Alain Goragauer

(P)&(C) 1968 Phillips





フレンチ・ポップス界のスーパーアイドル、フランス・ギャルの、いわゆる「イェイェ時代」の最後を飾ったアルバムである。'60年代のフランス音楽界を席巻したイェイェ・ブーム。当時、フランスではエルヴィス・プレスリーやビートルズなど、英米のロックンロールに影響を受けた独自のポップ・ミュージックが大流行し、それらの音楽を英語の「ヤー!ヤー(Yeah! Yeah!)」をもじって「イェイェ(Yé-yé)」と総称したのである。そして、フランソワーズ・アルディやシルヴィー・ヴァルタンやシェイラ、ジョニー・アリデイにクロード・フランソワにセルジュ・ゲインズブールなどと並んで、ブームを盛り上げた代表的なトップスターのひとりがフランス・ギャルだったというわけだ。

しかし、'60年代末辺りになるとイェイェ人気も徐々に沈静化。やはり決定的だったのは'68年にパリで起きた大規模な学生運動、いわゆるパリ五月革命である。この時期を境に無邪気でポップでお洒落なイェイェの時代は終わりを告げ、フランスの若者たちはよりシリアスでメッセージ性の高いロックやフォークを聴くようになったのだ。そんな、まさに節目の年に発表されたフランス・ギャルの、しかもデビュー時より在籍していたフィリップス・レコードから出した最後のアルバムが本作だった。

収録曲は'67年~'68年にかけて発表された3枚のミニアルバムで主に構成されている。当時のフランス・ギャルはA面とB面にそれぞれ1曲ずつのシングル盤ではなく、1枚に4曲ほどを収めたEP盤を主にリリースしており、それが何枚か溜まるとLP盤にまとめていたのである。ただし、EP盤「Le Petit」に収録されていた「Polichinelle」がオミットされ、代わりとして新曲「Avant la bagarre」が収録された。全12曲の半数以上を占める8曲分のアレンジと指揮を手掛けたのは、ローリング・ストーンズやマリアンヌ・フェイスフルなどを手掛け、この頃からセルジュ・ゲインズブール関連のレコーディングにも参加するようになったイギリス人デヴィッド・ウィテイカー。いわゆるスウィンギン・ロンドン時代を代表する音楽クリエイターのひとりである。その他の4曲を担当したアラン・ゴラゲールは、あのボリス・ヴィアンの右腕的存在だった人物で、やはりセルジュ・ゲインズブール関連作品の重要なブレーンだった。ルネ・ラルーの傑作アニメ『ファンタスティック・プラネット』('73)のスコア作曲者としても知られている。

デビュー当時からほぼ全てのギャル作品のアレンジと指揮を一手に任されていたゴラゲールが、言ってみれば脇へと追いやられてしまい、英国から招かれたウィテイカーに半ば取って代わられたことの背景には、当然ながらギャルの音楽監督を務めたドニ・ブールジェワの意図があったのだろう。なにしろ'60年代末といえばカウンターカルチャーの時代であり、フラワーパワーの時代であり、サイケデリカの時代である。それまで実験的アートの領域であったサイケデリック・ミュージックの人気が、ビートルズの「リボルバー」や「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」の大成功によって、メインストリームのポップスへと波及。ブールジェワとしては、その世界的な最新トレンドをフランス・ギャル作品にも取り入れるべく、英国音楽シーンの最前線で活躍するトレンドセッター、ウィテイカーの協力を必要としていたのだろうと思う。

そんなわけで、オープニングを飾るジョー・ダッサン作曲の#1「Toi que je veux(邦題:私の欲しい人)」からして当時流行のバロック・ポップ全開!続く#2「Chanson Indienne(邦題:インドの歌)」ではシタールを大胆にフィーチャーしている。中でも特に印象的なのは、うら若きアイドル歌手にLSDのトリップ感覚を歌わせた、セルジュ・ゲインズブール作詞作曲のサイケ・ロック#9「Teenie Weenie Boppie(邦題:ティニー・ウィビー・ボッピー)」であろう。さすが、「Les sucettes(邦題:アニーとボンボン)」で“前科”のあるゲインズブールですな(笑)。同じくゲインズブール作によるアラビア風オリエンタル・ポップ#6「Nefertiti」もなかなかの怪作。いずれもビートルズやストーンズなど、リアルタイムの英国ロックからの影響は濃厚なのだが、きちんとフランス・ギャルらしいアイドル・ポップスとして成立しているのが素晴らしい。デヴィッド・ウィテイカーによる技巧を凝らしたクールでお洒落なアレンジもイカシている。

個人的にアルバム中で最も好きなのは、#1と同じくジョー・ダッサンが作曲した#8「Bébé Requin(邦題:おしゃまな初恋)。こちらは「Poupée De Cire , Poupée De Son(邦題:夢みるシャンソン人形)」や「Baby Pop(邦題:ベビー・ポップ)」の系譜に属するギャルらしいキュートで甘酸っぱいイェイェ・ソングに仕上がっている。甘酸っぱいと言えば、程よくバロック色を加味した切ないバラード・ポップ#7「La Fille D'Un Garçon(邦題:あの子の恋人)」も胸キュン!とにかく全編を通して充実したアルバムに仕上がっている。

評価(5点満点):★★★★★


by nakachan1045 | 2026-03-07 15:05 | 音楽 | Comments(0)

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